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自宅の車庫は消防法上どう扱われるのか|50平方メートルで分かれる一般住宅との区分を解説

自宅の車庫が大きくなると扱いはどう変わるか

自宅の一角に車を置くための車庫を建てている家は多いものです。
ふだんは一般住宅として届出も点検も意識しない建物ですが、車庫の広さ次第で扱いが変わることがあります。
消防法令は「一般住宅」と「令別表第一に掲げる防火対象物」を面積で区分する基準を持っています。
車庫の床面積が50平方メートルという境目を超えると、建物全体の扱いが変わることがあります。

うちは普通の一戸建てなんですが、車庫を大きくリフォームしようと思っていて。
大きくすると届出とか変わってくるんでしょうか。

車庫の広さと住宅部分の広さのバランスで建物の用途区分が変わることがあります。
消防法令にその境目を決める通知があるんです。

用途区分が変わると、何か設備を付けないといけなくなるんですか。

そのとおりです。
境目になる面積と、順番に見る手順を一緒に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 自宅に付属する車庫は、面積のバランス次第で一般住宅以外の扱いになることがあります
  • 境目になるのは50平方メートルという床面積です
  • 車庫の面積が住宅部分より小さく、かつ50平方メートル以下なら一般住宅として扱われます
  • それを超えると令別表第一に掲げる防火対象物または複合用途防火対象物として扱われます
  • 面積は共用部分を按分してから合計する必要があります

車庫が小さいときは一般住宅車庫が大きいときは令別表対象物または複合用途防火対象物になり住宅部分より小さくかつ50平方メートル以下が境目になる仕組みを示す図解

自宅に車庫があるとき消防法上の扱いはどう決まるのか

一般住宅と車庫がひとつの建物としてつながっている様子
消防法令は建物を用途ごとに区分し、それぞれ別の基準を当てはめます。
車庫と住宅が同じ建物にあるとき、どちらの基準で見るかが最初の分かれ道になります。
消防法施行令第1条の2第2項
法第八条第一項の政令で定める二以上の用途は(略)。この場合において、当該異なる二以上の用途のうちに、一の用途で、当該一の用途に供される防火対象物の部分がその管理についての権原、利用形態その他の状況により他の用途に供される防火対象物の部分の従属的な部分を構成すると認められるものがあるときは、当該一の用途は、当該他の用途に含まれるものとする
車庫を単独の用途として見るのか、住宅の一部として見るのかは、この規定が出発点になります。
自動車車庫又は駐車場は消防法施行令別表第一(13)項イに当たる用途です。
一方、一般住宅はこの別表のどの項にも当たらない住居です。
車庫が住宅に対して従属的な部分と認められれば、車庫の面積は住宅側に含めて考えます。
この従属的な部分をどう見分けるかは、消防庁の通知が具体的な基準を示しています。

車庫だけを見て決まるわけじゃないんですね。
住宅の部分との関係で決まるということですか。

そうです。
次はその基準を具体的に見てみましょう。

車庫がどれくらい小さければ一般住宅のままなのか

小さな車庫の面積を住宅の面積と比べてメジャーで測る様子
車庫の面積が住宅部分より小さいというだけでは、まだ一般住宅として扱われるとは限りません。
消防庁の通知はもう一つの条件を重ねています。
令別表第1に掲げる防火対象物の取り扱いについて(昭和50年4月15日消防予第41号・消防安第41号)記2(1)
令別表対象物の用途に供される部分の床面積の合計が一般住宅の用途に供される部分の床面積の合計よりも小さく、かつ、当該令別表対象物の用途に供される部分の床面積の合計が50平方メートル以下の場合は、当該防火対象物は一般住宅に該当するものであること。
「小さい」と「50平方メートル以下」の両方を満たして初めて一般住宅として扱われます。
片方だけでは足りません。
たとえば住宅部分が40平方メートルで車庫が45平方メートルなら、車庫のほうが大きいので一般住宅には該当しません。
逆に住宅部分が200平方メートルで車庫が48平方メートルなら、両方の条件を満たすので一般住宅として扱われます。
この場合、消防用設備等の設置義務は一般住宅と同じ扱いのままで済みます。

うちは車庫のほうが少し大きいくらいなんですが、それでもアウトなんですか。

面積の大小と50平方メートルの両方を見るので、実測してみないと断定はできません。
次は超えた場合にどうなるかを見てみましょう。

車庫が大きくなると扱いはどう変わるのか

大きな車庫が住宅より広くなり用途区分が変わる様子
50平方メートルという境目を超えたとき、建物の扱いは一つに決まるわけではありません。
住宅部分と車庫部分の面積のどちらが大きいかで、さらに枝分かれします。
同通知 記2(2)(3)
令別表対象物の用途に供される部分の床面積の合計が一般住宅の用途に供される部分の床面積の合計よりも大きい場合又は(略)50平方メートルを超える場合は、当該防火対象物は令別表対象物又は複合用途防火対象物に該当するものであること。(略)床面積の合計とおおむね等しい場合は、当該防火対象物は複合用途防火対象物に該当するものであること。
車庫が住宅より大きければ、その時点で一般住宅の扱いから外れます。
50平方メートルを超えていて、かつ住宅部分より小さいときは令別表対象物または複合用途防火対象物のいずれかに、
車庫と住宅がほぼ同じ広さのときは複合用途防火対象物に該当するとされています。
令別表対象物に当たる場合は、令別表第一(13)項イの自動車車庫又は駐車場としての基準が及びます。
複合用途防火対象物になると、建物全体を一つの防火対象物として見る場面も出てきます。

同じ「境目を超えた」でも、行き先が2つに分かれるということですか。

はい。
どちらに転ぶかは住宅部分との面積比較で決まります。

車庫の床面積はどこまで含めて数えるのか

住宅と車庫をつなぐ通路の面積を2つに振り分ける様子
面積で判定する以上、どこまでを車庫の床面積に数えるかが結果を左右します。
通知は共用部分の扱いについても定めています。
同通知 記1(2)(括弧書き)
他の用途と共用される廊下、階段、通路、便所、管理室、倉庫、機械室等の部分の床面積は、主たる用途に供される部分及び他の独立した用途に供される部分のそれぞれの床面積に応じ按分するものとする。以下同じ。
住宅と車庫をつなぐ通路や物置は、面積をそのまま片方に付け替えてはいけません。
記1のこの取り扱いは「以下同じ」とされているため、記2の一般住宅との比較にもそのまま適用されます。
たとえば住宅と車庫の間の共用通路が10平方メートルあるなら、それぞれの床面積の比率で分けたうえで車庫側の合計に加えます。
按分を忘れて通路をすべて住宅側に数えると、実際より車庫が小さく計算され、判定を誤るおそれがあります。
面積を測るときは、まず共用部分があるかどうかを先に確認してください。

通路の分だけ得したり損したりするってことですか。

そうならないための按分のルールです。
次は実際の確認の順番を整理しましょう。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストと電話で用途区分を確認する手順の様子
ここまでの基準を、確認する順番のとおりに並べ直します。
自宅の車庫を測るときにそのまま使えます。 まず車庫・駐車場部分の床面積を測り、共用の通路等があれば按分してから加えます。
次に一般住宅部分の床面積と比べ、どちらが大きいかを確認します。
車庫部分が住宅部分より小さく、かつ50平方メートル以下なら一般住宅として扱われます。
どちらかを満たさなければ、令別表対象物または複合用途防火対象物としての扱いに切り替わります。
判断に迷う面積のときは、実測した数値を持って所轄消防署に確認してください。

測って基準に当てはめれば、自分でも見通しが立ちますね。

はい。
ただ最終判断は所轄消防署が行うので、早めの相談をおすすめします。

よくある質問

Q一般住宅に付属する車庫は必ず届出が必要になるのか?
A面積の基準を満たす限り一般住宅としての扱いのままで、消防用設備等の設置届などは求められません。基準を超えた場合は用途区分が変わるため、あらためて確認が必要です。
Q車庫と住宅の間に扉しかない場合、床面積はどう数えるのか?
A扉だけでは共用部分にはなりません。両方の用途で共用している部分があるかどうかで判断します。廊下や物置のように共用している部分があれば按分の対象になります。
Q50平方メートルという基準は駐車場だけに使われるのか?
Aいいえ。この通知の記2は令別表第一の対象物全般と一般住宅が共存する場合に使われる一般的な基準です。車庫・駐車場はその代表例のひとつです。
Q車庫の面積を自分で測って判断してよいのか?
A実測して基準にどう当たるかを確認すること自体は可能ですが、最終的な用途の判定は所轄消防署が行います。増改築の前に相談しておくと安心です。

まとめ

自宅に付属する車庫は、面積のバランスによって一般住宅以外の扱いになることがあります
境目は50平方メートルという床面積です
車庫が住宅部分より小さく、かつ50平方メートル以下なら一般住宅として扱われます
車庫が住宅部分より大きい場合や、50平方メートルを超えて小さい場合は令別表対象物または複合用途防火対象物になります
車庫と住宅の面積がほぼ等しいときは複合用途防火対象物になります
共用の通路等がある場合は按分してから床面積を合計します
判断に迷うときは実測結果を持って所轄消防署に確認しましょう

うちの車庫も面積を測ってから進めます!

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令別表第一(13)項イ
  • 消防法施行令第1条の2第2項
  • 「令別表第1に掲げる防火対象物の取り扱いについて」(昭和50年4月15日消防予第41号・消防安第41号、最終改正:平成27年2月27日消防予第81号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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