避難訓練の準備で緩降機を確認すると、ロープにほつれや著しい摩耗が見つかることがあります。
調速器や着用具が一見きれいでも、ロープに損傷があれば安全に降下できるとは判断できません。
訓練だからと実際に荷重を掛けると、損傷が進んで降下中の事故につながるおそれがあります。
BCPでは使用を止めて区画する、代替避難経路へ切り替える、専門点検の結果で訓練再開を判断するという順番を決めます。
緩降機のロープがほつれています。
訓練で一回だけ使ってええですか?
使用せず状態を保存してください。
訓練と避難経路はどうしますか?
代替経路と誘導担当で補います。
- ほつれたロープへ荷重を掛けません
- 緩降機本体と代替避難経路を確認します
- 周囲を区画し誤使用を防ぎます
- 階段などへ切り替え避難誘導を補います
- ロープ・調速器・着用具の確認結果で訓練再開を判断します
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目次
緩降機のロープにほつれを見つけたら避難訓練に使ってよいのか

ロープにほつれや著しい摩耗があれば訓練には使いません。
見た目が小さな異常でも、降下時には人の体重が掛かるため施設担当者だけで安全とは判断できません。
ほつれ、毛羽立ち、芯の露出、変色、著しい摩耗が見える場合は、緩降機を展張したり試しに体重を掛けたりしません。
火災や煙がある場合は、器具の点検より通報、避難誘導、初期消火を優先します。
初動は訓練を中止する、使用停止を明示する、専門業者へ点検を依頼するの三つです。
細いほつれでも使わないんですね。
そうです。
ロープの損傷も点検項目です。
どの部品と避難経路を対象に確認するのか

ロープだけでなく緩降機一式と降下経路を確認します。
調速器、連結部、ロープ、着用具、取付具、開口部、降下空間、避難空地を一組で見ます。
- 緩降機の型式、設置場所、製造年
- ロープのほつれ、損傷、腐食、著しい摩耗
- 調速器と連結部の変形や損傷
- 着用具と緊結部の損傷や緩み
- 取付具と開口部を安全に使える状態
- 降下空間と避難空地の障害物
- 点検記録と修理や交換の履歴
消防法施行令第25条は、避難器具を容易に接近できる場所に設け、必要に応じて速やかに取り付けられる状態を求めています。
異常のある一台だけでなく、同じ階の代替経路と他の避難器具も併せて確認してください。
確認結果は損傷の位置と状態、影響する避難経路、使用停止の責任者に分けて記録します。
ロープだけ見ればええと思ってました。
器具一式・降下経路・代替経路を見ます。
発見から使用停止と専門点検までどう進めるのか

状態を変えず使用停止し代替経路を確保してから専門点検へ引き継ぎます。
緩降機の型式と損傷位置を離れた位置から確認し、写真と点検記録へ残します。
- ほつれを見つけた場所と時刻を記録する
- 緩降機の型式と損傷位置を確認する
- 人が触れないよう周囲を区画する
- 使用停止を表示して訓練を中止する
- 階段などの代替避難経路を確認する
- 状態と代替措置を消防設備士へ引き継ぐ
- ロープ、調速器、着用具の点検結果で再開を判断する
煙や火がある場合はその場に留まらず、119番通報と避難誘導を優先します。
使用停止表示は器具へ触れずに見える位置へ設け、代替経路の通行を妨げないようにします。
発見から復旧までを一つの時系列にまとめ、使用停止の開始時刻と終了条件を明記してください。
先に使用を止めて経路を替えるんですね。
ええですね。
状態を変えず引継ぎます。
少しのほつれなら使えると思うと何を見落とすのか

ほつれの大きさだけではロープ全体の健全性を判断できません。
緩降機は人の体重を支えながら調速器を通して降下するため、見える箇所だけの自己点検で使用可とはできません。
- ロープ内部まで損傷が進んでいる
- 調速器の連結部にも変形や腐食がある
- 着用具や緊結部に摩耗や緩みがある
- 取付具や開口部の安全が確保できない
- 降下空間や避難空地に障害物がある
- 点検期限や修理履歴を確認できない
専門点検では、ロープだけでなく、調速器、連結部、着用具、緊結部、取付具を設備構成に沿って確認します。
修理や交換のあとは、専門家の確認の下で機能と降下経路の安全を確認します。
復旧判断はロープに異常がないこと、器具一式が正常なこと、降下空間が安全なことを記録して行います。
目立たないほつれでも自己判断はあかんのですね。
はい。
器具一式・降下経路・記録を確認します。
明日から緩降機のロープ損傷にどう備えるのか

緩降機の配置と点検履歴と代替避難を一枚にまとめます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要な要素や資源の把握、代替策、教育と訓練、点検と是正を継続する考え方を示しています。
- 緩降機の型式、製造年、設置場所を記録する
- 避難経路図と各器具の役割を照合する
- ロープと着用具の点検結果を残す
- 使用停止表示の保管場所を決める
- 代替経路の誘導担当と確認者を決める
- 消防設備士や保守事業者の連絡先を複線化する
- 専門点検の結果受領を訓練再開条件にする
消防計画には火災時の通報、初期消火、避難誘導を、BCPには設備不良時の代替案内と業務再開判断を整理します。
訓練では異常のある緩降機を実際に使わず、ロープ損傷の写真カードを使って発見から使用停止と代替誘導まで確認できます。
発見、使用停止、代替誘導、専門点検、結果受領までを一連の流れで通してください。
訓練後は避難経路図と点検台帳、使用停止表示の保管場所を更新します。
写真カードなら実機を使わず確認できますね。
ええですね。
使用停止と再開条件まで確認しましょう。
よくある質問
まとめ
緩降機のロープ損傷を想定した訓練をやってみます!
使用停止・代替誘導・専門点検・再開判断を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行令第25条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第27条
- 消防庁 消防用設備等の点検基準 点検要領 点検票
- 消防庁 別表第15 避難器具の点検の基準
- 消防庁 第15 避難器具 点検要領
- 消防庁 避難器具(緩降機)の使用時における安全管理の徹底について
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。緩降機の型式、損傷状況、点検方法、代替避難、訓練再開条件は建物と機器ごとに異なります。実際の使用停止、代替誘導、復旧、点検、訓練や業務の再開は管理権原者、防火管理者、消防設備士、消防設備点検資格者、保守事業者、所轄消防署へご確認ください。





