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BCPで地震後に連結散水設備の送水口が破損していたらどうするのか|消防隊への引継ぎと復旧確認を解説

連結散水設備の送水口が破損したときにえんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が確認するアイキャッチ

地震のあと、建物外の連結散水設備の送水口を見ると、結合金具が変形したり、保護枠が傾いたりしていることがあります。
外観だけではどこまで送水できるか分からず、施設担当者がキャップを外して確かめると、損傷や漏れを広げるおそれがあります。
送水口は消防隊が地下階などへ水を送る入口なので、場所と送水区域を正確に引き継ぐことが重要です。
BCPでは、安全確保、状態記録、対象区域の照合、専門点検、消防隊への引継ぎを一続きの手順にします。

送水口が曲がっています。

触る前に写真を残しましょう。

片方だけでも使えますか。

現場だけで決めず、系統で確認します。

この記事の結論
  • 破損した送水口は触らず使用不能の疑いとして扱います
  • 位置、表示、外形、周囲、発見時刻を操作前に記録します
  • 送水区域と配管系統を系統図と点検票で照合します
  • 専門業者が送水口、弁、配管、散水ヘッドを確認します
  • 消防隊へ使用不能箇所と対象区域を伝え引継ぎ記録を残します

連結散水設備の送水口が破損したときに安全確保から送水区域の照合と消防隊への引継ぎまで進める図解

地震後に連結散水設備の送水口が破損していたらどうするのか

建物外の送水口から地下階の散水ヘッドへ配管がつながる連結散水設備のアイソメ図
結論からいえば、送水口を操作せず使用不能の疑いとして管理し、消防隊と専門業者へ状態を伝えます
連結散水設備は、地下階などで消防隊が建物外の送水口から水を送り、散水ヘッドから放水するための設備です。
送水口が変形すると、消防用ホースを確実に接続できない、送水時に漏れる、逆止弁や配管にも損傷が及んでいる可能性があります。
消防法第17条は、防火対象物の関係者に消防用設備等を技術上の基準に従って設置し、維持することを求めています。消防法施行令第28条の2と消防法施行規則第30条の3は、連結散水設備の設置と構造に関する基準を定めています。
最初に火災、煙、焦げ臭、漏水、倒壊物がないかを確認し、異常があれば119番通報と避難を優先します。
送水口の周囲に外壁片やガラスが落ちている場合は近づかず、余震で落下しそうな範囲も含めて立入制限を行います。
施設担当者はキャップの取り外し、結合金具へのホース接続、試し送水、分解を行いません。
建物名、設置場所、標識、単口か双口か、変形や漏れ、周囲の障害物を写真に残してください。
消防隊が到着したときに、破損箇所と安全な進入経路、系統図の保管場所をすぐ示せる状態にします。
復旧は外観が戻ったかではなく、専門点検で送水口から散水ヘッドまでの必要な機能を確認した記録で判断します。

送水口だけ見ても足りないんですね。

せやで。
送水区域まで追います。

どの送水口と送水区域を対象に確認するのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が連結散水設備の送水口と標識を確認するアイソメ図
破損した金具だけで終わらず、送水口、逆止弁、止水弁、配管、選択弁、散水ヘッドを一つの系統として確認します
同じ建物に複数の送水口や送水区域がある場合、外観だけではどの地下区画へつながるか判断できません。
連結散水設備の系統図、建物平面図、直近の点検票を並べ、送水口と送水区域の対応を確認します。
消防庁の「別表第19 連結散水設備の点検の基準」は、送水口について周囲の状況、外形、本体、標識及び系統図を確認します。外形は漏れ、変形、損傷、異物がないこと、本体はホース等を容易に着脱できることが確認項目です。
確認対象は次のとおりです。
  • 送水口の位置、標識、単口・双口の別、系統図
  • 結合金具、キャップ、保護枠、逆止弁、止水弁
  • 選択弁、一斉開放弁、配管、支持金具
  • 対象となる地下階、送水区域、散水ヘッド
  • 消防ポンプ自動車の接近経路と接続作業スペース
送水口の前に車両、資材、がれきがあれば、消防ポンプ自動車の接近やホース接続の障害になります。
安全に移動できる物だけを撤去し、倒れた外壁や損傷した工作物は無理に動かしません。
双口形の一方がきれいでも、共通する本体、逆止弁、配管が損傷している可能性があります。
どの送水区域が使えるかは施設側の推測で決めず、設備図と専門点検で確認してください。
建物名、方角、送水口番号、系統名、対象区域をそろえ、同じ外観の送水口の取り違えを防ぎます。
系統が特定できない間は、狭い区画だけを正常扱いせず、広めの影響範囲で管理します。

外の番号と地下区画を合わせます。

系統図の番号で確認しましょう。

破損の発見から立入制限と消防隊への引継ぎまでどう進めるのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が破損した送水口を記録し周囲を立入制限するアイソメ図
安全な位置から記録し、立入制限、系統照合、専門業者への連絡、消防隊への引継ぎの順で進めます
地震後の外壁際には、落下物、ガラス片、段差、漏水、余震による二次被害の危険があります。
送水口へ近づく前に、上部と足元、消防車の進入経路を確認してください。
消防庁の連結散水設備点検要領は、送水口周囲の使用上・消防ポンプ自動車の接近上の障害、漏れ・変形・損傷・異物、ホース等の着脱、標識及び系統図などを確認する手順を示しています。
施設担当者は次の順番で進めます。
  1. 火災、煙、漏水、落下物、余震の危険を確認する
  2. 建物名、位置、送水口番号、発見時刻を記録する
  3. 標識、全景、結合金具、保護枠、周囲を写真に残す
  4. 送水口へ触れず使用不能の疑いを表示する
  5. 系統図と点検票で対象となる送水区域を照合する
  6. 防火管理者、建物管理者、専門業者へ連絡する
  7. 消防隊へ破損箇所、対象区域、安全な進入路を引き継ぐ
写真は近接写真だけでなく、建物のどの面にあるか分かる引きの写真も残します。
キャップを外した人やホースを試着した人がいる場合は、操作内容と時刻を記録してください。
施設担当者は水を送り込まず、専門業者へ発見時の状態をそのまま引き継ぎます。
専門業者には、地震時刻、余震、漏れ、変形、異物、直近の工事、過去の点検指摘も伝えます。
消防隊へは、破損した送水口、同じ系統と考えられる送水区域、系統図、確認済みの進入経路を伝えます。
使用可能な別系統がある場合も、専門点検で確認できた範囲だけを共有します。
引継ぎ後は、誰へ何時に何を伝えたかをBCP記録へ残してください。

建物の面まで写真で分かります。

ええですね。
迷わない記録になります。

一方の結合金具が使えれば送水できると思うと何を見落とすのか

消防設備の専門業者が双口形送水口と逆止弁と配管を点検するアイソメ図
一方の結合金具が無傷でも、共通本体、逆止弁、止水弁、配管、散水ヘッドまで正常とは限りません
双口形送水口は二つの接続口が見えても、その先で本体や配管を共有しています。
地震の力が保護枠や配管へ伝われば、外から見えない継手や支持金具に損傷が生じる可能性があります。
消防庁の点検基準・点検要領は、送水口だけでなく、選択弁、一斉開放弁、配管、バルブ類、散水ヘッド、耐震措置を分けて確認する構成です。送水口の外観だけで設備全体の機能を判断するものではありません。
見落としやすい判断は次のとおりです。
  • 双口形の一方が無傷なので使用可能と判断する
  • 送水口だけを見て逆止弁や止水弁を確認しない
  • 地下階の配管、支持金具、散水ヘッドを確認しない
  • 保護枠を戻しただけで使用不能表示を外す
  • 余震後の再確認と消防隊への更新連絡を忘れる
結合金具にホースを試着すると、変形部をさらに傷めたり、外せなくなったりするおそれがあります。
外観がきれいでも、逆止弁の異常や配管の漏れがあれば必要な送水ができない可能性があります。
散水ヘッドが脱落し、周辺に未警戒部分や散水障害が生じている場合もあります。
専門業者は設備構成と被害状況に応じて、外観、弁、配管、ヘッド、必要な機能を確認します。
補修後も使用不能表示を自動で外さず、点検結果と対象区域を防火管理者が確認します。
確認中は火気制限と巡回などの代替措置を所轄消防署と相談します。
本復旧では対象区域を含む系統の機能を確認し、解除時刻と承認者を記録します。

片方が無傷でも決められませんね。

共通部分まで確かめます。

明日から送水口の破損対応をどう確認するのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの担当者が連結散水設備の系統図を消防隊へ引き継ぐアイソメ図
平常時に送水口番号、送水区域、系統図、進入経路、連絡先を一枚の引継ぎシートへまとめます
災害時に初めて系統図を探すと、外の送水口と地下区画を照合するだけで時間を失います。
消防隊が到着する入口、消防車の停車位置、送水口、選択弁、対象区域を平面図へ記入してください。
消防庁の大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドラインは、消防用設備等が損傷して正常に機能しないことを想定し、被害確認や情報伝達などを計画へ反映する考え方を示しています。内閣府の事業継続ガイドラインは、対応体制、資源、教育訓練、点検、継続的改善を進める考え方を示しています。
次の項目を連結散水設備の異常時チェックシートへまとめてください。
  1. 送水口と送水区域へ共通番号を付ける
  2. 正常時の標識、結合金具、保護枠を写真に残す
  3. 系統図と最新の点検票をすぐ開ける場所に保管する
  4. 施設担当者が行わない操作を明記する
  5. 防火管理者、建物管理者、専門業者の連絡順を決める
  6. 消防車の進入路と送水口前の作業空間を確認する
  7. 復旧条件、解除承認者、余震後の再確認を決める
点検や改修で送水口、弁、送水区域の名称が変わったら、系統図と引継ぎシートを同時に更新します。
送水口の前には車両や物品を置かず、消防ポンプ自動車が接近できる状態を保ちます。
BCP訓練では「地震後に建物北側の送水口が破損した」という想定を出し、記録から消防隊引継ぎまで動かします。
訓練では、別の送水口を勝手に代替と決めていないか、送水区域の図面が古くないかも確認してください。
訓練後は、番号の不足、写真の不鮮明さ、連絡の遅れ、進入経路の障害を改訂項目へ入れます。
専門点検の結果を受け取ったら、消防計画とBCPの両方に最新の使用可能範囲を反映します。

送水区域にも同じ番号を付けます。

ええですね。
消防隊へ短く伝えられます

よくある質問

Q送水口のキャップだけ外して内部を見てもよいですか?
A地震後に変形や漏れがある場合は触りません。安全な位置から外観を記録し、消防設備の専門業者へ確認を依頼します。
Q双口形の片方が無傷なら使用可能ですか?
A外観だけでは決められません。共通する本体、弁、配管の被害があるため、点検で系統の使用可否を確認します。
Q施設担当者はどこまで確認できますか?
A安全な位置から場所、標識、外形、漏れ、周囲の障害を記録します。接続、送水、分解は行わず専門業者へ引き継ぎます。
Q復旧記録には何を残せばよいですか?
A発見時刻、場所、写真、送水区域、立入制限、連絡先、点検・補修内容、使用可能範囲、解除時刻と承認者を残します。

まとめ

破損した送水口には触りません
位置、表示、外形、時刻を操作前に記録します
送水口から散水ヘッドまで系統で照合します
専門業者が弁と配管とヘッドを確認します
確認中は使用不能表示と立入制限を続けます
消防隊へ破損箇所と対象区域を伝えます
復旧条件と解除承認をBCPへ残します

送水口番号と送水区域をそろえます!

消防隊へ確実に引き継げる備えにしましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備方式、条例、建物の被害、所轄消防署の運用によって対応が異なる場合があります。個別の使用可否や復旧判断は消防設備の専門業者と所轄消防署にご確認ください。

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