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消防用設備等の配線試験はなぜ系統図で確認するのか|耐火配線と耐熱配線の使い分けと中継器の例外を解説

配線の試験はなぜ系統図で確認するのか

消防用設備等の配線工事が終わると、業者は完了検査の前に「系統図どおりに保護されています」と説明します。
この系統図、実は設備の種類によって耐火配線・耐熱配線・一般配線の範囲がまったく違います。
自動火災報知設備ひとつをとっても、中継器の回路が一般配線で済む場合と、発信機の回路がわざわざ耐熱配線になる場合があります。
この記事では消防庁の試験基準にある系統図をもとに、どの配線をどこまで保護すればよいのかを実務の目線で整理します

配線工事の完了検査で「系統図どおりです」と言われましたが
正直どこが耐火配線でどこが一般配線なのか分かっていません。

実は設備の種類ごとに保護の範囲が決まっています。
まずは自動火災報知設備を例に見ていきましょう。

中継器や発信機のような細かい機器の配線まで
気にする必要があるんですね。

はい、故障したときにどの回路が生きているかが変わります。
一つずつ確認していきましょう。

この記事の結論
  • 非常電源から受信機までの回路は耐火配線で保護するのが原則です
  • 受信機から感知器までの回路は一般配線でよいとされています
  • 中継器が予備電源を内蔵していれば非常電源回路は一般配線で足ります
  • 発信機を起動装置と兼用すると上部表示灯だけ耐熱配線になります
  • 耐火配線を埋め込めない場所は同等以上の耐熱効果がある方法で保護すればよいとされています

配線はなぜ系統図どおりに保護されているのかを示す図解

配線の外観試験は何を確認しているのか

非常電源と建物をつなぐ配線点検のイメージ
消防用設備等の工事が終わると、業者は完了検査の前に「外観試験」を行います。
このとき配線について確かめるのが、非常電源から機器までの経路を描いた系統図です。
平成14年消防予第283号記3第28(配線) 外観試験 試験項目 耐火・耐熱保護配線 保護配線の系路 試験方法 目視により確認する。 合否の判定基準 次図に示す配線の部分が耐火耐熱保護配線となっていること。
系統図と照らし合わせて、実際の配線が図の太さのとおりに保護されているかを目で確認する試験です。
消防庁の試験基準には、屋内消火栓設備から無線通信補助設備まで13種類の消防用設備等について、それぞれの系統図が用意されています。
図には太い線・斜線のハッチング・細い線という3種類の描き分けがあり、耐火配線・耐熱配線・一般配線を表します。
どの区間がどの配線になるかは設備の種類によって違うため、まず自分が点検・検査する設備の系統図を確認することが出発点になります。
続けて、実務でよく登場する自動火災報知設備を例に、この使い分けを具体的に見ていきます。

系統図は見たことがあるんですが
線の太さの違いまでは意識していませんでした。

線の種類ごとに保護のレベルが変わります。
まずは電源側から見ていきましょう。

自動火災報知設備の配線はどこが耐火でどこが一般なのか

受信機と感知器と中継器をつなぐ配線のイメージ
自動火災報知設備を例に、非常電源から末端の感知器まで配線をたどってみます。
経路の途中で、保護のレベルが何度か切り替わります。
平成14年消防予第283号記3第28(配線) 自動火災報知設備の系統図 備考 太線は耐火配線、斜線は耐熱配線、細線は一般配線、点線は水管又はガス管を示す。
非常電源から受信機までは耐火配線、受信機から感知器までは一般配線でよいとされています。
これは消防法施行規則第12条第1項第4号ホの配線規定を、自動火災報知設備の非常電源にも準用する形になっているためです。
一方、受信機から地区音響装置までの回路や、消防用設備等の操作回路へつながる部分は耐熱配線で保護するとされています。
感知器そのものの回路は細い線、つまり一般配線として描かれており、火災を検知する最前線の配線にまで耐火性能を求めているわけではありません。
経路のどこにいるかで扱いが変わるという考え方を押さえておくと、次に見る中継器や発信機の例外も理解しやすくなります。

受信機までは頑丈に、感知器の先は普通の配線でいいんですね。

はい、ただし中継器と発信機には少し例外があります。
次で説明します。

中継器の非常電源回路はなぜ一般配線で足りることがあるのか

予備電源を内蔵した中継器のイメージ
系統図には中継器の非常電源回路に「*1」という注記が付いています。
この注記が、実務でいちばん見落とされやすい緩和ルールです。
平成14年消防予第283号記3第28(配線) 注 *1中継器の非常電源回路(受信機又は中継器が予備電源を内蔵している場合は一般配線でよい。)
中継器自身が予備電源を内蔵していれば、その非常電源回路は一般配線でよいとされています。
本来、非常電源につながる回路は耐火配線か耐熱配線で保護するのが原則です。
ただし中継器が予備電源を内蔵していれば、停電しても中継器自身の電池で動き続けられるため、受信機側からの非常電源回路をわざわざ保護する必要が薄れます。
これは受信機が予備電源を内蔵している場合も同じ考え方で、注記は「受信機又は中継器」と両方を挙げています。
点検の現場では、中継器の型式や設計図書で予備電源の有無を確認してから、配線の保護区分を判断することになります。

中継器の中に電池が入っているかどうかで
配線の扱いまで変わるんですね。

そのとおりです。
設計図書か型式の仕様書で確認してみてください。

発信機を起動装置と兼用すると何が変わるのか

起動装置と兼用した発信機と表示灯のイメージ
もう一つの注記「*2」は、発信機を他の設備と兼用したときの話です。
兼用するかどうかで、上部表示灯の配線の扱いが変わります。
平成14年消防予第283号記3第28(配線) 注 *2発信機を他の消防用設備等の起動装置と兼用する場合、発信機上部表示灯の回路は、非常電源付の耐熱配線とすること。
発信機を他の消防用設備等の起動装置と兼用すると、上部表示灯の回路だけ非常電源付きの耐熱配線にしなければなりません。
発信機を屋内消火栓設備のポンプ起動などと兼用する設計は珍しくありません。
兼用していない発信機であれば、表示灯の回路は他の警報回路と同じ扱いで済みますが、起動装置を兼ねた瞬間に条件が一段厳しくなります。
これは、発信機を押した人が確実に作動を確認できるよう、停電時でも表示灯が消えない状態を求めているためと考えられます。
新設のときだけでなく、増設や改修で発信機の役割を変えるときにも、この注記を思い出す必要があります。

うちの発信機、たしか屋内消火栓のボタンと兼用でした。
表示灯の配線を確認してもらいます。

それがいいですね。
図面に耐熱配線と書かれているか一緒に見てみましょう。

耐火配線を埋め込めないときはどう保護すればよいのか

壁に埋め込む配線と金属管で保護する配線のイメージ
耐火配線の原則は、電線を耐火構造の壁や床に埋め込むことです。
とはいえ、工事の都合で埋め込めない場所も出てきます。
平成14年消防予第283号記3第28(配線) 工事方法 電線は、金属管、2種金属製可とう電線管又は合成樹脂管に収め耐火構造で造った壁、床等に埋設されていること。ただし、埋設工事が困難な場合は、前1と同等以上の耐熱効果のある方法により保護されていること。
埋設が難しい場所では、埋設と同等以上の耐熱効果がある方法で保護すれば足りるとされています。
たとえば不燃専用室や、耐火性能を持つパイプシャフト・ピットの区画内に設ける場合は、他の配線と15センチメートル以上離すか不燃性の隔壁で仕切れば、埋設扱いにしなくてもよいとされています。
耐火電線やMIケーブルを使うときは、ケーブル工事のままで足り、埋設までは求められません。
このほか、ガス漏れ検知器の電源をコンセントから取る場合は容易に抜けない構造にすること、放送設備のスピーカーに音量調整器を設けた場合は3線式配線にすることなど、設備ごとの細かい工事条件も同じ試験基準に定められています。
系統図の太さだけでなく、埋め込めない場所の代替策まで押さえておくと、現場での判断に迷いにくくなります。

全部埋め込まなきゃいけないと思っていました。
同等の方法でもいいなら現実的です。

はい、それでも耐熱効果の証明は必要です。
工事業者に方法を確認してもらいましょう。

よくある質問

Q系統図に耐火配線と書かれていない区間は保護しなくてよいのですか?
A系統図で細い一般配線として描かれている区間は、耐火・耐熱の保護までは求められていません。ただし電気工作物に係る法令の規定には従う必要があります。
Q中継器が予備電源を内蔵しているかはどこで確認できますか?
A中継器の設計図書や型式の仕様書に記載されています。現場で分からないときは、設置した業者か点検業者に確認するとよいでしょう。
Q発信機の兼用はどんな設備でよく見られますか?
A屋内消火栓設備の起動装置と発信機を兼ねる設計が代表例です。この場合は上部表示灯の回路が非常電源付きの耐熱配線になっているかを確認します。
Q耐熱配線と耐火配線はどちらのほうが保護レベルが高いのですか?
A耐火配線のほうが求められる保護レベルは高く、原則として耐火構造の壁や床への埋設が必要です。耐熱配線は金属管工事などでの保護が中心になります。

まとめ

消防用設備等の配線試験は、系統図どおりに耐火・耐熱保護配線されているかを確認する試験です
図の線の太さは耐火配線・耐熱配線・一般配線という3種類を表します
自動火災報知設備は非常電源から受信機まで耐火配線、感知器までは一般配線でよいとされています
中継器が予備電源を内蔵していれば非常電源回路は一般配線でよいとされています
発信機を起動装置と兼用すると上部表示灯だけ非常電源付きの耐熱配線が必要になります
埋設できない場所は同等以上の耐熱効果がある方法で保護すればよいとされています
設備ごとに保護区分が変わるため、点検・検査のたびに系統図を確認する習慣が実務の基本になります

配線図の見方がつながりました
点検のときも自信を持って説明できます!

耐火配線か耐熱配線かで迷ったときは系統図を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第12条第1項第4号(電源、配線及び附属装置)
  • 消防法施行規則第24条第1項第4号(自動火災報知設備の非常電源)
  • 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年消防予第283号)記3第28(配線)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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