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屋内給油取扱所の範囲はなぜ改正で変わったのか|上屋と建築物の隙間が屋外扱いを左右する仕組みを解説

上屋と建物の間に隙間を確保した給油取扱所のキャノピー

給油取扱所のキャノピーと建築物の位置関係ひとつで、消防法令上の扱いがまったく変わります。
屋内給油取扱所と屋外給油取扱所では、耐火構造や区画など求められる基準の重さが大きく違うためです。
令和3年の省令改正で、この判定を行うための計算式と具体的な条件が初めて示されました。
この記事では改正の中身と、屋外扱いのまま認められるために欠かせない隙間の条件を通達から解説します。

うちのスタンドは上屋と建物がぴったりくっついているタイプです。
これまで特に問題になったことはありません。

実はその位置関係が、屋内扱いか屋外扱いかを分けます。
令和3年の改正で判定の計算式がはっきり示されました。

屋内扱いになると、なにが変わるんですか。

求められる基準の重さがまったく違います。
まずは判定の仕組みから見ていきましょう。

この記事の結論
  • 屋内給油取扱所の範囲は、危険物の規制に関する規則第25条の6が定める面積の割合で判定します。
  • 割合が三分の一を超えると、原則として屋内給油取扱所として扱われます。
  • 割合が三分の二までであれば、上屋と建築物や塀との隙間などの条件を満たせば屋外扱いとして認められます。
  • ただし建築物内に設置するもの上部に上階があるものは、この例外の対象になりません。
  • 令和3年7月21日の消防危第172号は、この「安全と認められるもの」の具体的な条件を示した通知です。

屋内給油取扱所の範囲は面積の割合が三分の一を超えると判定され上屋と建築物や塀との隙間敷地の形状を満たせば屋外扱いとして認められるが建築物内や上階がある場合は例外なく屋内扱いになることをまとめた図解

屋内給油取扱所の範囲はなぜ見直されることになったのか

消防庁の通知書類から矢印が伸びキャノピー付きの給油取扱所の建物につながる図
きっかけは省令そのものの改正でした。
まず通知の冒頭から確認します。
屋内給油取扱所の範囲に係る運用について(令和3年7月21日 消防危第172号 消防庁危険物保安室長) 危険物の規制に関する規則の一部を改正する総務省令(令和3年総務省令第71号)が本日公布され、屋内給油取扱所の範囲に係る改正については、公布の日から施行されることとなりました。
危険物の規制に関する規則第25条の6 令第17条第2項の総務省令で定める給油取扱所(同項の屋内給油取扱所をいう。)は、建築物の給油取扱所の用に供する部分の水平投影面積から当該部分のうち床又は壁で区画された部分の一階の床面積(以下「区画面積」という。)を減じた面積の、給油取扱所の敷地面積から区画面積を減じた面積に対する割合が三分の一を超えるもの(当該割合が三分の二までのものであって、かつ、火災の予防上安全であると認められるものを除く。)とする。
屋内扱いになるかどうかで、求められる基準の重さが変わります。
危険物の規制に関する政令第17条第2項の屋内給油取扱所は、耐火構造の壁・柱・床・はりや、開口部のない耐火構造の区画など、屋外給油取扱所より重い基準が課されます。
令和3年の改正までは、この判定に使う面積の計算方法や、境界線上にあるケースの扱いがはっきり示されていませんでした。
そこで危険物の規制に関する規則が改正され、面積の割合による判定式が条文に明記されるとともに、この通知で「火災の予防上安全であると認められるもの」の具体的な条件が示されました。
自分のスタンドがどちらに当たるかは、次の章で見る計算のしかたから確認できます。

うちは面積で判定されるとは知りませんでした。

見た目の印象ではなく、計算式で決まります。
次の章で実際の計算のしかたを見ていきましょう。

屋外扱いになるかどうかはどうやって決まるのか

給油取扱所の敷地の中でキャノピーの面積と建物の面積を天秤で比べている図
計算式そのものは通知の本文にそのまま書かれています。
言葉のまま読み解いていきます。
屋内給油取扱所の範囲に係る運用について(同上) 本改正により、屋内給油取扱所の範囲については、建築物の給油取扱所の用に供する部分の水平投影面積から当該部分のうち床又は壁で区画された部分の一階の床面積(以下「区画面積」という。)を減じた面積の、給油取扱所の敷地面積から区画面積を減じた面積に対する割合が三分の一を超えるもの(当該割合が三分の二までのものであって、かつ、火災の予防上安全であると認められるものを除く。)とされたことから、この「火災の予防上安全であると認められるもの」についての留意事項を下記のとおり取りまとめました。
比べているのは「キャノピー等の面積」と「敷地の面積」です。
まず建築物の給油取扱所部分の水平投影面積(上から見た広さ)から、床や壁で区画された部分の一階の床面積(区画面積)を引きます。
次に敷地面積から同じ区画面積を引き、前者を後者で割った割合を求めます。
この割合が三分の一を超えると、原則として屋内給油取扱所です。三分の二を超えると、次章の条件を満たしても屋外扱いにはなりません
割合が三分の一超・三分の二以下の範囲にあるスタンドだけが、次章の条件を満たすことで屋外扱いのままでいられます。

うちは上屋の下がほとんど吹き抜けなので、割合は小さいはずです。

それなら次章の条件を確認するだけで済むかもしれません。
実際の隙間の測り方を見ていきましょう。

屋外扱いとして認められるにはどんな条件が必要か

上屋が建物や塀から離れて開いた隙間を確保している給油取扱所の図
条件はたった二つです。
どちらも通知の別紙で図解されています。
屋内給油取扱所の範囲に係る運用について(同上) 1 「火災の予防上安全であると認められるもの」について (1)以下の全ての事項を満たすものについては、「火災の予防上安全であると認められるもの」に該当するものであること(別紙①~③参照)。ア 道路に1面以上面している給油取扱所であって、その上屋(キャノピー)と事務所等の建築物の間に水平距離又は垂直距離で0.2m以上の隙間があり、かつ、上屋(キャノピー)と給油取扱所の周囲に設ける塀又は壁の間に水平距離で1m以上の隙間が確保されていること。イ 可燃性蒸気が滞留する奥まった部分を有するような複雑な敷地形状ではないこと。
隙間の確保と敷地形状の単純さが条件です。
一つ目は、上屋と事務所等の建築物の間に0.2m以上、上屋と周囲の塀又は壁との間に1m以上の隙間を確保することです。
どちらも水平距離又は垂直距離での実測が前提で、目分量ではなく現地で測る必要があります。
二つ目は、可燃性蒸気が溜まりやすい奥まった部分を持つような複雑な敷地形状でないことです。
道路に1面以上面していることも前提条件に含まれており、この全てを満たして初めて屋外扱いのまま認められます。

隙間の寸法さえ空いていれば、それで大丈夫なんですね。

はい、ただしこの二つの条件を全部満たす必要があります。
次の章では、条件を満たしても認められない例外を見ていきましょう。

建築物内や上階がある場合はなぜ例外なく屋内扱いになるのか

建物の中に完全に囲われたキャノピーと上に階がある給油取扱所の図
ここが実務でいちばん見落としやすい例外です。
条件を満たしても認められないケースを確認します。
屋内給油取扱所の範囲に係る運用について(同上) なお、建築物内に設置するもの及び給油取扱所の用に供する部分の上部に上階を有するものについては認められないこと(別紙④、⑤参照)。(1)以外の給油取扱所(建築物内に設置するもの及び給油取扱所の用に供する部分の上部に上階を有するものを除く。)であっても安全性を確認できる場合があるため、必要な場合は個別に総務省消防庁危険物保安室に相談すること。
隙間の条件をどれだけ満たしても、この二つだけは救済されません。
上屋が建築物内に設置されている場合と、給油取扱所部分の上部に上階がある場合は、隙間の条件をいくら満たしても屋外扱いの対象から外れます。
すでに屋内給油取扱所として許可を受けているスタンドがこの改正で屋外扱いに切り替わる場合は、上屋や消火設備、警報設備等の工事を伴うかどうかで許可変更の手続きが分かれます(平成14年3月29日付け消防危第49号)。
判断に迷う敷地形状は、通知にあるとおり個別に総務省消防庁危険物保安室へ相談する余地が残されています。
「隙間さえ空いていれば大丈夫」という思い込みが、この二つの例外を見落とす一番の原因になります。

うちの上屋は建物の一部にすっぽり収まっている形です。

それだと隙間の条件に関わらず屋内扱いのままです。
最後に確認の手順をまとめておきましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

作業服の人物が巻き尺を持って給油取扱所の上屋の隙間を測っている図
最後に確認する順番をまとめます。
自分のスタンドの図面から始めます。 確認の起点は面積の割合です。
まず図面から水平投影面積・区画面積・敷地面積を拾い、割合が三分の一を超えているかを計算します。
超えていても三分の二以下であれば、次に上屋と建築物の隙間(0.2m以上)と、上屋と塀又は壁との隙間(1m以上)を現地で実測します。
上屋が建築物内に設置されていないか、上部に上階が無いかもあわせて確認します。どちらか一つでも該当すれば、隙間の条件は関係なく屋内扱いです。
既に屋内給油取扱所として許可を受けている場合は、切り替えの前に所轄消防署へ相談し、必要な手続きを確認することが実務上の起点になります。

まずは図面で面積の割合を計算してみます。

そのうえで隙間の実測と忘れられがちな例外の確認です。
迷ったら所轄消防署にご相談ください。

よくある質問

Q面積の割合が三分の一以下であれば、隙間の条件は関係ないのですか?
Aそのとおりです。危険物の規制に関する規則第25条の6の割合が三分の一を超えない給油取扱所は、そもそも屋内給油取扱所の範囲に含まれず、この判定自体が不要です。
Q上屋と建築物の隙間が0.2mちょうどの場合は認められますか?
A認められます。通知は0.2m以上と定めており、ちょうど0.2mもこの条件を満たします。ただし塀又は壁との隙間1m以上や敷地形状の条件も同時に満たす必要があります。
Q割合が三分の二を超える給油取扱所はどうなりますか?
A隙間の条件を満たしていても屋外扱いにはなりません。危険物の規制に関する規則第25条の6の除外規定は割合が三分の二までのものに限られています。
Qすでに屋内給油取扱所として許可を受けている場合はどうすればよいですか?
A上屋や消火設備、警報設備等の工事の有無によって許可変更の手続きが分かれます(平成14年3月29日付け消防危第49号)。切り替えを検討する場合は所轄消防署にご相談ください。

まとめ

屋内給油取扱所の範囲は、危険物の規制に関する規則第25条の6が定める面積の割合で判定します。
割合は建築物の給油取扱所部分の水平投影面積から区画面積を引いた面積を、敷地面積から区画面積を引いた面積で割って求めます。
割合が三分の一を超えると原則として屋内給油取扱所として扱われます。
割合が三分の二までであれば、上屋と建築物や塀との隙間などの条件を満たすことで屋外扱いとして認められます。
上屋と建築物の間は0.2m以上、上屋と塀又は壁との間は1m以上の隙間が必要です。
建築物内に設置するもの上部に上階があるものは、隙間の条件を満たしても屋外扱いの対象になりません。
令和3年7月21日の消防危第172号が、この判定基準の具体的な運用を示した通知です。

まずは面積の割合を計算してみます

隙間の実測と例外の確認を忘れずに進めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 屋内給油取扱所の範囲に係る運用について(令和3年7月21日 消防危第172号 消防庁危険物保安室長)
  • 危険物の規制に関する規則第25条の6
  • 危険物の規制に関する政令第17条第2項
  • 製造所等において行われる変更工事に係る取扱いについて(平成14年3月29日付け消防危第49号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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