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石油ストーブはなぜ地震で自動消火しなければならないのか|火災予防条例が定める装置と確認手順を解説

石油ストーブの地震時自動消火装置を解説する記事のアイキャッチ画像

灯油を使う移動式のストーブを職場や店舗で使っているとき、地震が起きたらどうなるのか気になったことはないでしょうか。
市販されている石油ストーブの多くには、地震を感知して自動的に消火する装置が付いています。
これは製品ごとの任意の機能ではなく、条例が使用者に課している技術基準です。
この記事では、この装置がなぜ義務になっているのか、どんな種類が認められているのか、古い機種で注意すべき点を整理します。

うちで使っている石油ストーブ、地震のときにちゃんと消えるのか気になります。

それは対震自動消火装置という設備が関係します。
条例でどう決まっているか見ていきましょう。

対震自動消火装置というのは、うちのストーブにも付いているものでしょうか。

機種によっては付いていないものもあります。
まず義務の根拠から確認します。

この記事の結論
  • 液体燃料を使用する移動式ストーブは、地震等により自動的に消火する装置または燃料の供給を停止する装置を備えなければなりません
  • 根拠は火災予防条例(例)第18条第2項です
  • この基準は消防法第9条に基づき、市町村条例で定められる取扱いの基準です
  • 装置は自動消火燃料遮断のいずれか一方でよいとされています
  • 基準が導入された当時から使われていたストーブには経過措置が置かれていました

移動式ストーブが地震を感知して自動消火または燃料遮断で出火を防止する流れを示した図解

石油ストーブに対震自動消火装置が付いているのはなぜ義務なのか

移動式の石油ストーブが地震で振動している横で対震自動消火装置が作動しているイメージ
灯油やガスを使う器具の取扱いは、法律ではなく市町村条例で細かく決められています。
その条例の内容には、国が示す基準に従うことが法律自体で求められています。
消防法第9条 かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。
ストーブの取扱いに関する基準は、この条文を根拠に市町村条例に置かれています
条例の内容は総務省令が定める基準に従わなければならないため、全国でほぼ同じ内容になっています。
石油ストーブの地震対策も、この条例委任の仕組みの中で定められた技術基準のひとつです。
理由は条文には明記されていませんが、こんろやこたつと同じ枠組みで規制されている点は火を使う器具全般への予防措置と考えられます。

条例だから市町村ごとに違うということですか。

骨格は国の基準で揃っています。
次は具体的な要件を見ていきます。

どんな装置を備えれば基準を満たすのか

自動で火を消す装置と燃料を止める装置を並べて示すイメージ
条例が求めているのは、地震のときに何らかの形で燃焼を止められる仕組みです。
実際の条文を見てみましょう。
火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第18条第2項 液体燃料を使用する移動式ストーブにあつては、前項に規定するもののほか、地震等により自動的に消火する装置又は自動的に燃料の供給を停止する装置を設けたものを使用しなければならない。
条文は「消火する装置」と「燃料の供給を停止する装置」を「又は」でつないでいます
つまり火そのものを消すタイプと、燃料の流れを止めて燃焼を続けさせないタイプのどちらでも基準を満たすと読めます。
一般的な家庭用の石油ストーブでは、対震自動消火装置という名称で呼ばれることが多い機能です。
装置の具体的な作動方式(転倒検知か振動検知か)までは条文で指定されていません。

両方の機能が付いていないといけないわけではないんですね。

いずれか一方で足りるとされています。
次は普段の使い方の基準との違いです。

通常の取扱基準と地震対策の装置はどう役割が違うのか

壁からの距離を保つ使用基準と不燃の台の上に置く使用基準を並べたイメージ
液体燃料を使う器具には、地震対策の装置とは別に、使い方そのものを縛る基準もあります。
両方の違いを条文で確認します。
火災予防条例(例)第18条第1項 (略) 三 地震等により容易に可燃物が落下するおそれのない場所で使用すること。 四 地震等により容易に転倒又は落下するおそれのないような状態で使用すること。
第1項は使用場所や置き方という「使い方」を縛る基準です
これは液体燃料を使うすべての器具に共通して適用されます。
一方で第2項が求める装置の設置は、移動式ストーブに限って課される「構造」そのものの基準です。
どれだけ丁寧に置き方を守っていても、地震の揺れそのものを止めることはできないため、この2つは補い合う関係にあります。

置き方をどれだけ気を付けても、それだけでは足りないということですか。

両方が必要という考え方です。
次は古い機種で注意したい点です。

古い機種や輸入品ではどんな注意が必要か

古いストーブと装置付きの新しいストーブを並べて見比べているイメージ
対震自動消火装置の義務は、最初から今の形であったわけではありません。
基準が新しく設けられたときの経過措置を確認します。
火災予防条例(例)附則〔昭和48年1月20日消防予第16号〕 3 昭和 年 月 日において現に使用されている液体燃料を使用する移動式のストーブについては、新条例第18条第2項の規定は、昭和 年 月 日までの間、適用しない。
この基準が新設された当時、すでに使われていたストーブには一定の猶予期間が設けられていました
条例(例)は各市町村がそのまま採用するモデルの文面なので、具体的な年月日の部分は市町村ごとの条例で書き込まれます。
つまり「古いストーブに装置が付いていない理由」は、単なる整備不良ではなく、導入当時の猶予期間の名残であることがあります。
業務用の可搬型ストーブや海外製の輸入品では、そもそも日本の条例が想定する装置の有無が確認しにくい場合もあるため、特に注意が必要です。

うちにある古いストーブも、装置が付いていない理由があったんですね。

とはいえ今使うなら確認が安心です。
最後に確認の手順を見ていきます。

明日から防火管理者は何を確認すればよいか

取扱説明書とストーブ本体のラベルを確認している防火管理者のイメージ
ここまでの内容を踏まえて、実際に確認しておきたいことを整理します。
どれも取扱説明書やストーブ本体を見るだけで確認できます。
  • 取扱説明書や本体の表示で、対震自動消火装置または燃料の供給を停止する装置の有無を確認する
  • 装置が付いていない機種は、使用する場所や管理の方法をあらためて見直す
  • 買い替えの際は、装置が付いていることを確認したうえで選ぶ
  • 業務用の可搬型ストーブや輸入品は、装置の有無を特に念入りに確認する
確認そのものは特別な工具を使わず、目視と説明書の確認だけで済みます
装置の有無が分からないときは、製造元や購入店に問い合わせる方法もあります。
古い機種を買い替える機会があれば、装置付きのものへ切り替えるのが確実です。
判断に迷う場合は、所轄消防署に確認しておくと安心です。

今日のうちに、休憩室のストーブを確認してみます。

それが一番確実な確認方法です。
最後によくある質問を見てみましょう。

よくある質問

Q対震自動消火装置と燃料遮断装置はどちらも備えなければなりませんか?
A条例(例)第18条第2項は「自動的に消火する装置又は自動的に燃料の供給を停止する装置」としており、いずれか一方を備えていれば基準を満たすと考えられます。
Qガスストーブにもこの基準は適用されますか?
A第18条第2項は液体燃料を使用する移動式ストーブを対象にした規定です。気体燃料を使用する器具の取扱いは別の条文で定められています。
Q装置が付いていないストーブは今すぐ使用をやめなければなりませんか?
A基準の適用時期や既存の機器への経過措置は市町村ごとの条例で定められます。該当するかどうかは所轄消防署に確認することをおすすめします。
Q対震自動消火装置があれば、置き方の基準は守らなくてもよいですか?
Aいずれも別の目的の基準であり、両方を守る必要があります。距離や転倒防止は使い方の基準、装置の設置は地震時の対応そのものを目的にした基準です。

まとめ

液体燃料を使用する移動式ストーブは、地震等に対応する装置を備えることが条例上の義務です
根拠は火災予防条例(例)第18条第2項です
この基準は消防法第9条に基づき市町村条例で定められています
装置は自動消火装置または燃料遮断装置のいずれか一方で足ります
普段の距離基準や転倒防止の使用基準とは別に守らなければならない基準です
基準が導入された当時は経過措置が置かれ、既存の機器への適用は市町村ごとに異なりました
取扱説明書や本体表示で装置の有無を確認し、無い場合は所轄消防署に相談しましょう

装置の有無、休憩室と受付のストーブで今日中に確認します!
これで地震のときも安心です。

装置の有無の確認を習慣にすると安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条の2
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第18条
  • 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第18条・附則〔昭和48年1月20日消防予第16号〕

※本記事は公表されている法令および消防庁の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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