停電や地震のあと、消防ポンプ制御盤を確認すると、扉の図面入れに回路図がない、予備ヒューズの種類が分からない、と気づくことがあります。
制御盤が動いて見えても、故障時の復旧に必要な情報と部品がなければ、初動は止まります。
BCPでは回路図と予備品を平常時に照合し、現場と一致する状態で保管します。
制御盤の回路図が見当たりません。
動けば問題ないですか。
無い状態を記録して整備を依頼します。
古い図面なら書庫にあります。
現物と一致するかを先に確かめましょう。
- 回路図と予備品が無ければ不足状態として記録します
- 消防庁の点検基準は予備品と回路図等の備付けを確認対象としています
- 古い図面をそのまま復旧作業へ使いません
- 盤番号と改修履歴を照合し最新版を専門業者と確定します
- 図面と適合する予備品を現場の定位置へ戻します
▼

目次
回路図が見つからなければ消防ポンプの復旧作業を進めてよいのか

回路図や必要な予備品が見つからないときは、そのまま復旧作業を進めません。
まず、どの設備の何が不足しているのかを記録します。
総務省消防庁の点検基準では、加圧送水装置の電動機の制御装置について、予備品および回路図等が備えてあることを確認対象としています。
回路図と予備品は、故障時の復旧を支える設備管理の一部です。
制御盤の表示灯が点いていることと、内部回路が正常であることは同じではありません。
停電後や地震後は、表示、配線、ヒューズ、継電器、接地なども点検対象になります。
不足を見つけたら、盤の扉を開けた状態、盤名称、設備番号、図面入れ、予備品収納を写真で残します。
施設担当者が活線部へ触れたり、類似部品を仮に取り付けたりしません。
消防ポンプが使えない可能性がある間は、防火管理者へ共有し、巡回や火気制限など施設の計画に沿った代替措置を始めます。
復旧準備と防火安全の確保を同時に進めます。
盤が動けば後回しでもええですか。
次の故障へ備えて今そろえます。
どの図面と予備品を確認対象にするのか

対象は回路図1枚だけではありません。
制御盤の仕様、完成図書、改修記録、取扱説明書、予備品一覧を一組で確認します。
- 制御盤の盤名称と設備番号
- 現場と一致する回路図と結線図
- 完成図書と改修後の差し替え図面
- メーカー名と型式と製造番号
- 指定されたヒューズや表示灯などの予備品
- 予備品の数量と使用期限や保管状態
- 点検業者と保守窓口の連絡先
図面の表題欄と制御盤の銘板を照合し、対象設備が同じか確かめます。
建物名だけでなく、系統名、盤番号、改訂日まで見ます。
予備品は外観が似ていても、定格や仕様が異なることがあります。
適合可否は製造者の資料や専門業者の確認に基づいて判断します。
図面と予備品は、災害時でも取り出せる場所へ保管します。
浸水や施錠で使えなくなる保管場所は避けます。
原本を制御盤付近へ置けない場合は、管理方法を決めた複製を備え、原本の所在を明記します。
誰が更新するかも管理台帳へ記録します。
同じサイズのヒューズなら使えますか。
定格と仕様の一致を確認します。
回路図や予備品が無いときはどう進めるのか

不足の記録、対象設備の特定、専門業者への照会、現場照合、予備品選定、保管、訓練の順で進めます。
- 図面入れと予備品収納の現状を撮影する
- 盤名称と設備番号とメーカー情報を記録する
- 完成図書と改修記録から候補図面を集める
- 専門業者が現場と図面の一致を確認する
- 適合する予備品と必要数量を確定する
- 最新版と予備品を定位置へ保管する
- 取り出しから連絡までを訓練する
照会時には、制御盤の銘板、盤内全体、図面入れ、予備品収納、消防ポンプの設備番号が分かる写真を渡します。
どの盤の資料が必要かを取り違えない情報にします。
盤内の配線や端子と図面の照合は、感電や誤作動の危険を伴います。
施設担当者は制御盤内部へ触れず、資格と知識のある専門業者へ依頼します。
最新版が確定したら、改訂日と確認者を図面管理台帳へ記録します。
旧版は現場で誤使用されないよう区別して管理します。
予備品を補充しただけで終わらせず、停電時に保管庫を開けられるか、担当者が所在を説明できるかも確かめます。
BCPでは資料と部品を実際に使える状態まで整えます。
メーカーへ図面だけ頼めば完了ですか。
現場との一致と予備品まで確認します。
古い回路図があれば使えると思うと何を見落とすのか

書庫から回路図が見つかっても、現場が改修されていれば内容が一致しないことがあります。
図面が存在することと、その図面が使えることは別です。
- 改修前の盤番号の図面を保管している
- 端子番号や機器構成が現場と異なる
- 交換した継電器や表示灯が反映されていない
- 手書き修正だけで改訂日が分からない
- 予備ヒューズの定格を外観だけで選んでいる
- 紙の図面が水濡れや汚損で読めない
- 担当者だけが保管場所を知っている
改修のたびに図面と予備品を同じタイミングで更新します。
片方だけを更新すると、故障時に誤った判断を招きます。
予備品は長期保管で劣化したり、型式変更で入手できなくなったりします。
点検時に数量だけでなく状態と入手性も確認します。
電子データだけにすると、停電や端末故障で閲覧できない場合があります。
現場で使う紙面と管理用データを用途に応じて備えます。
同じ施設に複数の消防ポンプがある場合は、図面と予備品がどの系統用か分けます。
設備番号でひも付け、混在を防ぎます。
紙があれば最新版だと思ってました。
改訂日と現場の両方を見ましょう。
明日からどの順番で回路図と予備品を整えるのか

最初から全設備を一度に調べると、台帳づくりで止まりがちです。
まず消防ポンプ制御盤1面を選び、図面と予備品がそろうまで通して確認します。
- 盤名称と設備番号を確認する
- 図面入れと予備品収納を撮影する
- 完成図書と改修記録を集める
- 専門業者と現場一致を確認する
- 必要な予備品と数量を確定する
- 保管場所と更新責任者を台帳へ記す
- 停電想定で取り出しと連絡を訓練する
点検記録に回路図の改訂日と予備品の確認日を残します。
次回点検で差分を追える形にします。
消防法第17条の3の3に基づく消防用設備等の点検結果と、図面管理台帳を関連付けます。
法定点検の記録をBCPの復旧判断へつなげます。
消防計画では、設備に支障がある間の連絡と防火安全を確認します。
BCPでは復旧の優先順位と事業再開条件へ反映します。
訓練では、図面の取り出し、設備番号の照合、専門業者への連絡、代替措置の開始までを通します。
担当者が不在でも同じ手順で動ける状態を目指します。
まず1面だけ完成させるんですね。
完成形を作って横へ広げましょう。
よくある質問
まとめ
明日は盤番号の確認から始めます。
図面と予備品を使える状態にしましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検の基準 別表第2 屋内消火栓設備
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第2 屋内消火栓設備
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。消防ポンプ制御盤の回路図や予備品が見つからない場合、または現場との一致を判断できない場合は、施設担当者が自己判断で盤内を操作したり、類似部品を取り付けたりせず、設備仕様を確認できる専門業者へ相談してください。焦げ臭い、異音、発熱、浸水、配線の損傷などがある場合は近づかず、施設の緊急手順に従ってください。個別の保管方法、点検、整備、試運転、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





