二酸化炭素消火設備やハロゲン化物消火設備などのガス系消火設備は、全国にどれだけ設置されているかを国が一元的に把握できる仕組みを持っています。
新設や補充の申請だけが手続きだと思われがちですが、実は設備を撤去したり別の場所へ移したりするときにも、忘れてはいけない報告があります。
消防庁は平成10年の通知で、この設置状況の変更を専門の組織へ伝えるよう求めました。
本記事では、設置状況が変わったときになぜ報告が必要になるのか、今の窓口はどこなのかを解説します。
古い二酸化炭素消火設備を撤去することになったんですが、消防署に届け出るだけで済みますか。
それだけでは足りません。
設置状況のデータベースにも報告する仕組みがあります。
データベースというと、どこかの役所が管理しているものですか。
いいえ、民間の専門組織が管理しています。
順番に見ていきましょう。
- ガス系消火設備の設置状況の報告は平成10年の消防予第116号で留意事項が示されました
- 設置状況に変更があった場合は撤去も含めて情報提供するよう協力が求められています
- 報告先だったハロンバンク推進協議会の業務は、その後NPO法人へ引き継がれました
- 現在の窓口は特定非営利活動法人消防環境ネットワークです
- 撤去や移設も設置状況の変更にあたり報告の対象になります
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目次
ガス系消火設備の設置状況はなぜ協議会への報告が求められたのか

生産や供給が制限される中で、どこにどれだけの量があるかを把握する仕組みが求められました。
消火性能の確保とあわせて、温室効果ガスの排出抑制に係る「京都議定書」の趣旨を踏まえて取りまとめられたのがこの通知です。
新設や補充だけでなく、撤去を含む設置状況の変更も対象にしているのは、全国の在庫量を正確に把握しないと、需給の調整も回収の呼びかけもできないからです。
ここからは、どんな設備のどんな変更が対象になるのかを見ていきます。
ハロンはもう使われていない消火剤だと思っていました。
生産は禁止されていますが、既設の設備は今も現役です。
次は対象になる設備を見ていきましょう。
どんな設備のどんな変更が報告の対象になるのか

ただし実務でデータベース管理が特に重視されているのは、ハロンを消火剤に使う設備です。
新設や補充だけでなく、撤去や他の場所への移設も条文どおり変更にあたります。
ハロン1301・1211・2402の3種類は生産が既に全廃されており、既存の在庫をどう融通し合うかが管理の核心になっています。
そのため実務上は、二酸化炭素やその他の代替消火剤よりもハロン消火剤を使う設備の変更が最も厳しく管理されています。
次は、この報告を通知が具体的に誰へどう求めているのかを見ていきます。
うちの設備はハロンではなく二酸化炭素なんですが、それでも報告は必要ですか。
通知の対象はガス系消火設備等全般です。
まずは設置業者に確認してみましょう。
通知が示す報告先は今どこに引き継がれているのか

業務そのものは、後継の専門組織に引き継がれています。 現在の報告先は特定非営利活動法人消防環境ネットワークです。
東京都のNPO法人台帳によると、平成17年10月27日に認証されたこの法人の目的には、消防用設備等の設置・変更・維持管理・回収等におけるガス系消火剤の放出を抑制する管理を行うことがそのまま掲げられています。
設置状況のデータベースを整備していたもう一方の組織、財団法人日本消防設備安全センターも一般財団法人へ移行しており、名称や組織形態は通知が出た平成10年当時から変わっています。
古い資料や社内マニュアルに載っている連絡先のまま問い合わせようとすると、窓口が見つからず手続きが止まってしまいます。
次は、実務でとくに見落とされやすい点を確認します。
ハロンバンク推進協議会という名前で調べても出てこないと思ったら、そういうことだったんですね。
名称の変化を知らないと迷います。
次は落とし穴を見ていきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

ところが撤去や移設のときは、この意識の差が見落としにつながります。 「撤去すれば手続きは終わり」ではありません。
設備を使わなくなった時点で、設置状況の変更としての報告が必要になります。
改修工事で設備の一部だけを取り外す場合も、全部を撤去するわけではないからと報告を省いてしまうケースが見落としやすいポイントです。
また、ハロン消火剤を使う容器を廃棄するときは、高圧ガス保安法に基づいて容器をくず化したことを示す証明の提出が別途求められることもあります。
撤去業者と設置業者が別々の場合、どちらが報告を担当するのか役割分担を決めておかないと、双方が「相手がやるはず」と思い込んで報告が抜け落ちます。
一部だけの取り外しでも報告が必要だとは知りませんでした。
部分的な変更も対象です。
最後に確認事項をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

順番に照らし合わせてみてください。
- 設備の新設・改修・撤去の予定があれば、早めに特定非営利活動法人消防環境ネットワークへ問い合わせる
- 設備台帳や消防計画の連絡先が「ハロンバンク推進協議会」のまま古くなっていないか確認する
- 一部だけの取り外しや移設も「設置状況の変更」に含まれることを、担当者や委託先へ周知する
- 撤去業者と設置業者のどちらが報告を担当するのか、事前に役割分担を決めておく
- ハロン消火剤の容器を廃棄する場合は、高圧ガス保安法に基づく処分証明の要否を業者に確認する
ハロンか、二酸化炭素か、その他の代替消火剤かによって、求められる報告の重みが変わります。
設備更新の計画があるなら、撤去日の前に設置業者や点検業者へ報告の要否を相談しておくと安心です。
古い資料に頼らず、まずは現在の窓口が消防環境ネットワークであることを社内の担当者間で共有しておきましょう。
判断に迷う場合は、所轄消防署への相談でも確かめられます。
うちも今日、設備台帳の連絡先が古くなっていないか確認してみます。
それが一番確実な確認です。
よくある質問もあわせてご覧ください。
よくある質問
まとめ
撤去するだけの話だと思っていたら、意外と奥が深いんですね。
窓口の変化を知っておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防庁「ガス系消火設備等の設置及び維持に係る留意事項について」(消防予第116号・平成10年7月17日・消防庁予防課長)
- 消防法施行令第13条第1項(不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備の設置対象)
- 東京都「特定非営利活動法人認証・認定申請等の状況」特定非営利活動法人消防環境ネットワークの登録情報(認証年月日 平成17年10月27日)
- 一般財団法人日本消防設備安全センター公表資料(沿革・組織概要)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





