地震のあと、排煙設備の制御盤に見慣れない異常表示が点きました。
排煙口は閉じていて煙も見えないため、表示だけを消して営業を再開したくなります。
しかし排煙設備は、排煙口、風道、排煙機、電源、連動制御器が一つの系統として働く設備です。
BCPでは火災の有無を確認する、対象区画を特定する、使用範囲を限定する、専門確認後に再開するという順番を決めます。
異常表示、リセットしたらええですか?
表示だけを消さないでください。
盤だけの不具合と違うんですか?
排煙口から電源まで確認します。
- 異常表示は自己判断でリセットしません
- 火災・煙・焦げ臭さと受信機表示を先に確認します
- 表示位置と防煙区画・排煙口・排煙機を照合します
- 影響区域は使用範囲と避難経路を限定します
- 専門家が連動と電源を確認し再開条件を記録します
▼

目次
地震後に排煙設備の制御盤が異常表示なら営業を再開してよいのか

異常表示の原因と排煙機能への影響を確認する前に表示を消して営業を再開しないでください。
排煙設備は火災時の煙を屋外へ排出し、避難と消防活動を支える建築設備です。
最初に火災、煙、焦げ臭さ、異常な熱、火災受信機の表示を確認します。
火災の疑いがあれば、設備の復旧より通報、避難誘導、初期消火を優先します。
火災が見当たらなくても、表示状態を保存する、勝手に復帰操作しない、保守事業者へ連絡することが初動です。
煙がなくても消したらアカンのですね。
はい。
原因確認が先です。
どの排煙口と防煙区画と排煙機を確認するのか

制御盤単体ではなく異常表示に対応する防煙区画と排煙系統を一組で確認します。
同じ建物でも排煙機や制御系統が分かれているため、影響範囲を表示灯だけで決めません。
- 異常表示の位置と表示内容
- 対象となる防煙区画と室名
- 排煙口と手動開放装置
- 排煙風道と防火ダンパー
- 排煙機と排煙出口
- 常用電源と予備電源
- 火災受信機や中央監視盤との連動
図面には制御盤、区画、排煙口、排煙機、電源を同じ系統記号で結びます。
国土交通省の建築設備定期検査資料では、排煙口の開放、排煙機の作動、予備電源などが検査対象として示されています。
確認では区画を取り違えない、自然排煙と機械排煙を分ける、連動先を記録することが重要です。
盤から排煙機まで追うんですね。
一つの排煙系統で見ます。
異常表示から使用制限と専門確認まで何を決めるのか

発見時の表示を保存し影響区域の使用と火気を制限してから専門家へ引き継ぎます。
利用者が少ない時間でも、排煙機能が確認できない区域を通常どおり使い続ける前提にしません。
- 火災、煙、熱、焦げ臭さを確認する
- 制御盤と受信機の表示を保存する
- 対象の防煙区画と排煙系統を特定する
- 区域の在室と火気使用を制限する
- 代替する避難経路を周知する
- 建築設備の保守事業者へ引き継ぐ
- 機能確認の結果で再開を判断する
施設側は、原因を確認するために排煙口や排煙機を繰り返し作動させません。
専門確認では、制御盤、感知器、排煙口、風道、排煙機、電源、連動表示を設備構成に沿って確認します。
記録には復帰操作をしていないこと、使用を止めた区域、再開を承認した人を残します。
先に使う区域を分けるんですね。
そうです。
影響を限定して待ちます。
表示だけを消すと何を見落としやすいのか

盤のランプだけを見ると排煙口の固着や風道の損傷や排煙機の停止を見落とします。
異常表示は結果であり、原因が信号、作動機構、配線、電源、機械部分のどこにあるかを分けます。
- 排煙口が開放位置まで動かない
- 作動確認表示が実際の状態と一致しない
- 排煙風道や支持部が地震で損傷している
- 排煙機が回転しても必要な風量が出ない
- 常用電源または予備電源が失われている
- 火災受信機との連動信号が途切れている
- 排煙出口の周囲に障害物がある
一度表示が消えても、それだけで復旧完了ではありません。
必要な区画で排煙口が開き、排煙機が作動し、電源と連動表示が正常であることを一連で確認します。
特に原因を残して復帰しない、消防設備と混同しない、実際の作動状態を見ることが重要です。
ランプが消えたら終わりやと思ってました。
作動と連動まで確認します。
明日から排煙設備の異常表示にどう備えるのか

排煙系統図と異常表示一覧と使用制限の判断表を一つの手順へまとめます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要な資源、代替策、対応手順、教育・訓練、点検と是正を継続する考え方を示しています。
- 制御盤の平常表示を写真で残す
- 防煙区画と排煙口を図面で結ぶ
- 排煙機と電源と連動先を台帳へ記す
- 異常時に使用を止める区域を決める
- 代替避難経路と周知方法を用意する
- 保守事業者への連絡条件を決める
- 専門確認後の再開承認を訓練する
訓練では実機を動かさず、異常表示カードを使って対象区画の特定から連絡まで確認できます。
影響区域を使わない場合の代替場所、避難経路、利用者への案内方法も事前に決めます。
訓練後は図面と現場表示の一致、代替区域の収容力、再開承認者の不在時対応を見直します。
表示と区画を結べば動きやすいですね。
ええですね。
使用制限まで訓練しましょう。
よくある質問
まとめ
異常表示から使用制限までの訓練をやってみます!
火災確認・影響限定・専門確認・再開判断を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 建築基準法第8条・第12条
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令第126条の2・第126条の3
- 国土交通省 オンラインを活用した定期報告について
- 国土交通省 建築設備等の定期検査報告における検査及び定期点検
- 国土交通省 建築保全業務共通仕様書 排煙設備の点検項目
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および国土交通省、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。排煙設備の方式、点検資格、異常原因、使用制限、代替避難経路、復旧方法、業務再開条件は建物と設備ごとに異なります。実際の確認、操作、点検、修理、定期報告、業務の再開は管理権原者、防火管理者、建築士、建築設備検査員、設備の保守事業者、特定行政庁、所轄消防署へご確認ください。





