「うちの建物にある赤い送水口は、消防車がつなぐだけの穴じゃないんですか」と聞かれることがあります。
実はあの送水口、スプリンクラー設備・連結散水設備・連結送水管という3つの異なる設備に共通して使われる部品です。
条文の号だけでは基準が完結せず、細かい試験内容は消防庁長官が定める告示に委ねられています。
この記事では、送水口がなぜ3つの設備で共通の基準になっているのか、どんな試験に合格しなければならないのかを解説します。
うちの建物、外壁に赤い穴が2つ並んだ金具があるんですが、あれは全部同じ規格なんでしょうか。
設備ごとに違う気がします。
実は消防庁の告示1本が、複数の設備の送水口をまとめて規定しています。
設備ごとに別物を用意しているわけではありません。
なぜ設備が違うのに同じ告示で決まっているんでしょうか。
詳しく知りたいです。
構造・材質から耐圧・漏水・曲げの試験まで、ひとつずつ基準が決まっています。
順番に見ていきましょう。
- スプリンクラー設備・連結散水設備・連結送水管の送水口は、いずれも同じ消防庁告示(スプリンクラー設備等の送水口の基準)の試験に合格したものでなければなりません
- 結合金具は差込式又はねじ式で、呼称65の規格に適合し、ホース接続口には逆止弁が内蔵されている必要があります
- 送水口には3メガパスカルの水圧を3分間加えても壊れない耐圧性能が求められます
- 連結散水設備では散水ヘッドが4個以下の場合を除き、送水口は双口形にしなければなりません
- 点検では製造者名・製造年・型式番号の表示が消えずに残っているかを確認します
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目次
なぜ送水口は3つの設備で共通の告示1本にまとめられているのか

条文の号だけでは、送水口そのものの合否は決まりません。
この委任を受けて定められたのが、スプリンクラー設備等の送水口の基準(平成13年消防庁告示第37号)です。
告示の第一(趣旨)にも、この告示がスプリンクラー設備・連結散水設備・連結送水管の送水口をまとめて対象にすることが明記されています。
設備ごとの条文が結合金具の位置や標識といった設置面のルールを定め、告示側が送水口という部品そのものの試験内容を定めるという役割分担です。
建物の外壁で見かける送水口が、どの設備につながるものであっても同じ告示の試験をくぐり抜けている理由がここにあります。
設備ごとに別々の告示があるわけじゃないんですね。
意外でした。
はい、部品としての送水口はひとつの告示にまとまっています。
次は具体的な構造の基準を見ていきます。
送水口の結合金具や逆止弁はどんな構造でなければならないか

まずは結合金具と内部の弁を確認します。
呼称65という規格は、消防用ホースの結合金具の規格と揃えられたもので、現場で口径が合わないという事態を防ぐためのものです。
ホース接続口の内部には逆止弁が組み込まれており、送水した水が建物側の配管へ確実に流れ、逆流しない仕組みになっています。
保護キャップは容易に脱着できる一方で経年劣化しにくいものであることが求められ、ふだんは内部にゴミや虫が入るのを防いでいます。
双口形の送水口では、2つの接続口の角度や間隔がホースの接続作業を妨げないように保たれていることも条件です。
中に逆止弁が入っているのは知りませんでした。
見た目じゃ分からないですね。
はい、外からは見えない部分にも構造の決まりがあります。
次は水圧に耐える性能を見ていきます。
送水口はどれだけの水圧に耐えなければならないのか

送水口はその圧力に確実に耐えなければなりません。
3メガパスカルという圧力を3分間加え続けても、ひび割れや変形、漏水が起きないことが条件です。
さらにホースの差し口が結合部から外れてしまわないことも同時に確認されます。
漏水試験は、より低い圧力域である2メガパスカル以下の任意の圧力で、水が漏れ出さないかを見るものです。
どちらも製品を作る段階で行われる型式試験で、設置後の建物ごとにこの圧力をかけ直すわけではありません。
3メガパスカルってどれくらいの強さなんでしょうか。
想像がつきません。
実際に消防車から送られる圧力よりも高い水準で試験されています。
次は双口形や材質など見落としやすい点です。
双口形の送水口や材質で見落としやすいのはどこか

設備の規模によって双口形と単口形が使い分けられています。
散水ヘッドが4個以下の小規模な区画に限り、単口形の送水口で足ります。
材質についても、パッキン以外の部品は日本産業規格のH五一二〇やG五五〇一等に適合するもの、またはこれと同等以上の強度・耐食性を持つものと定められています。
さらに曲げ試験という、ホースを引っ張る方向とは違う横向きの力が加わっても接続が外れないかを確かめる試験もあります。
見た目の似た金具でも、規格に合わないものを勝手に取り付けることはできません。
穴がひとつしかない送水口を見たことがありますが、あれは手抜きじゃなかったんですね。
はい、規模に応じた正しい形です。
最後に日頃の確認ポイントをお伝えします。
明日から送水口の何を確認すればよいのか

日頃の点検では、表示と外観を確認することが基本になります。
表示が消えていたり、さびで判読できなくなっている場合は、経年劣化のサインとして交換を検討する材料になります。
あわせて、保護キャップが脱落していないか、結合金具に変形やがたつきがないかも見ておきます。
送水口自体の耐圧・漏水・曲げの試験は製品を作る段階で完了しているものなので、現場でやり直すことはできません。
だからこそ、表示という「合格の証」を消さずに残しておくことが実務のポイントになります。
表示さえ確認しておけば、日々の点検はできるんですね。
はい、表示の劣化は交換のサインになります。
気になったら早めにご相談ください。
よくある質問
まとめ
送水口が3つの設備で共通の告示によって決まっているとよく分かりました!
まずは自分の建物の送水口の表示を確認してみます。
表示や結合金具の状態の確認が交換の目安になります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第14条第1項第6号(スプリンクラー設備に関する基準の細目)
- 消防法施行規則第30条の3第4号(連結散水設備に関する基準の細目)
- 消防法施行規則第31条第4号の2(連結送水管に関する基準の細目)
- スプリンクラー設備等の送水口の基準(平成13年6月29日消防庁告示第37号、最終改正 令和元年6月28日消防庁告示第2号)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





