不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備は、消火剤も放射のしくみもまったく違います。
ところが消火剤を放射する噴射ヘッドだけは、3つの設備に共通する1つの告示で基準が決められています。
噴射ヘッドの穴の大きさは実はミリメートルで測るのではなく、「コード番号」という独自の単位で管理されています。
本記事では不活性ガス消火設備等の噴射ヘッドの基準(平成7年消防庁告示第7号)が定める構造・材質・等価噴口面積・表示の4つの要件を解説します。
うちには二酸化炭素消火設備が入っているんですが、噴射ヘッドの規格まで意識したことがありませんでした。
噴射ヘッドは消火剤の種類が違っても、共通の告示1本で構造や表示の基準が決まっているんですよ。
へえ、二酸化炭素もハロゲン化物も粉末も同じ基準なんですね。
はい。
噴口の大きさまで管理されているので、点検のときに知っておくと安心ですよ。
- 不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備の噴射ヘッドは、消防法施行規則が消防庁長官に委任する形で平成7年消防庁告示第7号という1つの告示に基準が統一されている
- オリフィス径が3ミリメートル未満の噴射ヘッドには、目づまり防止用のフィルターを設けなければならない
- 本体・ノズルは規定の鋼材相当のもの、ホーンとデフレクターは金属製であることが求められる
- 噴口の大きさはミリメートルではなく別表の「コード番号」で管理され、水による実測で等価噴口面積を確認する
- 噴射ヘッドには製造者名・コード番号・型式記号・製造年の4項目を表示しなければならない
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目次
噴射ヘッドの基準はなぜ3つの消火設備に共通するのか

ところが噴射ヘッドだけは、3つの設備に共通する1つの告示に従います。
消防法施行規則は、不活性ガス消火設備(第19条)、ハロゲン化物消火設備(第20条)、粉末消火設備(第21条)をそれぞれ別々の条文で規定しています。
しかし噴射ヘッドについてだけは、いずれも消防庁長官が定める基準に適合することを求めており、その基準が不活性ガス消火設備等の噴射ヘッドの基準(平成7年消防庁告示第7号)です。
点検の現場では、設備の種類が違っても噴射ヘッドの見方は共通していると考えてよいということです。
うちは二酸化炭素消火設備ですけど、隣のビルは粉末消火設備でした。
噴射ヘッドの見方は別々に覚えないといけないんでしょうか。
いいえ、噴射ヘッドの基準は告示1本にまとまっているので、見るポイントは共通ですよ。
目づまり防止用のフィルターはどんな噴射ヘッドに必要なのか

告示はこの詰まりを防ぐため、穴の大きさで対応を分けています。
粉末消火設備は消火剤自体が粉末で目づまりの性質が異なるため、この規定の対象から除かれています。
フィルターを本体に組み込めない構造の噴射ヘッドは、別にフィルターを取り付ければよいとされています。
点検では、小径の噴射ヘッドを見つけたらフィルターの有無と汚れをまず確認するとよいでしょう。
うちの噴射ヘッドは穴が小さいタイプなんですが、フィルターって外側から見えるんでしょうか。
構造によりますが、目づまりは放射の妨げになるので、点検のたびに確認しておくと安心です。
噴射ヘッドの材質はどんな基準を満たさなければならないのか

本体・ノズル・ホーンやデフレクターで、求められる強さが分かれています。
本体・ノズルは、JIS規格に適合するもの、またはこれと同等以上の強度・耐食性を持つものでなければなりません。
ホーンやデフレクターのように消火剤の流れを整える部分は、金属製であること自体が要件です。
さびで機能に影響が出るおそれのある部分には、有効な防錆処理を施すことも義務づけられています。
古い噴射ヘッドがさびているのを見かけたら、まずこの材質基準に適合しているかを疑うポイントです。
古い噴射ヘッドがさびているのを見つけたんですが、これって交換した方がいいですか。
機能に影響が出るおそれがあるさびなら要注意です。
防錆処理の有無も含めて点検で見てもらいましょう。
噴口の大きさはなぜミリメートルでなくコード番号で管理されるのか

告示は「等価噴口面積」という別の考え方を採用しています。
オリフィスの形は噴射ヘッドの種類によって様々で、単純な直径では消火剤の出やすさを正しく表せません。
そこで告示は、実際に水を流して測った「等価噴口面積」を基準にし、その値を別表のコード番号に対応づけています。
たとえばコード番号16は等価噴口面積4.91平方ミリメートル、コード番号32は31.2平方ミリメートルに対応します。
設計や点検でヘッドの能力を比べるときは、ミリメートルではなくこのコード番号を照合します。
点検のときにコード番号を見ても、それが大きいのか小さいのかピンときません。
番号が大きいほど等価噴口面積も大きいので、同系統のヘッドを比べるときの目安にできますよ。
現場では表示のどの4項目を確認すればよいのか

告示は、消えないように表示すべき事項を4つに絞っています。
製造者名又は商標と型式記号が分かれば、同じ仕様の交換部品を手配できます。
コード番号は等価噴口面積の照合に使い、製造年は経年劣化の目安になります。
特殊なものを除き製造年の表示も必要なので、銘板が読めないほど汚れている場合は清掃してから確認しましょう。
この4項目が読み取れない噴射ヘッドは、点検報告書に「表示不鮮明」として記録しておくとよいでしょう。
銘板の文字が薄くなってて読みにくいものがあったんですが、そのままでもいいんでしょうか。
表示は容易に消えないようにと定められているので、読めない場合は指摘事項として残しておきましょう。
よくある質問
まとめ
噴射ヘッドって地味な部品だと思ってましたけど、消火設備の種類を超えて共通ルールがあるのは知らなかったです。
構造・材質・等価噴口面積・表示の4つを押さえておけば、点検のときに迷いません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 不活性ガス消火設備等の噴射ヘッドの基準(平成7年消防庁告示第7号)
- 消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第19条・第20条・第21条
- 総務省消防庁「告示」一覧(https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/)
※本記事は公表されている法令および消防庁の告示に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





