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BCPで地震後すぐ電気を復旧してよいのか|通電火災を防ぐ再通電手順を解説

地震後の復電前に分電盤を点検する施設管理者と電気工事の専門家

地震のあと停電が解消すると、早く営業や設備を戻したくなります。
しかし、倒れた電気機器や傷んだ配線へ一斉に通電すると、時間を置いて火災が起きるおそれがあります。
「電気が来たから使える」ではなく、誰が安全を確認し、どの順番で回路を戻すかを決めておくことが必要です。
地震後の復電は安全確認を先に行い、回路ごとに再通電して異常を監視します。

電気が戻ったら、すぐ主幹を入れてええんですか。

損傷とガス漏れの確認が先です。

復電できるかは誰が決めますか。

BCPに停止と再開の責任者を定めます。

この記事の結論
  • 地震後は電気機器を切り、避難時にブレーカーを落とします。
  • 復電前に配線・機器の損傷とガス漏れを確認します。
  • 安全を確認した回路から一つずつ再通電します。
  • 復電後も異臭・発熱・煙がないか監視します。
  • 消防計画の初動とBCPの業務再開判断をつなぎます。

設備の損傷とガス漏れを確認して回路ごとに復電し異常を監視する流れのアイソメ図

地震後すぐ電気を復旧してよいのか

地震後に施設管理者が避難前に主幹ブレーカーを切るアイソメ図
結論からいうと、地震後に安全確認なしで電気を戻してはいけません。
停電中に火が出ていなくても、再通電をきっかけに出火することがあります。
消防庁の消防白書は、地震時に転倒した暖房器具へ可燃物が触れた状態や、損傷した電気機器・配線へ再通電した際の短絡などによって起きる火災を通電火災として説明しています。
東京消防庁の「施設再開までの復旧計画」は、電気やガスの供給が再開するときに配線・配管の安全を確認すること、被災した設備は専門家へ点検を依頼することを示しています。
復電はライフラインの復旧ではなく、自施設の安全確認が終わってから行う作業です。
停電したら、使用中だった電熱器具、厨房機器、複合機、充電器などのスイッチを切ります。
避難する場合は、可能な範囲で主幹ブレーカーを切り、ガスの元栓も確認します。
建物へ戻った直後は、倒れた機器、挟まれたコード、濡れたコンセント、焦げ跡を目視で確認します。
壁や天井が大きく壊れた区画は立入禁止とし、自社判断で通電しません。
災害対策本部は、人命安全と二次災害防止を確認してから復電判断者へ引き継ぎます。
営業再開を急ぐ部署から要請があっても、安全確認の未了を記録して保留できる仕組みが必要です。

停電が直っても、建物は未確認なんですね。

はい。
自施設の点検を先にします。

どの設備と回路を復電前に確認するのか

施設管理者と電気工事の専門家が分電盤と配線とガス設備を点検するアイソメ図
確認対象は分電盤だけではありません。
受電側から末端の機器まで、電気と可燃性ガスの経路を区画ごとに見ます。
東京消防庁は、地震で配線が損傷すると、ブレーカーを入れた際に短絡や火花が生じる可能性があると説明しています。また、ガス漏れがある場所では電気スイッチの火花が着火源になるおそれがあります。
内閣府の事業継続ガイドラインは、従業員・顧客の安全確認と二次災害防止を優先し、建物や設備の被害状況を確認してBCP発動や復旧活動へ進む考え方を示しています。
分電盤、配線、接続機器、ガス設備、建物損傷を一つの点検票で確認します。
分電盤では盤の変形、水濡れ、焦げ跡、異臭、遮断器の状態を確認します。
配線では露出、挟み込み、切断、家具の転倒による圧迫がないかを見ます。
厨房、給湯室、ボイラー室ではガス臭や配管のずれを確認し、異常があれば電気スイッチに触れません
消防用設備では受信機、非常放送、誘導灯、消防ポンプ、非常電源の表示や損傷を確認します。
サーバー、冷蔵設備、医療機器など停止影響の大きい設備は、製造者や保守会社の再起動手順に従います。
点検できない天井裏や幹線、受変電設備は、電気工事業者などの専門家へ確認を依頼してください。
確認場所主な確認点異常時の扱い
分電盤・配線変形・水濡れ・焦げ・断線通電せず専門家へ連絡
ガス設備臭気・配管ずれ・元栓スイッチを操作せず退避
電気機器転倒・浸水・コード損傷プラグを抜いて使用停止

盤だけ見ても足りないんですね。

末端機器とガス設備まで見ましょう。

安全な再通電はどの順番で行うのか

分電盤で回路を一つずつ復電して記録する施設管理者のアイソメ図
一斉にすべての負荷を戻すと、どの回路で異常が起きたのか分かりにくくなります。
復電対象を区画と回路へ分け、確認と記録を挟みながら進めます。
消防庁は、電気を復旧するときに電気機器などの破損や配線・コードの損傷、可燃物との接触がないことを確認し、再通電後も煙や異臭などの異常を監視するよう呼び掛けています。
消防計画には、火災、地震その他の災害時の通報連絡、避難誘導、消火活動などを定めます。復電手順は、その初動が完了した後にBCPの重要業務再開へ接続する形で整理します。
安全を確認した回路から一つずつ入れ、機器はさらに一台ずつ起動します。
まず全ての分岐回路と接続機器が切れていることを確認します。
次に主幹を入れ、照明など状態を目で確認しやすい回路から復電します。
回路を入れるたびに遮断器の作動、異音、異臭、発熱、煙を確認し、担当者と時刻を復電記録へ残します。
重要業務の機器は、消防用設備や安全設備の状態を確認した後で起動します。
異常があれば直ちにその回路を遮断し、原因が分かるまで再投入を禁止します。
煙や火災を確認した場合は安全な場所へ退避し、消防機関へ通報してください。
  1. 分岐回路と接続機器を切る
  2. 損傷とガス漏れがないことを確認する
  3. 主幹を入れて盤の異常を確認する
  4. 安全を確認した回路から順に入れる
  5. 機器を一台ずつ起動して記録する

まとめて入れると原因が追えませんね。

一回路ずつ確認と記録を挟みます。

感震ブレーカーだけに任せてはいけないのはなぜか

復電後に熱画像計測器で電気設備の発熱を監視するアイソメ図
感震ブレーカーは、強い揺れを感知して電気を遮断し、通電火災を抑えるための設備です。
ただし、設置すれば点検や再通電手順が不要になるわけではありません。
消防庁は感震ブレーカーを地震時の電気火災対策として紹介する一方、夜間に突然電気が止まると避難に支障が出る可能性にも注意を促しています。非常灯や懐中電灯など、停電時の照明を確保することが必要です。
再通電後の火災は、しばらく時間が経ってから発生する場合があります。消防庁は、煙や異臭などの異常を感じたときは直ちにブレーカーを落とし、消防機関へ連絡するよう示しています。
自動遮断は初動を助けますが、安全確認と復電後監視の代わりにはなりません。
感震ブレーカーが作動した区画では、なぜ遮断されたのかを確認してから復電します。
作動しなかった区画も、揺れによる配線や機器の損傷がないとは限りません。
非常照明、誘導灯、通信機器、医療機器など、遮断による影響を事前評価します。
復電後は担当者を現場に残し、少なくとも主要な回路と機器の状態を継続して見ます。
焦げたような臭い、異音、発熱、煙があれば、無理に発生源へ近づかず直ちに遮断します。
無人になる時間帯の復電は避け、監視できる人員と連絡手段を再開条件にします。

自動で切れたら安心やと思っていました。

復電後の見守りまでが対策です。

明日から復電手順をどう確認するのか

施設管理者が回路一覧と復電チェックリストと連絡網を確認するアイソメ図
まず、単線結線図、分電盤回路表、設備台帳、消防計画、BCP、保守会社の連絡先を集めます。
そのうえで、停電から安全確認、復電、業務再開までを実際の建物でたどります。
東京消防庁の資料は、復旧作業と事業活動が同時に進む場合の連絡体制、安全な作業手順、立入禁止区域、変更した避難経路の周知などを復旧計画へ盛り込む考え方を示しています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、災害対策本部で被害情報、安全確認、二次災害防止、BCP発動判断、対応記録を扱い、重要業務の継続・復旧へつなぐ流れを示しています。
回路名、点検者、復電責任者、監視者を一枚の復電チェックリストへまとめます。
分電盤の回路表示と実際の接続機器が一致するかを平常時に確認します。
設備ごとに停止方法、損傷確認、専門家への連絡基準、再起動方法を書き出します。
復電責任者と代理者を決め、営業部門だけで再開を決めない承認経路にします。
訓練では主幹を実際に操作する必要はありません。盤の前まで歩き、指差しで回路順と監視場所を確認します。
非常灯、無線、懐中電灯、ヘルメット、手袋、消火器の位置も同時に現地確認します。
訓練で判明した表示の不一致や連絡不能を、消防計画とBCPの両方へ反映してください。
  • 分電盤の回路表示と接続機器を照合する
  • 損傷・ガス漏れ・立入禁止の確認欄を作る
  • 復電責任者と代理者を決める
  • 回路ごとの復電順と監視場所を決める
  • 専門家と消防機関の連絡先を確認する

盤の回路名から見直してみます。

表示と現物の照合から始めましょう。

よくある質問

Q停電が解消したら主幹ブレーカーを入れてよいですか?
Aすぐには入れません。建物、分電盤、配線、機器、ガス設備の異常を確認し、必要な範囲を専門家が点検してから復電責任者が判断します。
Q感震ブレーカーがあれば復電点検は不要ですか?
A必要です。感震ブレーカーは地震時の遮断を助けますが、配線や機器の安全を確認する設備ではありません。作動の有無にかかわらず損傷確認を行います。
Q復電後に焦げた臭いがしたらどうしますか?
A安全に操作できる場合は直ちにブレーカーを落とし、再投入しません。煙や火災があれば退避して消防機関へ通報し、原因確認は専門家へ依頼します。
Q消防計画とBCPのどちらへ書けばよいですか?
A消防計画には地震時の通報連絡、避難誘導、消火などの初動を定めます。BCPには安全確認後の設備復旧、重要業務の優先順位、業務再開判断を定め、同じ時系列でつなぎます。

まとめ

地震後は安全確認なしで復電しません。
避難時は機器を切り主幹ブレーカーを落とします。
配線・機器の損傷とガス漏れを確認します。
安全な回路から一つずつ復電します。
復電後は異臭・発熱・煙を監視します。
異常回路は再投入しない運用にします。
消防計画とBCPを同じ復電手順でつなぎます。

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復電前点検の訓練から始めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁・東京消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。建物や電気設備の損傷状況によっては、自社で復電せず専門家の点検が必要です。実際の復旧は電気工事業者、設備の保守会社、電力会社、ガス事業者および所轄消防署へご確認ください。

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