地震後の確認で、廊下の非常ベルは鳴ったのに会議室側だけ聞こえなかったらどうしますか。
「建物のどこかで鳴っているから大丈夫」と通常営業へ戻すのは危険です。
聞こえない区画を特定しないままでは、火災時の避難開始が遅れるおそれがあります。
不鳴動の範囲を記録し、代替周知を配置して、専門点検と復旧判断へつなぐことが重要です。
会議室だけベルが聞こえません。
営業を再開できますか。
まず聞こえない範囲を特定しましょう。
拡声器で知らせれば復旧ですか。
代替周知は暫定対応です。
専門点検まで継続します。
この記事の結論
- 不鳴動区画を特定できるまで通常どおりの営業再開を急ぎません。
- 起動場所・鳴動区画・聞こえ方・外観を写真と記録に残します。
- 不鳴動区画へ担当者と携帯用拡声器などの代替周知を配置します。
- 代替周知を消防用設備の法定上の復旧と同じ扱いにしません。
- 専門業者の点検結果を受け、施設責任者が復旧と再開を判断します。
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目次
地震後に非常ベルが一部鳴らなかったら営業を再開してよいのか

火災時に警報が届かない場所では、在館者が避難を始めるきっかけを失うおそれがあります。
まず鳴った場所と鳴らなかった場所を分け、警報の空白を見える形にします。
消防法第17条は、対象となる防火対象物の関係者に、技術上の基準に従って消防用設備等を設置し、維持することを求めています。
火災がない安全な状態で不鳴動が分かった場合は、受信機や操作部の表示、起動場所、警報が聞こえた区画を記録します。
施設担当者が機器を分解したり配線を触ったりせず、発見時の状態を保存してください。
代替周知を配置できるか、専門業者が点検できるかを確認し、施設責任者が再開条件を決めます。
一部でも空白があれば記録します。
はい。
聞こえない場所が核心です。
どの非常警報設備と警報範囲を確認するのか

起動装置、操作部、ベルやサイレン、表示灯、配線、非常電源など、警報を出す一連の経路を専門業者へ伝えます。
消防法施行令第24条は防火対象物の用途や収容人員などに応じた非常警報器具・非常警報設備を定め、消防法施行規則第25条の2は音響装置や操作部などの基準を定めています。
確認範囲は次のように整理します。
- 非常ベル、サイレン、放送設備などの設備方式
- 起動した場所と操作部・受信機の表示
- 鳴った階、鳴らなかった階、聞こえにくい室
- 閉鎖した扉、騒音、間仕切り変更など周辺条件
- 表示灯、音響装置、配線、非常電源の外観
規則ではベルやサイレンの音圧について、音響装置の中心から1メートル離れた位置で90デシベル以上という基準もあります。
ただし現場担当者が数値だけで合否を決めず、設備方式と測定条件を専門業者へ確認してください。
テナント内と共用部の担当を分け、確認漏れの区画を残さないことが大切です。
1室だけ見れば終わりではないんですね。
そうです。
警報の経路全体を見ます。
発見から代替周知と専門点検までどう進めるのか

設備担当、防火管理者、BCP担当、テナント責任者が同じ不良範囲を共有してください。
代替周知を置くだけで終わらせず、誰がいつまで巡回し、復旧確認を誰が受けるかまで決めます。
- 火災や落下物がない安全な試験環境かを確認する
- 起動場所、表示、鳴動区画、不鳴動区画を記録する
- 関係者へ設備不良と立入・利用条件を共有する
- 担当者、携帯用拡声器、連絡手段を不鳴動区画へ配置する
- 専門業者へ点検を依頼し、復旧結果を施設責任者へ渡す
設置されている非常警報設備と同じ法定上の設備へ自動的に置き換わるものではありません。
運用中は担当者の交代、電池、巡回経路、通報手段を時刻入りで記録します。
専門点検の日時と復旧見込みを関係者へ伝え、暫定対応の終了条件を明確にしてください。
代替周知の交代まで決めます。
ええですね。
空白時間を防止できます。
近くで聞こえればよいと思うと何を見落とすのか

地震で音響装置が外れかけたり、間仕切りや積荷が音を遮ったりする場合もあります。
設備の近くで鳴ったことと、必要な区画へ警報が届いたことは分けて確認します。
消防庁の非常警報器具及び設備の点検基準では、音響装置の外形、取付け、周囲の障害物、音圧・音色、鳴動方式などを確認します。
- ベル本体が傾き、壁や物に接触している
- 扉や新設間仕切りで警報音が届きにくい
- 機械音や作業音で警報音を判別できない
- 一部の階だけ鳴動方式どおりに鳴らない
- 試験中の声掛けが聞こえ、ベルも聞こえたと誤認する
起動操作や総合試験は、設備の方式を理解した有資格者・専門業者と調整してください。
施設担当者だけで端子や音量を調整せず、現状の写真と聞こえ方を残します。
「近くでは聞こえた」という印象ではなく、区画ごとの確認結果で判断しましょう。
閉めた室内でも確認します。
はい。
普段の利用状態で見ます。
明日から非常ベルの不鳴動対応をどう確認するのか

消防計画には通報・避難誘導の役割を、BCPには設備不良時の代替周知と業務再開条件を整理しましょう。
「会議室側だけ聞こえない」という想定で、不鳴動範囲の把握から代替周知まで訓練します。
- 設備方式、鳴動方式、警報対象区画を図面で確認する
- 設備担当、防火管理者、BCP担当の責任者と代行者を決める
- 不鳴動区画を記録する点検票と連絡文を準備する
- 携帯用拡声器、電池、巡回経路、交代要員を決める
- 専門業者と所轄消防署への連絡先と順番を確認する
- 訓練後に周知時間と未確認区画を記録して改善する
代替周知担当が避難誘導や119番通報と重複しないよう、代行順位を決めてください。
復旧後は設定された鳴動方式、表示、音響、非常電源などの結果を受け取り、施設側で保管します。
消防計画とBCPを更新したら、更新日と責任者を残しましょう。
一部不鳴動の想定で訓練します。
ええですね。
周知の空白を見つけられます。
よくある質問
Q隣の部屋でベルが聞こえれば営業を再開できますか?
A隣で聞こえることだけでは判断できません。不鳴動区画と設備方式を確認し、専門点検と施設側の再開判断へつなげます。
Q携帯用拡声器を置けば消防用設備は復旧扱いになりますか?
A自動的に同じ扱いにはなりません。代替周知は暫定策として管理し、専門業者と所轄消防署へ確認してください。
Q施設担当者がベルの端子や音量を調整してよいですか?
A分解や調整は行わず、表示と外観を記録して、設備方式を理解した有資格者・専門業者へ依頼します。
Q復旧完了は誰が判断しますか?
A専門業者の点検結果と代替周知の終了条件を確認し、施設側の責任者が判断します。復旧時刻と根拠を記録します。
まとめ
✔不鳴動区画を特定してから再開条件を決めます。
✔起動場所と聞こえ方を写真で記録します。
✔警報を出す経路全体を確認します。
✔不鳴動区画へ代替周知を配置します。
✔代替周知の交代と終了条件を決めます。
✔専門点検で復旧結果を確認します。
✔一部不鳴動の訓練を消防計画とBCPへ残します。
一部不鳴動の訓練をやってみます!
範囲特定・代替周知・専門点検を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
この記事を書いた人
監修・編集者
青木 俊輔
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
主な活動
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行令第24条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第25条の2
- 消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領
- 消防庁 非常警報器具及び設備の点検基準
- 消防庁 消防用設備等の点検要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令・点検資料等に基づく一般的な解説です。非常警報設備の点検方法、代替周知、復旧、営業再開の判断は建物の用途・規模・設備方式や被害状況で異なります。実際の対応は専門業者および所轄消防署へご確認ください。





