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国や都道府県の建物の確認はなぜ民間の検査機関にも開放されたのか|消防長への通知と3日7日の期限を解説

官公庁の建物を外観から捉えたイメージ

市役所や県庁のように国や自治体自身が建てる建物は、これまで民間の確認申請とは別の手続きで審査されてきました。
その審査を担ってきたのは、役所の中にいる建築主事だけでした。
令和6年の法改正で、この計画通知の審査に民間の指定確認検査機関も加われるようになりました。
消防長・消防署長への通知と、審査結果を返す期限の仕組みは、これまでと同じまま引き継がれます。

うちの近くにある市の新しい施設は、確認審査を民間の会社に頼んだと聞きました。
役所の建物なのに、民間に審査させてもいいんですか。

はい、令和6年の法改正で指定確認検査機関にも審査を任せられるようになりました。
今日はその仕組みと消防への通知がどう変わるかを整理しますね。

審査のやり方が変わると、
消防の同意をもらう手続きも変わってしまうんでしょうか。

手続きの窓口が増えるだけで、消防長への通知や期限の仕組みは変わりません。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 国・都道府県・建築主事を置く市町村の建物は、令和6年11月1日から指定確認検査機関にも計画通知の審査を任せられるようになりました。
  • 根拠は地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号)による建築基準法改正です。
  • 指定確認検査機関が消防長へ通知するときは、建築主から提出された書類(またはその写し)をあわせて送付しなければなりません。
  • 消防長・消防署長が審査結果を返す期限は、消防法第7条第2項の3日または7日のまま変わりません。
  • 通知の様式に定めはなく、従来どおり建築主事等から通知を受けた場合と同じ扱いで対応します。

計画通知の民間開放と消防長への通知の流れを示す図解

国や都道府県の建物の確認はなぜ民間にも開放されたのか

国の建物と民間企業の建物を並べたイメージ
民間の建物ではとっくに指定確認検査機関による確認が広く使われています。
ところが国や自治体自身が建てる建物だけは、長らく役所内部の審査に限られてきました。
計画通知制度における消防長及び消防署長への通知について(令和6年10月25日 消防予第522号、消防庁予防課長) 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号)が令和6年6月12日に成立し、同月19日に公布され、建築基準法(昭和25年法律第201号)に関する改正(計画通知制度の民間開放)が令和6年11月1日に施行されます
建築基準法第18条第4項 国の機関の長等が第二項の規定による通知をしなければならない場合において、国の機関の長等が同項の計画を当該計画に係る工事に着手する前に第六条の二第一項の規定による指定を受けた者に通知したときは、当該者は、当該計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて、建築基準関係規定に適合することを認めたときは、当該通知をした国の機関の長等に対して確認済証を交付しなければならない
今回の改正で新しく開かれたのは、国や自治体自身の建物が使える審査ルートです。
これまで国・都道府県・建築主事を置く市町村の建物は、法第18条にもとづき建築主事又は建築副主事だけに計画を通知する決まりでした。
令和6年の地域主権改革の関連法(法律第53号)で法第18条に第4項が新設され、指定確認検査機関にも計画を通知できるようになりました。
消防予第522号は、この新しいルートでも消防長・消防署長への通知の実務が変わらないことを整理した通知です。

民間の会社が審査するようになったのは、
単なる規制緩和なんでしょうか。

地域主権改革の一環で、民間活用の選択肢を広げる目的の改正です。
審査の中身や消防への通知の仕組みは変わりません。

対象になるのはどの建物のどんな手続きなのか

官公庁の建物と建築確認書類のイメージ
対象になるのは、国や都道府県、それに建築主事を置く市町村が建てる建物です。
一般の民間建築物の確認申請とは、もともと別の手続きとして仕組みが分かれています。
計画通知制度における消防長及び消防署長への通知について(令和6年10月25日 消防予第522号) 各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村等(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対して、この旨周知されるようお願いします
建築基準法第18条第1項 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物及び建築物の敷地については、第六条から第七条の六まで、第九条から第九条の三まで、第十条及び第九十条の二の規定は、適用しない。この場合においては、次項から第四十一項までの規定に定めるところによる
対象は民間の建物ではなく、役所自身が建てる建物です。
国・都道府県・建築主事を置く市町村の建物は、通常の確認申請(法第6条)の規定が適用されない代わりに、計画通知という別の手続きで審査されます。
一般の民間建築物ではすでに広く使われている指定確認検査機関による確認とは、根拠条文からして別立ての仕組みでした。
今回はこの役所専用ルートの側にも、初めて民間の指定確認検査機関が加わったということです。

うちの管内にある消防署の庁舎を建て替えるときも、
この手続きが使われるんですか。

はい、消防本部や消防署の庁舎も建築主事を置く市町村の建物にあたれば対象になります。
発注者側の立場としても押さえておきたい点です。

指定確認検査機関は消防長にどんな書類を送るのか

書類一式が指定確認検査機関から届くイメージ
指定確認検査機関が審査するようになっても、消防長への通知の義務そのものはそのまま残ります。
ただし送られてくる書類の中身には、これまでになかった項目が加わりました。
計画通知制度における消防長及び消防署長への通知について(記1) 指定確認検査機関が改正後の法第93条第4項に基づき、同法第18条第4項の規定により、建築物の計画について、建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長に通知するときは、建築主から指定確認検査機関に対し提出された書類又はその内容を記載した書類をあわせて送付することとなったこと。なお、この書類には指定確認検査機関の名称、代表者の氏名、審査結果及び送付書類の返却方法並びに指定確認検査機関の担当者の氏名及び連絡先が明示されるものであること。
建築基準法第93条第4項 建築主事等又は指定確認検査機関は…第十八条第二項若しくは第四項…の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、これを当該申請又は通知に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長に通知しなければならない
従来の建築主事からの通知にはなかった項目が新しく加わりました。
指定確認検査機関は、建築主から提出された書類そのもの、またはその内容を記載した書類をあわせて送付する義務を負います。
さらに書類には、機関の名称・代表者氏名に加え、担当者の氏名及び連絡先まで明示することが求められます。
消防長・消防署長の側は、この書類をもとに従来どおり防火に関する審査を行います。

担当者の連絡先まで書いてあるのは、
何か理由があるんでしょうか。

役所の建築主事と違って民間の担当者は組織も窓口も様々なので、確認を取りやすくする狙いがあります。
問い合わせ先が分かる分、実務上はやりやすくなるはずです。

消防長への通知で見落としやすいのはどこか

期限を示す時計と様式のない用紙のイメージ
審査のルートが増えたことで、うっかり期限を勘違いしてしまいそうになります。
実際には、期限そのものはこれまでの建築主事ルートとまったく同じです。
計画通知制度における消防長及び消防署長への通知について(記2) 消防長又は消防署長は、指定確認検査機関から当該通知を受けた場合、消防法第7条第2項に定める期限及び「建築基準法及び同法関係法令の施行と消防法第7条の運用について」(昭和25年12月15日付け国消管発第292号、住発第755号)4に準じて、建築主事等から通知を受けた場合と同様に指定確認検査機関にその審査の結果を通知することなお、様式の定めはないこと
消防法第7条第2項 消防長又は消防署長は…同意を求められた日から3日以内に、その他の場合にあつては、同意を求められた日から7日以内に同意を与えて、その旨を当該行政庁若しくはその委任を受けた者又は指定確認検査機関に通知しなければならない
見落としやすいのは、期限が変わらないという当たり前の一点です。
指定確認検査機関からの通知でも、消防長・消防署長は3日または7日という消防法第7条第2項の期限に準じて審査結果を返します。
昭和25年の古い通知(国消管発第292号)が示す実務にも準じるとされており、様式の定めはない点も従来どおりです。
窓口が役所から民間に変わったからといって、対応のスピードを緩めてよい理由にはなりません。

様式が無いなら、
これまで使っていた回答文書のひな形をそのまま使えばいいんですね。

はい、これまでの様式を流用して差し支えありません
宛先を指定確認検査機関に変えるだけで対応できます。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと連絡先を確認するイメージ
令和6年11月1日の施行後は、指定確認検査機関からの通知が実際に届くようになります。
慌てないために、受け取った書類の中身をまず確認しておきましょう。
計画通知制度における消防長及び消防署長への通知について(令和6年10月25日 消防予第522号) なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。
まず見るべきは、届いた書類に必要な項目がすべて揃っているかです。
指定確認検査機関の名称・代表者氏名・担当者の連絡先が明示されているか、建築主から提出された書類の写しが添付されているかを確認します。
そのうえで、受理した日から3日または7日の期限を逆算し、従来と同じ様式で審査結果を回答します。
不明な点があれば、通知に明記された担当者へ直接問い合わせるのが確実です。

施行前に、庁内で誰が窓口になるかを
決めておいたほうがよさそうですね。

そのとおりです。
受付から回答までの担当者を先に決めておくと、施行後の運用がスムーズになります。

よくある質問

Q指定確認検査機関による審査は令和6年11月1日から始まりますか?
Aはい、令和6年11月1日の施行日以降、国・都道府県・建築主事を置く市町村の建物で指定確認検査機関による審査が選べるようになります。
Q民間の建物の確認申請と同じ指定確認検査機関が担当するのですか?
A制度上は同じ指定確認検査機関が担当できますが、根拠条文は民間建築物の確認(法第6条の2)とは別の法第18条第4項です。
Q消防長への通知の様式は新しく作る必要がありますか?
Aいいえ、通知に様式の定めはなく、従来の建築主事等への回答様式をそのまま使えます。
Q期限を過ぎても審査結果を通知しなかった場合はどうなりますか?
A消防法第7条第2項は3日または7日の期限内の通知を義務付けており、これは指定確認検査機関ルートでも同じく遵守が必要です。

まとめ

国・都道府県・建築主事を置く市町村の建物は、令和6年11月1日から指定確認検査機関にも計画通知の審査を任せられるようになりました。
根拠は地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律による建築基準法改正です。
対象は民間建物ではなく国・都道府県・建築主事を置く市町村の建物に限られます。
指定確認検査機関は消防長へ通知するとき、建築主提出書類と担当者の連絡先まであわせて送付します。
消防長・消防署長が回答する期限は消防法第7条第2項の3日または7日のまま変わりません。
通知の様式に定めはなく、従来の様式を流用できます。
施行後は窓口担当者をあらかじめ決めておくことが実務をスムーズにします。

施行後は担当者の連絡先から確認してみます!

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 計画通知制度における消防長及び消防署長への通知について(令和6年10月25日 消防予第522号、消防庁予防課長)
  • 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号)
  • 建築基準法第18条第1項・第2項・第4項、第93条第4項
  • 消防法第7条第2項
  • 建築基準法及び同法関係法令の施行と消防法第7条の運用について(昭和25年12月15日 国消管発第292号・住発第755号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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