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BCPで消防用設備が故障したまま業務を続けてよいのか|代替措置と復旧判断を解説

故障表示が出た消防設備の受信機を施設管理者と消防設備業者が確認する写真

地震や浸水のあと、受信機に故障表示が出たまま「建物は使えるから」と業務を再開していませんか。
消防用設備等が一部でも止まると、火災を見つける、知らせる、消す、逃がす機能のどこかが欠けます。
全館を一律に閉鎖するのではなく、故障範囲と失った機能を確認し、代替措置、立入制限、修理の順で判断します。
設備ごとの代替措置と復旧確認を業務再開の条件にすることが、消防とBCPをつなぐ要点です。

警報設備が一部故障でも、営業できますか。

代替措置と使用範囲を先に決めます。

代わりに人が見回れば十分ですか。

失った機能ごとに組みます。

この記事の結論
  • 消防用設備等の故障は業務再開前に範囲と機能を確認します。
  • 警報、消火、避難など失った機能ごとに代替措置を決めます。
  • 安全を補えない区画は立入や使用を制限します。
  • 消防設備業者と所轄消防署へ故障状況と対応を連絡します。
  • 修理後は表示と作動、避難経路を確認し、復旧完了を記録します。

消防用設備の故障範囲を確認して代替措置と危険区画の制限と修理復旧を行う流れのアイソメ図

消防用設備が故障したまま業務を続けてよいのか

故障表示の受信機と損傷した感知器を確認するアイソメ図
結論からいうと、建物が使えるという理由だけで通常どおり再開しません。
消防用設備等が担っていた安全機能を特定し、代わりの方法で補えるかを確認します。
消防法第十七条は、関係者に対し、政令で定める技術上の基準に従って消防用設備等を設置し、維持することを求めています。
東京消防庁の中規模用消防計画にある施設安全点検表は、消防用設備等が故障・損傷している場合を「代替手段の確保・要復旧」とし、消防設備業者への連絡を示しています。
故障を見つけたら、設備名、場所、影響範囲、停止した機能を分けて記録します。
受信機の表示だけで判断せず、どの警戒区域や設備系統に影響するのかを確認します。
自動火災報知設備なら火災の発見と周知、消火設備なら初期消火、誘導灯なら避難誘導への影響を見ます。
同じ設備でも、一部区画だけの故障と建物全体の停止では必要な対応が変わります。
最初に人命安全へ直結する機能から確認します。
次に、復旧までの時間、在館者数、火気使用、夜間の勤務体制を整理します。
故障の原因や復旧方法を自己判断せず、消防設備業者へ連絡してください。
火災危険を十分に補えない場合は、区画閉鎖や休業を含めて判断します。

故障した設備名だけでは足りへんのですね。

範囲と失った機能まで見ます。

どの設備と場所を確認するのか

事務所の感知器と消火器と屋内消火栓と誘導灯と防火戸を確認するアイソメ図
消防用設備等は単独で働くとは限りません。
受信機、感知器、ベル、非常放送、連動設備など、火災時の流れに沿って確認します。
消防法第十七条の三の三は、防火対象物の関係者に消防用設備等の点検と、その結果の消防長または消防署長への報告を求めています。
消防庁は、設備ごとの点検基準、点検要領、点検票を公表しています。故障時も設備台帳や直近の点検記録を確認の入口にできます。
警報、消火、避難、安全区画の四つに分けると確認漏れを減らせます。
警報は、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、非常警報設備、放送設備を見ます。
消火は、消火器、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備などの使用可否を確認します。
避難は、誘導灯、誘導標識、避難器具、非常口、階段の状態を見ます。
安全区画は、防火戸、防火シャッター、排煙設備の作動や手動操作を確認します。
設備本体だけでなく、電源、水源、配管、配線、連動先に二次的な停止がないかを確かめます。
平面図へ故障範囲を色分けし、営業区画と閉鎖区画を分けます。
テナントビルでは、専有部の異常を防災センターや管理会社へ集約します。
直近の点検結果と災害後の現状を混同せず、現場を見て更新します。

設備台帳と現場を一緒に見るんですね。

点検記録と現状を照合します。

設備ごとの代替措置はどう組むのか

巡回警戒と消火器増強と拡声器と避難誘導員を配置するアイソメ図
代替措置は、故障した設備と同じ物を置くことだけではありません。
その設備が担っていた機能を、別の設備と人の体制で一時的に補います。
東京消防庁の停電時対策は、自動火災報知設備等が使えない場合の巡視警戒、火災発見時の周知・連絡、誘導灯停止時の避難誘導体制、防火戸等の手動操作手順の再確認を示しています。
同庁の工事中の消防計画作成例は、スプリンクラー設備等の停止時に他の消火設備を増強し、自動火災報知設備や誘導灯の停止時には仮設工事等で機能を確保する考え方を例示しています。
代替措置は、発見、通報、初期消火、避難誘導の流れが途切れないように組みます。
自動火災報知設備が止まった区域では、巡回する人、巡回間隔、異常発見時の通報先と館内周知方法を決めます。
非常放送が使えない場合は、携帯拡声器や声による周知と、担当者の配置を検討します。
消火設備が使えない場合は、使用可能な消火器や屋内消火栓等を確認し、必要な増強を専門業者と相談します。
誘導灯が使えない場合は、代替照明、誘導員、使用できる避難経路を明示します。
防火戸や排煙設備が自動で動かない場合は、手動操作の担当と位置を確認します。
巡回者へ別の業務を兼務させすぎると、必要な頻度を保てません。
代替措置の開始時刻、担当、対象区域、終了条件を一枚の記録表へまとめます。
具体的な組合せは設備と建物で異なるため、所轄消防署へ相談してください。
失った機能代替措置の例
火災の発見・周知巡回警戒・連絡方法・拡声器
初期消火使用可能設備の確認・消火器等の増強
避難誘導代替照明・誘導員・経路表示
区画・排煙手動操作の担当・位置・手順

見回りだけ決めても足りへんのですね。

発見から避難までつなげます。

代替措置があっても再開できないのはどんな場合か

損傷した事務所区画を閉鎖して隣の安全な区画だけを使用するアイソメ図
代替措置を用意したからといって、必ず業務を再開できるわけではありません。
人の体制と建物の状況を合わせて、継続できる範囲を決めます。
東京消防庁の施設安全点検表は、非常階段や非常口が通行できず復旧できない場合を立入禁止とし、消防用設備等の故障・損傷には代替手段の確保と復旧を示しています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、被害状況を把握し、目標復旧時間や利用できる資源を踏まえて重要業務の継続・復旧を判断する考え方を示しています。
代替措置で安全機能を補えない場所は、業務より先に立入や使用を制限します。
複数の警報設備や消火設備が同時に止まり、巡回や初期消火を担う人数が足りない場合があります。
唯一の避難経路が使えない、非常口が開かない、階段に損傷がある場所は使用できません。
夜間や休日に監視要員を確保できない場合も、昼間と同じ代替措置は続けられません。
厨房や溶接など火災危険が高い作業は、設備が復旧するまで停止する判断が必要です。
余震、浸水、停電が続き、設備の状態が変化する場合は再点検の時刻を決めます。
安全な区画だけを使うときは、境界、在館者数、避難経路、担当者を明示します。
迷う状態で「前も大丈夫だった」と判断せず、所轄消防署と専門業者へ相談します。
全館再開、部分再開、代替拠点、休業の選択肢をBCPに持たせます。

部分再開という選択肢もあるんですね。

安全な範囲だけに絞ります。

明日から故障時の対応をどう確認するのか

消防設備の故障対応表と連絡用電話と修理工具と復旧済み受信機のアイソメ図
災害時に設備名から対応を考え始めると、連絡と判断が遅れます。
平常時に、設備一覧、代替措置、連絡先、再開条件を一組にします。
消防庁の地震火災対策資料は、震災時に消火栓や火災通報装置が使えない場合を想定し、代替措置を講じておくことを示しています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、教育・訓練、点検、是正、経営者による見直しを繰り返し、計画の実効性を高める考え方を示しています。
設備別の故障対応表を作り、異常発見から復旧確認まで訓練します。
まず消防用設備等の一覧へ、設置場所、対象区域、連動先、保守業者を記入します。
次に設備ごとに、停止時に失う機能と代替措置の候補を整理します。
夜間や休日を含む連絡先と、管理会社、所有者、所轄消防署への報告順を決めます。
立入制限、部分再開、休業へ切り替える判断条件と権限者を定めます。
修理完了の連絡だけで終わらず、受信機表示、設備の作動、連動、避難経路を確認します。
確認結果、復旧時刻、確認者、残った不具合を記録します。
訓練では一つの設備が停止した想定で、巡回、周知、初期消火、避難誘導を動かします。
訓練後に不足した人員や資機材をBCPと消防計画へ反映します。
  1. 設備一覧と対象区域をそろえる
  2. 失う機能と代替措置を決める
  3. 連絡先と判断権限を定める
  4. 復旧確認の項目を作る
  5. 設備停止を想定して訓練する

故障対応表を作って訓練します。

復旧確認まで動かしましょう。

よくある質問

Q消防用設備等が一部故障したら必ず全館休業ですか?
A一律には決まりません。故障範囲、失った機能、代替措置、避難経路、在館者を確認し、使用できる区画を所轄消防署や専門業者と相談します。
Q自動火災報知設備が故障したら巡回だけで足りますか?
A巡回だけでなく、異常発見時の通報、館内周知、初期消火、避難誘導まで一続きの体制にします。
Q代替措置は誰が決めるのですか?
A管理権原者、防火管理者、管理会社、消防設備業者で状況を整理し、必要に応じて所轄消防署へ相談して決めます。
Q修理業者から完了連絡が来たら通常運用へ戻せますか?
A連絡だけで戻しません。表示、作動、連動、避難経路を確認し、復旧時刻と確認者を記録して代替措置を解除します。

まとめ

故障範囲と失った機能を確認します。
警報、消火、避難、区画を機能別に整理します。
設備ごとの代替措置を実施します。
補えない区画は立入や使用を制限します。
専門業者と所轄消防署へ相談します。
修理後は表示と作動と連動を確認します。
復旧完了を記録して業務再開へつなげます。

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代替措置と復旧確認まで整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令・消防庁・自治体・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。設備の種類、故障範囲、建物用途、在館者、火気使用、地域の運用によって必要な代替措置や業務再開の判断は異なります。実際の対応は、消防設備士、設備保守業者、建物所有者、管理会社、所轄消防署等へご確認ください。

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