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自動火災報知設備の受信機はなぜ接地端子が必要なのか|電気設備の技術基準と電気工事士の資格要件を解説

受信機の外箱に接地端子がなぜ必要か

自動火災報知設備の受信機の裏側には、緑と黄色の線がつながった接地端子があります。
これは飾りではなく、感電や誤作動を防ぐために消防法令で定められた構造上の要件です。
さらに接地線をつなぐ工事そのものは、消防法とは別の法律で電気工事士に限定されています。
本記事では受信機の接地端子がなぜ必要で誰が工事できるのかを、根拠条文から順に解説します。

受信機の裏に緑と黄色の線がついてるのが気になってました。

あの線は接地線ですね。
金属製の外箱を大地とつないでいます。

つけなくても普通に動くように見えるんですが。

省令で設置が義務づけられているんです。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 受信機は消防法上の検定対象機械器具等で、検定合格の表示がなければ設置工事に使用できません
  • 定格電圧が60ボルトを超える受信機の金属製外箱には、接地端子を設けることが技術上の規格で定められています
  • 電気設備に関する技術基準を定める省令は、電気設備の必要な箇所に接地その他の措置を講じることを義務づけています
  • 接地線の取付けなどの工事は「軽微な作業」から除かれており電気工事士でなければ行えません
  • 多くの防火対象物で自動火災報知設備の点検は消防設備士や消防設備点検資格者による定期点検が義務づけられています

自動火災報知設備の受信機に接地端子が必要な理由と電気工事士の資格要件を示す図解

受信機はなぜ検定に合格した製品でなければならないのか

受信機と検定マークを示す図
自動火災報知設備の受信機は、家電製品のように自由に選んで取り付けられるわけではありません。
消防法は受信機を「検定対象機械器具等」と位置づけ、検定に合格した製品だけを設置工事に使えるとしています。
検定対象機械器具等のうち消防の用に供する機械器具又は設備は、第二十一条の九第一項の規定による表示が付されているものでなければ、その設置、変更又は修理の請負に係る工事に使用してはならない。(消防法第21条の2第4項)
受信機は検定合格の表示がなければ工事に使えません。
消防法施行令第37条第6号により、火災報知設備の受信機は検定対象機械器具等に指定されています。
検定は総務省令で定める技術上の規格に適合しているかどうかを、あらかじめ検査する仕組みです。
つまり受信機を選ぶときは、型式や機能だけでなく検定合格の表示があるかどうかをまず確認する必要があるということです。

受信機にもマークが付いてるって聞いたことがあります。

はい、検定マークのない製品は工事に使えません。
次は接地端子の話をしましょう。

受信機の金属製外箱にはなぜ接地端子が必要なのか

受信機の金属製外箱内の接地端子を虫眼鏡で示す図
検定に合格した受信機にも、構造そのものに関する細かい規格があります。
その一つが、金属製の外箱に設ける接地端子です。
定格電圧が六十ボルトを超える受信機の金属製外箱には、接地端子を設けること。(受信機に係る技術上の規格を定める省令第3条第1項第10号)
60ボルトを超える受信機には接地端子が義務づけられています。
受信機は金属製の外箱を持つものが多く、内部の絶縁が劣化すると外箱に電圧が生じるおそれがあります。
接地端子は、外箱に生じた電圧を大地へ逃がすための出口として設けられています。
つまり接地端子は飾りの部品ではなく、感電を防ぐための構造上の要件だということです。

外箱に触れて感電することもあるんですか。

はい、絶縁の劣化が起きると外箱に電圧が生じます。
だから接地端子で逃がす仕組みなんです。

接地端子につないだ先の電気設備にはなぜ別の基準があるのか

接地棒と接地抵抗計をつないだ図
接地端子を設けるだけでは、電気を安全に大地へ逃がすことはできません。
接地端子から先の工事は、消防法とは別の法律である電気事業法の体系が扱います。
電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。(電気設備に関する技術基準を定める省令第10条)電気設備に接地を施す場合は、電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにしなければならない。(同省令第11条)
接地は電流を安全に大地へ流すことが目的です。
この省令は受信機に限らず、すべての電気設備に共通する接地の目標基準を定めています。
具体的な接地工事の種類や抵抗値の基準は、この省令を具体化する経済産業省の解釈でD種接地工事などとして示され、300ボルト以下の機器に広く用いられています。
つまり受信機の接地端子は、消防法の技術基準と電気設備の技術基準という二つの法体系が交わる場所にあるということです。

消防法だけの話じゃなかったんですね。

はい、電気設備の技術基準も関わってきます。
次は誰が工事できるかを見ましょう。

受信機の接地工事はなぜ誰でもできるわけではないのか

電気工事士が分電盤に接地線をつなぐ図
接地の重要性が分かっても、工事を誰が行ってよいかは別の問題です。
接地線をつなぐ作業には、資格そのものを定めた法律があります。
第一種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。(電気工事士法第3条第1項)
接地線の取付けは電気工事士でなければ行えません。
自家用電気工作物にあたる建物では、接地線の取付けや接地極の埋設を含む電気工事は第一種電気工事士でなければ従事できません。
経済産業省令はこの接地線の作業を、無資格でも行える「軽微な作業」から明確に除外しています。
つまり受信機の接地工事を依頼するときは、電気工事士の資格を持つ業者かどうかを確認することが欠かせないということです。

業者を選ぶときに資格を確認した方がいいんですね。

はい、電気工事士の資格があるかどうかを確認してください。
次は点検での確認ポイントです。

受信機の接地は日常のどこで確認できるのか

受信機を点検する作業員とチェックリストの図
接地端子も接地工事も、一度つないで終わりではありません。
自動火災報知設備は、法律で定期的な点検が義務づけられています。
(前略)関係者は、当該防火対象物における消防用設備等(略)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。(消防法第17条の3の3)
多くの建物で受信機の点検は有資格者が行います。
一定規模以上の防火対象物では、消防設備士又は消防設備点検資格者による定期点検が義務づけられています。
点検では外観や機能だけでなく、接地端子の緩みや配線の状態も確認の対象になります。
つまり日頃からできることは、点検の記録を確認し、接地に関する指摘があれば電気工事士へつなぐ準備をしておくことです。

点検のときに接地も見てもらえるんですね。

はい、点検の記録を確認しておくと安心です。
ここまでの基準を整理しましょう。

よくある質問

Q受信機はどんな製品でも設置できますか?
Aいいえ、消防法上の検定対象機械器具等にあたるため、検定合格の表示がある製品でなければ設置工事に使用できません。
Q受信機の接地端子はすべての機種に必要ですか?
A定格電圧が60ボルトを超える受信機の金属製外箱に必要と定められています。
Q接地線の取付けは自分で行ってもよいですか?
Aいいえ、接地線を取り付ける作業は「軽微な作業」から除かれており、電気工事士の資格が必要です。
Q受信機の接地は点検で確認してもらえますか?
Aはい、多くの建物では消防設備士や消防設備点検資格者による定期点検の対象に含まれます。

まとめ

受信機は消防法上の検定対象機械器具等である
検定合格の表示がなければ設置工事に使用できない
定格電圧60ボルト超の受信機の金属製外箱には接地端子が必要
電気設備に関する技術基準を定める省令は接地その他の措置を義務づけている
接地線の取付けは「軽微な作業」から除かれ電気工事士でなければ行えない
自動火災報知設備の点検は消防設備士や消防設備点検資格者が行う場合がある
点検では接地端子の緩みや配線の状態も確認の対象になる

受信機の裏側にも、こんなに細かい基準があったんですね!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第21条の2(検定対象機械器具等)
  • 消防法施行令第37条第6号(受信機の検定対象指定)
  • 受信機に係る技術上の規格を定める省令第3条第1項第10号(接地端子)
  • 電気設備に関する技術基準を定める省令第10条・第11条(電気設備の接地)
  • 電気工事士法第3条第1項・電気工事士法施行規則第2条第1項第1号ル(電気工事士の資格)
  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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