災害後の復旧工事で、床や通路を守るために養生シートを張ることがあります。
ところが、納品されたシートに防炎表示が見当たらないと「短期間だけなら使えるのか」と判断に迷います。
結論からいえば、建物と物品が消防法上の対象なら、工事用シートは防炎性能と表示を確認してから使用します。
復旧工事のシートに、
防炎表示がありません。
そのまま使わないでください。
対象と表示を確認します。
防炎なら、
燃えないシートですか。
いいえ。
燃え広がりにくい性能です。
- 対象建物で使う工事用シートは防炎性能を確認する
- 製品本体の防炎表示と納品情報を照合する
- 設置場所と期間と責任者を工事計画へ記録する
- 防炎でも火気や火花を近づけない
- 撤去まで日常点検と終業確認を続ける
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目次
災害復旧工事の養生シートに防炎表示がなければ使ってよいのか

対象となる建物で使用する工事用シートは防炎性能と表示を確認してから使います。
消防法第8条の3は、高層建築物や地下街、劇場、病院など一定の防火対象物で使うカーテン、じゅうたん、工事用シートなどに防炎性能を求めています。
防炎表示が確認できなければ、現場で見た色や厚みだけでは適合を判断できません。納品した施工会社や販売者へ確認し、表示のある製品へ交換するまで設置を止めるのが基本です。
ただし、すべての建物とすべてのシートへ同じ規制がかかるわけではありません。まず建物の用途や規模と物品の種類を照合し、対象か分からない場合は所轄消防署へ確認します。
短期間でも、
表示を確認するんですね。
はい。
仮設でも省略しません。
どの建物と工事用シートを確認対象にするのか

建物の用途と物品の使い方を一組で確認します。
施設名だけで判断せず、消防法第8条の3と消防法施行令第4条の3の対象に当たるかを確認してください。
- 建物の用途、階数、高さ、収容人員
- 工事区画と利用者が通る区画の位置関係
- シートの製品名、用途、寸法、納入数量
- 壁面養生、床養生、間仕切りなどの設置方法
- 防炎表示の位置と納品書や製品資料との対応
消防庁の防炎品に関する案内では、工事用シートは防炎対象物品の一つです。工事会社が「養生材」と呼んでいても、実際の用途が工事用シートなら確認対象として扱います。
防火対象物の扱いは用途変更や仮使用の状況でも変わり得ます。復旧範囲が広がったときは、最初の判断を使い回さず、図面と工程を更新して再確認してください。
商品名だけでは、
決められないんですね。
はい。
用途と設置方法も見ます。
表示確認から設置と撤去までどう管理するのか

受入れ時に防炎表示を確認し設置場所と期間を記録します。
設置後に表示部分が折り込まれたり切り取られたりすると、現場確認が難しくなります。
- 建物とシートが防炎規制の対象か確認する
- 納品時に製品名と防炎表示を照合する
- 設置場所、数量、期間、責任者を記録する
- 避難口、誘導灯、消防用設備を隠さない位置へ張る
- たるみや破れと火気からの離隔を毎日確認する
- 工程変更時に増設分と移設分を再確認する
- 撤去数と廃棄数を照合して記録を閉じる
消防法施行規則第4条の4は、防炎性能を有する旨の表示について定めています。口頭説明だけで済ませず、現物の表示と製品情報を対応づけて保存してください。
シートの設置で避難口や消火器、屋内消火栓、誘導灯を見えにくくしてはいけません。復旧作業の進捗と同時に、避難と初期消火の動線を毎日点検します。
表示の写真だけでなく、
設置場所も残します。
それなら移設後も、
追いかけられます。
防炎なら火気の近くでも安全と思うと何を見落とすのか

防炎は不燃を意味せず火気管理を省略できません。
防炎性能は、着火しにくく燃え広がりにくい性能であり、あらゆる条件で燃えないことを保証するものではありません。
- 溶接や溶断の火花がシートへ当たる
- 投光器や暖房器具の熱が近距離で加わる
- 塗料や接着剤が付着して燃焼性が変わる
- シートの裏側へ可燃物や廃材がたまる
- 破れた部分を未確認のテープや別素材で補修する
東京消防庁の工事中の防火管理は、火気使用設備や器具の管理、可燃物の除去、消火器の準備、作業後の点検を示しています。防炎表示があっても火花を受ける配置にしないでください。
補修材や追加シートが別製品なら、元の表示だけでは確認できません。継ぎ足すたびに、追加した材料にも必要な防炎性能があるか確認します。
防炎でも、
火花は離すんですね。
はい。
火気管理は別に必要です。
明日から養生シートをどう確認するのか

工事初日の前に受入れ確認表と日常点検表を用意します。
現場へ届いてから判断すると、工程を優先して未確認品を使う流れになりがちです。
- 建物の用途と防炎規制の対象を確認する
- 発注仕様へ防炎性能と表示確認を記載する
- 納品時に製品名、数量、防炎表示を照合する
- 設置場所と避難設備への影響を図面で確認する
- 火気作業とシートの位置を工程表で分ける
- 始業前と終業時に破れ、たるみ、移設を点検する
- 撤去と廃棄まで数量と責任者を記録する
点検担当は工事会社だけに任せず、防火管理者または建物側の担当者も結果を確認します。消防計画へ工事中の管理を反映し、異常時に誰が作業を止めるかまで決めてください。
内閣府の事業継続ガイドラインは、事業継続と併せて二次災害を防止する重要性を示しています。復旧の速さと同じ重さで、火災を起こさない完了条件を工程へ組み込みます。
発注前から、
表示確認を入れます。
それなら未確認品を、
現場へ入れずに済みます。
よくある質問
まとめ
災害復旧を急ぐほど、仮設材料の確認は後回しになりやすくなります。発注、受入れ、設置、日常点検、撤去を一つの管理手順にしてください。
防炎表示の確認と火気管理は別々に省略せず続けることが、復旧中の二次火災を防ぐ基本です。
表示と設置場所を、
先に確認します!
撤去まで点検を続けましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第8条の3
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第4条の3および第4条の4
- 総務省消防庁 防炎品について
- 総務省消防庁 防炎対象物品と防炎性能の基準
- 東京消防庁 工事中の防火管理
- 東京消防庁 工事中の消防計画
- 東京消防庁 防炎対象物品
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。防炎規制の対象と必要な表示や工事中の管理は建物用途と物品と工事内容により異なります。個別の判断は所轄消防署、製造元、施工会社、専門家へご確認ください。





