地震後、自家発電設備を試運転すると、潤滑油圧力計が平常値まで上がらないことがあります。
警報が消えたり油量が足りていたりすると、そのまま運転してよいのか迷う場面です。
低い油圧は、オイルポンプ、吸込みストレーナ、フィルター、配管、圧力検出部などの異常を示す手掛かりになります。
BCPでは運転を保留する、消防用設備への影響を確認する、代替電源を確保する、専門点検後に復旧するという順番を決めておきます。
油量が足りていたら運転してもええですか?
指定値と大差があれば運転を保留します。
フィルター交換だけで戻せますか?
原因を決めつけず専門点検へつなぎます。
- 潤滑油圧力が指定値と大差あれば運転を続けません
- 施設担当者がフィルターや配管を自己判断で触りません
- 消防用設備への影響と代替措置を決めます
- 専門業者が油量と油路と圧力計測を点検します
- 再試験で油圧の安定を確認してから復旧します
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目次
地震後の試運転で潤滑油圧力が低ければ運転を続けてよいのか

製造者の指定値と大差があるなら、いったん運転を保留します。
油量が足りていることと、必要な潤滑油圧力が保たれていることは同じではありません。
消防庁の点検要領は、運転中の潤滑油圧力などが製造者の指定する値と大差ないことを確認するよう示しています。
圧力計だけで原因を決めず、発生時刻、運転条件、警報、油量、漏れ、異音を残して専門業者へ引き継ぎます。
消防用設備の非常電源として使われている場合は、発電機だけの問題として終わらせません。
非常電源を受ける設備と停止中の代替措置を同時に確認します。
始動できても安心とは限らないんですね。
安定運転まで確認して判断します。
どの油路と計器と運転条件を確認対象にするのか

オイルパンから圧力検出部までを一つの油路として確認します。
同じ機種でも冷機時と暖機後、無負荷と負荷運転では値が変わるため、測定条件も残します。
- 設備番号と原動機の型式を確認する
- 冷機時か暖機後かを記録する
- 無負荷か負荷運転中かを記録する
- 油圧低下が始まった時刻と指示値を記録する
- オイルパンの油量と漏れ跡を外観確認する
- ストレーナ、オイルポンプ、フィルター、配管を確認対象にする
- 圧力計と警報の作動履歴を点検記録と比較する
外観確認は、停止後に安全を確保し、手が届く範囲で行います。高温部や回転部へ近づかず、カバーを外したり運転中の機器へ触れたりしません。
施設側が記録する範囲と専門業者が測定・分解する範囲を分けます。
運転条件も一緒に残すんですね。
同じ条件で比較できる記録が大切です。
油圧低下の発見から専門点検まで何をするのか

記録、運転保留、影響確認、代替措置、専門点検の順で進めます。
原因確認前に何度も再始動すると、異常の拡大や二次損傷につながるおそれがあります。
- 安全な位置から油圧計と警報表示を確認する
- 運転と再始動を保留する
- 非常電源を受ける消防用設備を確認する
- 代替電源と施設運用制限を決める
- 専門業者へ指示値と運転条件を伝える
- 油量、油質、油路、ポンプ、フィルター、計器の点検結果を受け取る
- 再試験後に復旧責任者が運用再開を承認する
専門点検では、実際の油圧を別の計器で確かめ、圧力計やセンサーだけの異常か、油路側の異常かを切り分けます。
消防用設備の機能維持と原動機の二次損傷防止を両立させ、必要に応じて所轄消防署と専門業者へ相談します。
停止中の設備への影響も確認します。
代替措置までを一つの手順にします。
油圧が一度戻ったときに何を見落としやすいのか

指示値が戻っても、原因が解消したとは限りません。
回転速度や油温が変わっただけで、一時的に表示が戻ることもあります。
- 警報が消えた瞬間だけで復旧を判断する
- 油量が正常だから油路も正常だと思い込む
- 圧力計やセンサーの誤差を確認しない
- ストレーナやフィルターの詰まりを見落とす
- 吸込み側配管の緩みや空気混入を確認しない
- 潤滑油の劣化や燃料・水分の混入を別問題として扱う
- 点検結果をBCP記録へ戻さない
油圧低下は、計器、油量、油質、流路、ポンプなど複数の要因を切り分ける必要があります。
実圧測定、油路点検、潤滑油の成分分析を必要に応じて組み合わせます。
静かになっただけでは復旧とは言えませんね。
原因と安定性を分けて確認します。
明日から潤滑油圧力の低下にどう備えるのか

平常時の油圧と測定条件を設備台帳へ残します。
計器の値を単独で見るのではなく、油温、回転速度、負荷の有無と一緒に比較します。
- 設備番号と製造者の指定値を台帳へ記入する
- 同じ運転条件で平常時の油圧を記録する
- 油量、交換時期、分析結果の履歴を残す
- 停止判断と連絡先を試運転手順に入れる
- 消防用設備の供給先を系統図で確認する
- 代替電源と施設運用制限を決める
- 専門点検後の復旧承認者を決める
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要な経営資源の被害確認、代替手段、復旧手順、教育・訓練、見直しを継続する考え方を示しています。
運転を保留して代替電源へ移る訓練と点検結果から復旧を承認する流れを消防計画とBCPへ反映します。
まず平常時の状態を記録します。
比較できる記録が停止判断を支えます。
よくある質問
まとめ
油圧が戻っても勝手に再始動せんようにします。
代替電源と専門点検まで確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 第24 非常電源 自家発電設備の点検要領
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検方法に関する検討資料 資料5-1
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検基準等の改正
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。潤滑油圧力が製造者の指定値と大差ある場合は自己判断で運転継続や部品交換をせず消防用設備の専門業者へ相談してください。個別の運転保留、代替措置、点検・整備、試運転、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





