敷地の隅に置く小さなガス発電機でも、建物からの距離を求められることがあります。
ところが同じ発電機でも、条件を満たす鋼板の箱に収めるだけで扱いが変わる場合があります。
変わるのは距離の話だけで、代わりに外箱そのものに新しい基準が課されます。
今回は火災予防条例(例)第12条第4項が定める外箱の基準を解説します。
うちの敷地に小さいガス発電機を置きたいんですが、建物のすぐ近くでも大丈夫でしょうか。
発電機の種類によっては、条件つきで距離が不要になります。
まずは条文の作りから見てみましょう。
普通の発電機だと3メートルくらい離すと聞いたことがあります。
それが原則です。
ただし気体燃料を使う小型のピストン式だけ、別枠が用意されています。
- 屋外の気体燃料ピストン式内燃機関発電設備は、出力が10キロワット未満で条件を満たす鋼板の外箱に収まっていれば、建築物から3メートル以上という距離の規定が適用されません
- 対象になる外箱は板厚0.8ミリメートル以上の鋼板製と定められています
- 外箱に断熱材や防音材を使う場合は、難燃性のものに限られます
- 換気口は外箱内部の温度上昇を防ぐ有効な換気と雨水等の浸入防止の両方を満たす必要があります
- 3メートルの距離自体は不要になりますが、火災予防上安全な距離の規定は別に残ります
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目次
屋外の小さなガス発電機はなぜ距離を取らなくてよいことがあるのか

ただし同じ条文の中に、その距離が要らなくなる区分が用意されています。
第12条第3項は、屋外の内燃機関発電設備に第11条第2項の3メートル以上の距離をそのまま持ち込みます。
第4項は「前項の規定にかかわらず」と書き出し、気体燃料を使うピストン式で条件を満たす外箱に収めたものだけをこの距離の規定から外します。
つまり同じ発電設備でも、燃料の種類と外箱の作り方しだいで条文の当たり方が変わります。
うちは気体燃料じゃなくて軽油を使うタイプなんですが、それでも対象になりますか。
気体燃料のピストン式だけが対象です。
燃料の種類とエンジンの型式を、まず銘板で確認しましょう。
どんな発電機がこの適用除外の対象になるのか

一つでも欠けると、原則どおり距離が必要になります。
対象になるのは屋外に設置し、気体燃料を使うピストン式の内燃機関発電設備だけです。
出力は10キロワット未満に限られ、これを超えると別の扱いになります。
さらに板厚0.8ミリメートル以上の鋼板製の外箱に収納されていることまで求められます。
出力や燃料の種類は仕様書で分かっても、板厚だけは現物を測らないと確認できません。
出力10キロワットって、うちの発電機のどこに書いてありますか。
定格出力の欄に必ず記載があります。
あわせて外箱の材質と板厚も仕様書で照合しましょう。
外箱の断熱材や防音材にはどんな条件が求められるのか

まず問われるのは、箱の内側に使う材料です。
条文が求めているのは断熱材又は防音材を使う場合に限り、それを難燃性のものにすることだけです。
断熱材や防音材そのものを使わない外箱であれば、この号自体は問題になりません。
使う場合は、メーカーの仕様書や試験成績書で難燃性の裏付けを残しておく必要があります。
つまり材料を選ぶときに難燃性かどうかを見ればいいんですね。
そのとおりです。
納品書と一緒に難燃性の証明も保管しておいてください。
換気口にはなぜ雨水対策まで必要になるのか

条文はここでも二つの条件を同時に求めています。
一つ目は外箱内部の温度が過度に上昇しないだけの換気ができることで、単に穴を開けるだけでは足りません。
二つ目は雨水等の浸入防止の措置で、換気口をルーバーやひさし状の構造にするなどの工夫が要ります。
さらにこの区分でも火災予防上安全な距離の規定(第3条第1項第1号)は準用されたまま残るため、3メートルは不要でも距離がゼロでよいわけではありません。
3メートル取らなくていいと聞いて安心してたんですが、距離はまだ関係あるんですね。
3メートルという数字だけが外れる形です。
燃えやすい物を近くに置かない配慮は引き続き必要です。
明日からなにを確認すればよいのか

書類と現物の両方をそろえておく必要があります。
- 燃料の種類が気体燃料であることをメーカー仕様書で確認する
- エンジン形式がピストン式であることを確認する
- 定格出力が10キロワット未満であることを銘板で確認する
- 外箱が板厚0.8ミリメートル以上の鋼板製であることを図面や仕様書で確認する
- 断熱材・防音材の難燃性と換気口の構造を書類に残し、設置前に所轄消防署へ相談する
出力や燃料の種類は据付前の打ち合わせ段階で分かりますが、板厚は現物が届いてから確認するしかありません。
断熱材・防音材の難燃性はメーカーの証明書類で裏付けを残しておくと、点検や検査の際の説明がスムーズになります。
書類は仕様書と証明書をひとまとめにしておけばいいですね。
はい、設置前に消防署へ相談するときもこの一覧がそのまま使えます。
点検のたびに慌てなくて済みます。
よくある質問
まとめ
外箱の板厚まで測って確認します!
書類の整備まで含めてお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 火災予防条例(例)第12条(内燃機関を原動力とする発電設備)
- 火災予防条例(例)第11条(変電設備)
- 火災予防条例(例)第3条(炉の位置及び構造の基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





