中高層ビルの前に電線がいくつも張られていて、消防車が近づきにくいと感じたことはありませんか。
実ははしご車は、窓や屋上に梯子を掛ける動きそのものを電線に阻まれることがあります。
消防庁は電力会社や通信会社、道路管理者と共同で、この障害を解消する仕組みを通知で示しています。
電線類がある建物ほど、設計段階からの確認が欠かせません。
うちのビルの前、電線がいっぱい張ってあるんですけど。
これって消防車の邪魔になったりするんですか。
なることがあります。
はしご車が窓や屋上に梯子を掛ける動き自体を、電線が物理的に阻んでしまうんです。
はしご車が来ても、窓に届かないことがあるってことですか。
その通りです。
消防庁の通知には、どこまでが対象になるかがはっきり書かれています。
順番に見ていきましょう。
- 中高層ビルの前面に電線類があると、はしご車の救助活動が妨げられることがある
- 対象は非常用進入口だけでなく、屋上部分や進入路、アウトリガーの展開スペースにも及ぶ
- 消防機関は電力会社や道路管理者に改善を要請し、共架や地中化などの改修を進める仕組みがある
- 新築や増改築の計画段階で電線の位置を確認しないと、あとからの改修は難しくなる
- 気になる箇所があれば、所轄消防署へ相談するのが第一歩になる
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目次
なぜ電線類が消防活動の障害として問題になったのか

ところが建物の前に張られた電線類が、その動きを妨げることがあるのです。
実は昭和47年から同様の指導は行われていましたが、徹底されない箇所が残っていました。
昭和61年に総務庁が行った行政監察でも、電線類による障害の解消が不十分だと指摘されています。
これを受けて昭和62年、消防庁は電力会社や日本電信電話株式会社、道路管理者への要請の進め方を具体的に定め直しました。
背景にあるのは、電線一本が救助の速度を左右するという現実です。
うちのビルも前面に電線が結構張られてるんですが、大丈夫でしょうか。
見ただけでは判断しづらいので、次で対象の範囲を確認しましょう。
はしご車のどんな動きが電線類に妨げられるのか

どちらも建物側の設計や周辺環境に関わる部分です。
非常用進入口がある建物ではその窓、ない建物では消防活動上有効な窓や開口部が基準になります。
屋上部分も、消防活動や屋上避難に使える場合は対象に含まれます。
さらに、はしご車そのものが建物に近づけない進入路の障害や、脚を横に張り出すアウトリガーのスペース不足も同じ扱いです。
窓の位置だけを見て安心してしまうと、進入路側の電線を見落とします。
非常用進入口だけじゃなくて、屋上や進入路も対象になるんですね。
はい、車両の動きまで含めて考えるのがポイントです。
通知は何を関係機関に求めているのか

建物側が単独で電線を動かせるわけではない点がポイントです。
まず消防機関が実態調査を行い、障害となっている箇所を把握します。
その結果をもとに、電力会社の支店・営業所や日本電信電話株式会社、道路管理者へ改善を要請します。
改修の方法は、電線をまとめる共架や、電柱を建て替える都市型装柱、地中に埋める地中化など地域の実情に応じて選ばれます。
建物側にできるのは、障害に気づいたら消防機関へ申し出ることです。
自分たちだけでは電線を動かせないですよね。
そうなんです。
だからこそ、気づいた段階で消防機関に伝えることが大切なんです。
実務で見落としやすいのはどこか

ここを見落とすと、完成後の改修は簡単ではありません。
通知は既存の建物だけでなく、新設の建築物や電線類も対象にしています。
建築確認申請や開発行為の事前協議の時点で、電線類による架てい障害の有無を確認する運用です。
仮にすぐに改善できない電線類が残っても、そこで終わりではありません。
消防機関は改善要請を続けるとともに、実際の災害時にどう対応するかをあらかじめ検討しておくことになっています。
新築のときに気づかないと、あとで直すのは大変そうですね。
はい、設計段階での確認が一番の近道です。
明日からなにを確認すればよいのか

まずは自分の建物の前面を見上げてみることから始まります。
非常用進入口や屋上、進入路の前に電線が横切っていないかを、建物の前から見上げて確認します。
アウトリガーを張り出すスペースが電線でふさがれていないかも合わせて見ておきます。
新築や増改築、外構工事を計画しているときは、設計段階で電線の位置を消防機関と共有します。
建物側から声を上げることが、改善要請の出発点になります。
まずは自分の目で確認してみます。
それが一番確実な第一歩です。
よくある質問
まとめ
電線の見方が分かって、なんだかすっきりしました!
建物前面の電線の状況は、ぜひ一度確かめてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「電線類による消防活動障害の防止対策について」(昭和62年2月26日 消防消第52号 消防庁次長)
- 「はしご自動車等の円滑な消防活動の確保について」(昭和47年6月27日 消防消第108号 消防庁消防課長)
- 建築基準法施行令第126条の6・第126条の7(非常用の進入口)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





