地震後の停電に備えて自家発電設備を確認したところ、燃料の液面計が下限近くを示していることがあります。
少しでも燃料が残っていれば、とりあえず始動してよいのか迷う場面です。
しかし、表示だけで残量や連続運転時間を決めると、消防用設備が必要な途中で燃料切れになるおそれがあります。
BCPでは燃料量を記録する、始動を保留する、タンクと配管を確認する、再試験後に復旧するという順番を決めておきます。
燃料計が下限でも、始動確認だけならええですか?
必要量と漏れの有無を確認するまで始動を保留します。
燃料を足したら復旧できますか?
減った原因と運転可能時間まで確かめて復旧します。
- 燃料計が下限近くなら始動を保留します
- 液面だけでなく必要な連続運転時間を確認します
- 主タンク・燃料小出槽・配管・液面計を点検します
- 補給前に漏れと表示異常の原因を記録します
- 再試験と復旧承認をBCP記録へ残します
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目次
地震後に自家発電設備の燃料計が下限なら始動してよいのか

燃料計が下限近くを示している場合は、必要な燃料量を確認できるまで始動を保留します。
わずかな試運転でも燃料を消費し、災害時に使える運転時間を短くします。
消防庁の点検要領は、燃料容器に変形や損傷がなく、必要な燃料が保有されていることを確認するよう示しています。
自家発電設備の基準でも、定格負荷で必要な連続運転時間に消費する量以上を保有できる構造が求められます。
燃料が不足する間は、一般業務用の負荷を追加せず、消防用設備に必要な電源を優先します。
運転を始める前に負荷の優先順位を決めることがBCP上の要点です。
少し回すだけでも燃料を使うんですね。
必要時間を確保してから試験します。
どのタンクと燃料系統を確認するのか

確認するのは発電機脇の液面計だけではありません。
主タンク、燃料小出槽、供給配管、戻り配管、弁、液面計を一つの燃料系統として見ます。
- タンク本体に変形、亀裂、著しい腐食がないか
- 液面計の表示と実際の液面に不自然な差がないか
- 配管、継手、弁の周囲ににじみや油滴がないか
- 燃料移送ポンプと制御盤に警報や損傷がないか
- 想定負荷で必要となる燃料量を確保できるか
地震後はタンクの傾きや配管支持部のずれが、表示異常や漏れにつながることがあります。
見える範囲を写真で記録し、触れずに専門業者へ引き継ぎます。
液面計だけ見ればええと思ってました。
タンクから発電機まで一続きで確認しましょう。
燃料量が不足していたら何をするのか

最初に表示値と確認時刻を記録し、始動操作を保留します。
補給してから写真を撮ると、異常が始まった時点の情報を失います。
- 液面計とタンク周囲を離れた位置から記録する
- 燃料臭、にじみ、油滴があれば立入範囲を制限する
- 運転記録と前回点検時の残量を照合する
- 必要な運転時間と燃料消費量を計算する
- 設備仕様を把握した専門業者へ連絡する
- 補給方法と試験条件を決める
- 結果を確認して復旧責任者が承認する
燃料漏れが疑われる場合は、火気を近づけず、自己判断で弁や継手を動かしません。
補給作業と漏れの処置を同時に進めないことも重要です。
先に燃料を足したら原因が分からんのですね。
補給前の状態を残して原因を追います。
燃料を補給すれば復旧と思うと何を見落とすのか

燃料が少ない理由は、運転による消費だけとは限りません。
液面計の固着、タンクの傾き、配管からの漏れ、移送不良でも表示は下がります。
- 液面計のフロートが固着して低く見えている
- 地震でタンクが傾き表示が偏っている
- 配管継手から少量ずつ燃料が漏れている
- 主タンクから燃料小出槽への移送が止まっている
- 負荷計画より燃料消費が大きくなっている
見かけの液面が戻っても、供給経路に空気が入ったり移送ポンプが損傷したりしていれば安定運転できません。
燃料量、供給、漏れ、表示の四つを分けて確認します。
燃料を扱う作業には火災と静電気の危険があります。
施設担当者だけで分解や締め直しをしないでください。
表示そのものが間違ってる場合もあるんですね。
表示と実量の両方を確かめます。
明日から燃料不足にどう備えるのか

平常時に、必要な連続運転時間と燃料消費量を設備仕様から確認します。
最低残量、補給の連絡先、補給できない場合の負荷制限を一枚の手順書にまとめます。
- 主タンクと燃料小出槽の容量を図面へ記入する
- 液面計の通常位置と最低管理位置を写真で残す
- 想定負荷ごとの燃料消費量を設備仕様から確認する
- 消防用設備を優先する負荷停止順位を決める
- 燃料供給事業者と災害時の連絡方法を共有する
- 漏れを見つけた場合の立入制限を訓練する
- 補給後の試験と復旧承認欄を点検記録に設ける
点検記録は残量だけでなく、確認時刻、運転時間、補給量、漏れの有無、担当者を同じ様式で残します。
燃料が届くまでの運用を訓練して初めてBCPになります。
- 点検日だけでなく月ごとの残量推移を残す
- 契約先が被災した場合の代替連絡先を用意する
- 燃料補給口までの車両動線を確保する
- 停電時も見られる紙の手順書を備える
消防計画の自衛消防活動とBCPの事業継続判断をつなぎ、誰が始動保留と復旧を決めるかも明確にします。
残量だけでなく、届くまでの運用も決めるんですね。
負荷の順位まで訓練しておきましょう。
よくある質問
まとめ
液面だけで始動を決めんようにします。
必要量と供給経路と再試験まで一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 第24 非常電源(自家発電設備)の点検基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源(自家発電設備)
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。自家発電設備の燃料が下限近くの場合は、自己判断で始動や補給をせず、設備仕様を把握した消防用設備の専門業者へ相談してください。個別の必要燃料量、補給、負荷制限、試運転、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





