薪ストーブやボイラーのように火を使う設備には、煙突が取り付けられることがあります。
煙突は排気を外へ逃がす大事な役割を持ちますが、実は火災予防条例に専用の基準が定められています。
壁や天井を貫通させる場合や、火の粉が飛びやすい設備に付属する場合には、それぞれ特有の決まりもあります。
この記事では、火を使用する設備に付属する煙突に定められた基準と、既存の煙突がどう扱われるのかを整理します。
薪ストーブを設置したいのですが、煙突にも何か決まりがあるのでしょうか。
煙突には専用の基準があります。
まず結論から確認しましょう。
壁の中を通す煙突でも大丈夫なんでしょうか。
条件を満たせば認められます。
順番に見ていきましょう。
- 火を使用する設備に付属する煙突には、火災予防条例(例)第17条の2が専用の基準を定めています。
- 煙突はその構造や材質に応じて、支わくや腕金具等で固定しなければなりません。
- 壁や天井を貫通する部分は、容易に離脱せず燃焼排気が漏れない気密な構造にする必要があります。
- 煙突は清掃のしやすさに加え、火の粉が飛ぶおそれがある設備には飛散防止装置も求められます。
- 対象は燃料電池発電設備を除く火を使用する設備で、既存の煙突には経過措置があります。
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目次
どんな設備の煙突に条例第17条の2の基準がかかるのか

まずはこの基準の対象範囲を確認しましょう。
薪ストーブやボイラー、温風暖房機など、煙突を伴う設備の多くがこの基準の対象になります。
なぜ燃料電池発電設備だけが除かれているのかは、条文には理由までは書かれていません。
自分の施設にある煙突付きの設備が、この基準の対象になるかどうかをまず確認しておきましょう。
うちにあるボイラーの煙突も対象になるんでしょうか。
煙突が付いていれば基本的に対象です。
次は固定の基準を見てみましょう。
煙突はなぜ支わくや腕金具でしっかり固定しなければならないのか

条例は煙突の固定方法についても基準を置いています。
金属製の煙突は熱で伸び縮みすることがあり、固定が不十分だと継ぎ目がずれて排気が漏れるおそれがあります。
条文は支わく・支線・腕金具という3つの例を挙げていますが、それ以外の方法でも構造や材質に応じた固定であれば認められます。
既存の煙突がある場合は、固定金具にゆるみや腐食がないかを点検しておくとよいでしょう。
うちの煙突が固定されているか、今まで気にしたことがなかったです。
ゆるみや腐食がないか確認してみてください。
次は壁を貫通する場合を見てみましょう。
壁や天井を貫通する煙突はなぜ気密構造まで求められるのか

条例はこの貫通部分についても細かい基準を置いています。
貫通部分は煙突の中でも特に高温にさらされやすく、隙間があれば排気とともに熱が可燃材へ伝わるおそれがあります。
小屋裏や天井裏、床裏で接続する場合も同じ基準が適用され、離脱防止と気密性の両方が求められます。
リフォームなどで壁の中の煙突に触れる機会があれば、この部分の状態も確認しておきましょう。
壁の中は見えないので、そこまで基準があるとは知りませんでした。
見えない部分だからこそ基準があります。
次は清掃と火の粉の基準を見てみましょう。
煙突はなぜ清掃のしやすさや火の粉を防ぐ装置まで基準になるのか

条例は清掃のしやすさと、火の粉への対策も基準として定めています。
すすや灰が内部にたまったままだと、通気が悪くなるだけでなく、たまった可燃物自体が燃え広がる原因にもなります。
薪ストーブのように火の粉が飛びやすい設備に付属する煙突には、先端に網状の飛散防止装置を設けるなどの対策が求められます。
定期的な清掃と点検を習慣にしておくことが、両方の基準を満たし続けるための基本になります。
煙突の先に網のようなものを付けている家、見たことがあります。
それが火の粉の飛散防止装置です。
最後に既存の煙突の扱いを見てみましょう。
今ある煙突が新しい基準に合わなくてもすぐ直さなければならないのか

では、それより前からある煙突はどう扱われるのでしょうか。
これは既存不適合を一律に違反とせず、それまでの基準を適用し続けるという経過措置です。
ただし、改修義務が無いというだけで、故障や破損があれば放置してよいわけではありません。
なお、この基準の第5号では、ここまでで触れていない事項について建築基準法施行令第115条の規定を準用することも定められています。
うちの建物、古い煙突のままなんですが大丈夫でしょうか。
今すぐの改修義務はありませんが、点検はしておきましょう。
最後によくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
うちの煙突も固定金具の点検から始めてみます!
気密部分も確認しておきます。
煙突特有の基準を押さえておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号 消防庁長官)第17条の2・附則第4条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





