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動力消防ポンプ設備の試験結果報告書にはどんな数値が入るのか|規格放水量と現場の実測値はなぜ違うのか

動力消防ポンプの規格の数値と現場の実測値の違いを示すアイキャッチ画像

動力消防ポンプ設備は、設置後の試験結果報告書に級別や口径だけでなく、吸水試験・放水試験の実測値まで細かく書き込みます。
その実測値は、ポンプそのものが満たすべき規格の数値とは別に、ホースやノズルを実際につないだ状態で測った数値です。
この2つの数値がなぜ違うのかが分かると、報告書の読み方がぐっと理解しやすくなります。
今回は動力消防ポンプ設備の試験結果報告書にどんな数値が入るのか、規格の数値と現場の実測値の関係を解説します。

動力消防ポンプの試験結果報告書って、ポンプの性能を書くだけなんですか?

いえ、吸水試験や放水試験の実測値まで書き込むんですよ。

実測値まであるなら、規格の数値と違う場面もありそうですね。

はい、数値が違う理由があるんですよ。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 動力消防ポンプ設備の試験結果報告書には級別・吸水口と放水口の口径・規格放水量・真空指度・放水試験の実測値まで記載します
  • 吸水口の内径はポンプの級別ごとに上限が決まっています
  • 規格放水量は級別ごとに定められた規格放水圧力での最低量です
  • 放水試験の実測値は実際のホースとノズルをつないだ状態で測った数値なので、規格放水量とは数値が異なります
  • これらの数値は試験結果報告書に記載され消防検査で照合されます

動力消防ポンプ設備の試験結果報告書に記載する項目の図解

動力消防ポンプ設備の試験結果報告書にはどんな数値が記載されるのか

動力消防ポンプ設備を目視で点検する様子を示す図
動力消防ポンプ設備は、設置に係る工事が完了すると試験結果報告書を作成します。
この報告書には、ポンプの仕様を書く欄と、実際に試験を行った結果の数値を書く欄が並んでいます。
問 動力消防ポンプ設備の試験結果報告書には、どのような事項を記載するか。
答 ポンプの級別、規格放水量、吸水口及び放水口の口径、機能試験(吸水試験・放水試験)の結果等を別記様式第10に定めるところにより記載すること。(消防法施行規則第20条、消防用設備等の試験基準に係る運用について)
試験結果報告書には、ポンプの仕様と試験の実測値の両方を記載します。
仕様の欄には級別・規格放水量・吸水口と放水口の口径を書きます。
試験結果の欄には吸水試験の真空指度・放水試験の圧力と放水量を書きます。
次の項からは、この仕様欄の数値がどう決まっているのかを見ていきます。

仕様の欄と試験結果の欄、両方あるんですね。

はい、仕様の欄から順に見てみましょう。

ポンプの級別はなぜ吸水口の口径まで決めるのか

ポンプの吸水口と放水口の口径を確認する様子を示す図
動力消防ポンプには、規格放水性能と高圧放水性能に応じてA-1級からD-2級までの級別があります。
この級別ごとに、吸水口の内径の上限まで決められています。
問 動力消防ポンプの吸水口の内径は、どのように定められているか。
答 ポンプの吸水口の内径は、ポンプの級別に応じ定める。A-2級にあっては百ミリメートル以下とする。(動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令第6条)
A-2級の吸水口の内径は100ミリメートル以下です。
これは級別ごとに決まる上限で、A-1級は125ミリメートル以下、D-2級は40ミリメートル以下というように級が下がるほど小さくなります。
試験結果報告書には、この吸水口の内径にあわせて放水口の口径・放水口の数も記載します。
級別そのものの区分については、別の記事で詳しく解説しています。

級が違うと、口径そのものが変わるんですね。

はい、吸水口だけでなく規格放水量も級別で変わります。
次はその数値を見てみましょう。

規格放水量はどんな条件のもとで保証されているのか

ポンプの真空指度を確認する様子を示す図
規格放水量は、ポンプそのものの放水性能を表す数値です。
ただしこれは、どんな条件でも出せる数値ではなく、決まった圧力のもとで保証される数値です。
問 動力消防ポンプの規格放水量は、どのような条件のもとで保証されるか。
答 ポンプの吸水口に標準吸管を接続し吸水高さを3メートルとした状態で、放水静圧力を別表に掲げる規格放水圧力とした場合において、同表に掲げる規格放水量を有するものでなければならない。A-2級にあっては規格放水圧力0.85メガパスカル、規格放水量2立方メートル毎分以上とする。(動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令第21条、別表)
A-2級の規格放水量は、0.85メガパスカルの圧力のもとで毎分2立方メートル以上です。
これはポンプの放水口そのもので測る性能で、ホースやノズルを通す前の数値です。
試験結果報告書の記載例では、この規格放水量の欄に毎分2.1立方メートル(2,100リットル)と記載され、基準の毎分2立方メートル以上を満たしていることが分かります。
次は、この規格放水量とは別に確認する吸水試験の数値を見ていきます。

規格放水量は、ポンプ単体の性能なんですね。

はい、吸水試験は別の数値で確認します。
次はその真空指度を見てみましょう。

吸水試験の真空指度はなぜ確認するのか

ノズルから放水試験を行う様子を示す図
動力消防ポンプは、水源から水を吸い上げる際に真空ポンプを使います。
この真空ポンプがどれだけ空気を抜けているかを確認するのが真空指度の試験です。
問 真空ポンプの機能試験では、どのような基準を満たす必要があるか。
答 吸水口と同径の標準吸管を取り付け外端を塞いだ状態で、定格回転速度で真空ポンプの回転を開始したときから30秒以内に、外端における空気圧が回転を開始した時点の大気圧から84パーセントを減じた値に達し、かつ真空ポンプを停止したときから30秒間における真空漏れが1.3キロパスカル以下であること。(動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令第25条)
真空指度は、真空ポンプがどれだけ空気を抜けているかを示す数値です。
試験結果報告書には真空計又は連成計で測定した値をそのまま記載します。
記載例では97.3キロパスカルという実測値が記録されており、真空ポンプを停止した後に著しい真空指度の低下がないことも確認します。
真空指度の確認が終わると、次はいよいよ放水試験に進みます。

真空指度も試験結果報告書に書く数値なんですね。

はい、放水試験の実測値もあわせて見てみましょう。

放水試験の放水量はなぜ規格放水量と数値が違うのか

試験結果報告書を検査で照合する様子を示す図
放水試験は、ポンプの放水口そのものではなく、実際にホースとノズルをつないだ状態で行います。
このため、放水量は規格放水量とは別の計算式で確認します。
問 動力消防ポンプ設備の点検における放水試験の放水量は、どのように算定するか。
答 放水量は、次の式により算定し確認する。Q=0.2085D²√Pn(Q:放水量(立方メートル毎分)、D:ノズル径(センチメートル)、Pn:ノズル圧力(メガパスカル))。放水量が、規定圧力において規定量以上であること。(消防用設備等の点検要領第10 動力消防ポンプ設備)
放水試験の放水量は、ノズル径とノズル圧力から計算式で求めます。
記載例では20メートルのホース2本と口径19ミリメートルのノズルをつなぎ、放水圧力0.40メガパスカルで放水量471リットル毎分という実測値が記録されています。
規格放水量の毎分2.1立方メートル(2,100リットル)に比べるとずいぶん少なく見えますが、これはノズルという狭い口を通した放水量だからです。
規格放水量はポンプの放水口そのもので測る性能、放水試験の実測値は現場のホースとノズルを通した実際の放水量という、測る場所が違う数値なのです。

数値が違うのは、測る場所が違うからなんですね。

はい、試験結果報告書の作成までお手伝いできます。

よくある質問

QA-2級の吸水口の内径はどのくらいですか?
A100ミリメートル以下と定められています。級別が下がるほど内径も小さくなります。
Q規格放水量はどんな圧力のもとで保証される数値ですか?
AA-2級であれば規格放水圧力0.85メガパスカルのもとで毎分2立方メートル以上と定められています。
Q真空指度とは何を確認する数値ですか?
A真空ポンプがどれだけ空気を抜けているかを示す数値で、真空計又は連成計で測定します。
Q放水試験の放水量はなぜ規格放水量より少なく出るのですか?
A規格放水量はポンプの放水口そのもので測る数値で、放水試験の実測値はホースとノズルを通した後の数値だからです。

まとめ

試験結果報告書には級別・口径・規格放水量・真空指度・放水試験の実測値を記載する
吸水口の内径は級別ごとに上限が決まる(A-2級は100ミリメートル以下)
規格放水量は規格放水圧力のもとで保証される最低量
真空指度は真空ポンプの吸水性能を示す実測値
放水試験の放水量はホースとノズルを通した実際の数値
規格放水量と放水試験の実測値は測る場所が違うため数値も異なる
これらの数値は試験結果報告書に記載し消防検査で設計図書と照合される

数値の意味が分かると、報告書も読みやすくなりますね。

試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第20条(動力消防ポンプ設備に関する基準)
  • 消防法施行規則第31条の3第2項(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
  • 動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令第6条・第21条・第25条・別表(昭和61年自治省令第24号)
  • 消防用設備等の点検要領 第10 動力消防ポンプ設備

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。運用は所轄消防署ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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