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加圧送水装置の制御盤はなぜ電動機を止めない警報を採用するのか|4色の表示灯と非常動力装置との連動を解説

加圧送水装置の制御盤に並ぶ表示灯と警報装置

屋内消火栓設備やスプリンクラー設備の加圧送水装置には、ポンプの状態を伝える制御盤が付いています。
盤面には電源・運転・呼水槽減水・電動機過電流という4種類の表示灯が並び、警報が鳴る仕組みも備わっています。
実はこの警報、鳴っても電動機を止めない設計になっていることは意外と知られていません。
本記事では加圧送水装置の制御盤になぜこのような表示灯と警報の仕組みがあるのかを、根拠となる告示から順に解説します。

ポンプ室の制御盤に、ランプがいくつも並んでいるのが気になっていました。

あれは消防庁告示で色まで決められた表示灯です。
警報の仕組みもあわせて決まっています。

警報が鳴ったらポンプも止まるものだと思っていました。

実はなんです。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 加圧送水装置の制御盤には、電源・運転・呼水槽減水・電動機過電流という4種類の表示灯を設けなければなりません
  • 起動用スイッチ・停止用スイッチや表示灯は、名称又は用途を見やすい箇所に消えないように表示することとされています
  • 呼水槽減水警報装置及び電動機過電流警報装置は、作動しても電動機を自動的に停止させてはならないと定められています
  • この警報の停止及び復帰は、直接操作によってのみ行われるものでなければなりません
  • 非常動力装置をポンプに付置した場合に限り、過電流警報と連動して非常動力装置を起動させることが認められます

加圧送水装置の制御盤の表示灯と警報装置の基準を示す図解

加圧送水装置の制御盤にはなぜ4種類の表示灯が並ぶのか

4種類の色分けされた表示灯が並ぶ制御盤の図
制御盤には、いくつもの表示灯が色を変えて並んでいます。
実はこの色分けにも、告示で決められた明確な役割があります。
制御盤には、次に掲げる装置を設けるとともに、当該装置の名称又は用途を見やすい箇所に容易に消えないように表示すること。(略)次に掲げる表示灯 電源表示灯(白色) 運転表示灯(赤色) 呼水槽減水表示灯(橙色) 電動機過電流表示灯(橙色)(加圧送水装置の基準 平成9年6月30日消防庁告示第8号 第六 一 (六) ロ)
表示灯は色によって役割が振り分けられています。
制御盤は加圧送水装置の監視と操作をまとめて担う装置と告示上定義されています。
電源表示灯(白色)と運転表示灯(赤色)は、電源が入り実際にポンプが動いているかを示す表示です。
呼水槽減水表示灯と電動機過電流表示灯はどちらも橙色で、異常を知らせる警戒色になっています。
つまり色を見るだけで、正常運転なのか警戒すべき状態なのかを瞬時に見分けられる設計だということです。

制御盤の表示灯、たくさんあって何を見ればいいのか迷います。

まずは白と赤の意味から見ていきましょう。
次はスイッチの表示です。

制御盤の起動用スイッチや表示灯はなぜ名称の表示まで義務づけられるのか

起動用スイッチと停止用スイッチに名称札が付いた制御盤の図
制御盤にはスイッチや表示灯そのものだけでなく、表示の仕方にも決まりがあります。
誰が操作しても迷わないための工夫です。
制御盤には、次に掲げる装置を設けるとともに、当該装置の名称又は用途を見やすい箇所に容易に消えないように表示すること。イ 電動機又は内燃機関を直接操作することのできる起動用スイッチ及び停止用スイッチ(加圧送水装置の基準 平成9年6月30日消防庁告示第8号 第六 一 (六))
起動と停止のスイッチは、直接操作できることが条件です。
制御盤には電動機や内燃機関を直接操作できる起動用スイッチと停止用スイッチを設けることが義務づけられています。
あわせて、これらの装置は名称や用途を見やすい箇所に消えないように表示しなければなりません。
これは、日常点検や緊急時に別の担当者が操作しても迷わないようにするための配慮です。
つまり制御盤の表示は飾りではなく、誰が扱っても安全に操作できるようにするための仕組みだということです。

名前が書いてあれば、初めて見る人でも迷わずに済みますね。

はい、誰が操作しても迷わない設計です。
次は警報が鳴ったときの話をします。

電動機過電流警報装置はなぜ電動機を自動的に止めない設計なのか

警報ベルが鳴っていても運転を続けるポンプの図
警報が鳴ると、多くの人はポンプも止まると考えます。
ところが告示の定めは、その予想とは違う設計を求めています。
次に適合する呼水槽減水警報装置及び電動機過電流警報装置 ベル・ブザー等により、音響を発すること。停止及び復帰は、直接操作により行われるものであること。作動した場合において、これと連動して電動機を自動的に停止させる機能を有しないものであること。(加圧送水装置の基準 平成9年6月30日消防庁告示第8号 第六 一 (六) ニ)
警報が鳴っても、電動機は止まらない設計です。
呼水槽減水警報装置や電動機過電流警報装置は、いずれもベル・ブザー等で音響を発して異常を知らせます。
ただし告示は、これらの警報が作動しても電動機を自動的に停止させる機能を持たせてはならないと定めています。
消火のための送水を、警報の作動だけで機械的に止めてしまっては本末転倒になるためです。
つまり警報は異常を知らせるだけで、送水を続けるかどうかの判断は人に委ねられているということです。

警報が鳴ったら、てっきりポンプも止まると思っていました。

いいえ、送水は止めない設計なんです。
ただし例外もあるので見ておきましょう。

非常動力装置と連動させる場合はなぜ例外になるのか

電動機と非常動力装置が並んでポンプにつながる図
電動機を止めないという原則にも、ただ一つだけ例外があります。
その条件は、送水を止めないための工夫と深く関わっています。
ただし、非常動力装置をポンプに付置した場合において、電動機過電流警報装置を作動したときにこれと連動して非常動力装置を起動させることができるものにあっては、この限りでない。(加圧送水装置の基準 平成9年6月30日消防庁告示第8号 第六 一 (六) ニ ただし書)
例外が認められるのは非常動力装置がある場合だけです。
非常動力装置とは、内燃機関やガスタービン等の原動機でポンプを駆動する装置と定義されています。
電動機用のポンプにこの非常動力装置を付け加えている場合に限り、過電流警報の作動と連動して非常動力装置を起動させることが認められます。
これは電動機を止めるのではなく、別の動力源に切り替えて送水を継続させるための連動だからです。
つまり例外が許されるのは、送水そのものが途切れない構成になっている場合だけだということです。

止めるんじゃなくて、切り替えるための連動なんですね。

はい、送水を止めないための例外です。
最後に点検の視点を整理しましょう。

点検のときに表示灯と警報装置の何を確認すればよいのか

点検者が制御盤の表示灯を確認している図
ここまでの基準は、条文を読むだけでは実務に活きません。
最後に、点検で実際に確かめるべき視点を整理します。
屋内消火栓設備の屋内消火栓及び加圧送水装置の構造及び性能は、消防庁長官が定める基準に適合するものとすること。(消防法施行規則第12条第1項第7号ニ の趣旨。詳細は加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)に定める。)
点検では4種類の表示灯と警報の作動を確認します。
消防法施行規則は、加圧送水装置の構造や性能を消防庁長官が定める基準、つまりここまで見てきた告示に委ねています。
点検の実務では、電源・運転・呼水槽減水・電動機過電流の4種類の表示灯が正しく点灯するかをまず確認します。
あわせて警報のベル・ブザーが鳴るか、停止や復帰が直接操作でしか行えないかも確認の対象です。
つまり表示灯と警報装置は、条文を読むだけでなく実際に作動させて確かめるべき設備だということです。

点検のときは、実際に警報を鳴らしてみるということですね。

はい、作動させて確認するのが基本です。
ここまでの内容を整理しましょう。

よくある質問

Q電動機過電流警報が鳴ったときはどう対応すればよいですか?
A警報は電動機を止めない設計なので、送水は継続したまま原因を確認し、消防設備士等の専門業者に点検を依頼することが実務的です。
Q呼水槽減水表示灯と電動機過電流表示灯はなぜ同じ橙色ですか?
A告示はどちらも橙色と定めており、色の使い分けは警戒を要する異常という共通の位置づけを表しています。
Q非常動力装置が無いポンプで電動機過電流警報が鳴った場合はどうなりますか?
A非常動力装置が無い場合は連動できる相手が無いため、電動機は警報が鳴っても停止しないまま送水を続ける構成になります。
Q表示灯や警報装置の点検は誰が行うものですか?
A一般的には消防設備士や消防設備点検資格者による点検の中で確認されます。

まとめ

加圧送水装置の制御盤には電源・運転・呼水槽減水・電動機過電流の4種類の表示灯を設けること
起動用スイッチ・停止用スイッチや表示灯は名称又は用途を見やすい箇所に消えないように表示すること
呼水槽減水警報装置及び電動機過電流警報装置はベル・ブザー等により音響を発すること
これらの警報の停止及び復帰は直接操作によってのみ行われるものであること
警報が作動しても電動機を自動的に停止させる機能を持たせてはならないこと
非常動力装置をポンプに付置した場合に限り、過電流警報と連動して非常動力装置を起動させることが認められること
これらは消防法施行規則第12条第1項第7号ニの委任を受けた加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)に定められていること

制御盤のランプの意味が、やっと分かりました!

表示灯や警報装置の点検もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第12条第1項第7号ニ(屋内消火栓設備の加圧送水装置の構造及び性能)
  • 加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)第六 付属装置等 一 制御盤

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備の仕様や点検の実施方法は機種や建物ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または専門業者にご確認ください。

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