燃料電池設備の設置工事が完了すると、試験結果報告書を作成して消防長や消防署長へ届け出ます。
この報告書には、保有距離や接地抵抗・絶縁抵抗の実測値のほか、保護装置の作動試験や切替試験の結果まで書き込む欄が並んでいます。
基準を満たしているかどうかの合否だけでなく、現場で実際にどんな数値が出たのかまで記録される書類です。
今回は燃料電池設備の試験結果報告書に実際にどんな数値が書き込まれるのか、基準とどう違うのかを解説します。
燃料電池設備の試験結果報告書って、合格か不合格かだけが書いてあるんですか?
いえ、実際に測った数値そのものまで書き込むんですよ。
実測値まであるなら、基準の数値とはずいぶん違うこともありそうですね。
はい、基準をどれだけ上回っているかが分かる作りになっています。
- 燃料電池設備の試験結果報告書は別記様式第27の2①②で作成する
- 保有距離は操作面1.0メートル以上・点検面0.6メートル以上が基準
- 接地抵抗はD種100オーム以下、絶縁抵抗は0.1メガオーム以上が基準
- 記載例の実測値は保有距離1.5メートル・接地抵抗50オームで基準を上回っている
- 保護装置作動試験の作動温度はメーカ指定の設定範囲、切替試験は40秒以内が基準
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目次
燃料電池設備の試験結果報告書にはどんな数値が記載されるのか

どんな様式に何を書くかは、設備ごとに消防庁長官が定めています。
様式の名前は別記様式第27の2で、燃料電池発電設備・改質器・インバータ等の仕様を書く欄と、外観・機能・作動それぞれの試験結果を書く欄で構成されています。
記載例では、消防用設備等の別の欄に屋内消火栓設備、使用区分の欄には「消防用設備等のみに使用」が選ばれており、屋内消火栓設備の非常電源として作成された報告書という設定になっています。
仕様欄には定格出力100キロワット・定格電圧100ボルトという数値も書き込まれています。
つまりこの1枚は、燃料電池という発電の仕組みそのものだけでなく、どの消防用設備等を支えているかまで示す書類だということです。
うちの燃料電池も、どの設備を支えているかまで報告書に書かれているんですね。
はい、支えている設備の名称まで欄が分かれているんです。
保有距離の実測値は基準とどれだけ差があるのか

そのキュービクルの周りには、操作や点検のために確保しなければならない空地の広さが決まっています。
記載例の実測値は操作面1.5メートル・点検面1.5メートル・換気面1.5メートル・その他面0.2メートルで、操作面と点検面はどちらも基準を上回っています。
消防法施行規則第12条第1項第4号イ(ヘ)は、キュービクル式の受電設備について前面に1メートル以上の幅の空地を求めていますが、燃料電池設備はこの規定の例によることとされています。
実測値が基準ちょうどではなく余裕を持たせて確保されている点は、点検や操作のしやすさにそのままつながります。
操作面と点検面で必要な広さが違うんですね。
はい、用途ごとに必要な空地が決まっているんです。
接地抵抗と絶縁抵抗の実測値は基準とどれだけ差があるのか

どちらも合格ラインが決まっていて、記載例の実測値と見比べると差がよく分かります。
記載例の実測値はD種接地工事50オーム・絶縁抵抗0.2メガオームで、どちらも基準を上回っています。
接地抵抗は基準の100オームに対して50オームなのでちょうど半分、絶縁抵抗は基準の0.1メガオームに対して0.2メガオームなので二倍の余裕を持って記録されている計算です。
記載例には印加電圧500ボルトの絶縁耐力試験の結果も○として記されており、接地抵抗・絶縁抵抗とあわせて電気的な安全性を確かめる項目のひとつになっています。
接地抵抗は基準の半分の数値なんですね。
はい、基準の半分という記録です。
保護装置作動試験にはどんな数値が入るのか

試験結果報告書には、その保護装置ごとの作動試験の結果まで書き込む欄があります。
記載例では燃料ガス温度上昇停止装置が作動温度60度、改質器バーナー監視装置が作動温度650度、蒸気温度上昇停止装置が作動温度175度という結果が記入されています。
燃料ガスの漏洩検知装置と手動停止装置はいずれも結果欄が○、燃料ガス圧力上昇停止装置と蒸気圧力上昇停止装置はこの記載例では非設置を示す「-」になっています。
つまりこの欄の数値は、消防法令が定める一律の合否ラインではなく、機器ごとに設定された値どおりに動いたかどうかを確認する記録だということです。
作動温度は建物によって違う数値になるんですか?
はい、設置した機器の仕様によって変わってくるんです。
切替試験の所要時間は基準とどれだけ差があるのか

この切替えにかかる時間も、試験結果報告書で確かめる項目のひとつです。
記載例の実測値は切り替え所要時間38秒で、基準を2秒ほど下回る速さで切り替わっています。
この切替試験を含めた試験結果報告書は、消防用設備等設置届出書に添付する書類として消防長又は消防署長へ届け出ることになっています。(消防法施行規則第31条の3第2項)
消防庁の通知でも、検査は関係者から提出された設計図書・試験結果報告書と照合しながら行うことと示されており、切替試験の実測値も消防検査で実際に照らし合わせる対象になります。(平成14年9月30日消防予第283号 記3(1)ア)
切替えにかかる時間まで消防検査で見られるんですね。
はい、試験結果報告書ごと照合されるんです。
よくある質問
まとめ
基準と実測値の見分け方がよく分かりました。
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第4号ニ(非常電源(燃料電池設備))
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第27の2
- 燃料電池設備の基準(平成18年消防庁告示第8号)第二条
- 消防用設備等の点検要領 第25の2 非常電源(燃料電池設備)
- 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)記3(1)ア
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





