非常電源として使う自家発電設備の出力は、これまで昭和63年の通知(通称100号通知)を基準に算定されてきました。
ところが令和8年4月16日に消防予第159号が出され、100号通知は廃止されて新しい算定方法に一本化されました。
同一敷地内で複数の建物が発電機を共用する場合の考え方も、あわせて整理されています。
この記事では、38年ぶりに書き改められた出力算定の考え方と、実務で見落としやすい点を整理します。
うちの自家発電設備、古い出力の計算のままなんですが大丈夫でしょうか。
最近新しい通知が出たと聞きました。
実は令和8年4月に消防予第159号が出て、昭和63年から続いた100号通知が廃止されました。
出力の算定方法が新しくなっています。
出力の計算なんて専門的すぎて、どこを見ればいいのか分かりません。
発電機と原動機の組み合わせが基準を満たしているかを、順番に確認していきましょう。
まずは通知が出た背景から見ていきます。
- 令和8年4月16日の消防予第159号により、昭和63年からの100号通知は廃止され新しい算定方法に一本化されました
- 同一敷地内の異なる防火対象物で非常電源を共用する場合は、最も容量の大きい防火対象物に電力を供給できる出力であれば足ります
- 出力は発電機出力と原動機出力をそれぞれ算定し、整合率が1以上になる組み合わせを選びます
- 二酸化炭素消火設備と排煙設備のように同時に使う場面がない組み合わせは、同時投入を前提にしなくてよいとされました
- 整合率が1未満なら、原動機出力の見直しによる割増が必要です
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目次
自家発電設備の出力算定基準はなぜ38年ぶりに書き改められたのか

その基準が令和になって全面的に書き改められました。
これまでの自家発電設備の出力算定は、昭和63年8月1日付けの消防予第100号(通称100号通知)を基準に運用されてきました。
実に38年にわたって使われてきた基準です。
それが令和8年4月16日付けの消防予第159号により正式に廃止され、新しい考え方に一本化されました。
古い通知を根拠にした算定書のままにしていないか、まずここで確認しておきましょう。
38年も同じ基準だったんですね。
なぜ今になって書き改められたのでしょうか。
理由までは通知に書かれていませんが、算定の考え方を整理し直したものです。
次は対象になる範囲を見ていきましょう。
非常電源を共用する自家発電設備はどこまで認められるのか

ただし同じ敷地の中であれば、共用が認められる場合があります。
同じ敷地に複数の防火対象物があり、その消防用設備等にひとつの自家発電設備から電力を供給する場合が対象です。
このとき出力は、防火対象物ごとの負荷の総容量を比べ、最も容量が大きい防火対象物に供給できる大きさがあれば足りるとされました。
すべての防火対象物の容量を単純に合計しなくてよいという点が実務上の要点です。
自分の建物の発電機が、他の建物と共用になっていないかをまず確かめておきましょう。
全部の建物の容量を足さなくていいんですね。
思ったより現実的な基準です。
そのとおりです。
次は出力そのものをどう算定するのかを見ていきましょう。
自家発電設備の出力はどうやって算定するのか

出力の算定は、この2つをそれぞれ求めてから組み合わせる手順です。
まず負荷の合計から発電機出力を求め、同じ負荷から原動機出力も求めます。
そのうえで、この2つの出力が釣り合っているかを整合率という数値で確認します。
整合率は1以上であることが必要で、実務上は1.5未満に収めておくのが望ましいとされました。
一般社団法人日本内燃力発電設備協会の算定ソフトウェアで計算した結果は、本通知に適合するものとして扱ってよいことも示されています。
つまり発電機と原動機がちぐはぐでは駄目、ということですね。
専用のソフトがあるなら業者に確認できそうです。
はい、その組み合わせで実務上見落としやすい点が次のポイントです。
順番に見ていきましょう。
発電機と原動機の組み合わせで見落としやすいのはどこか

例外の条件を知らないと、必要以上に大きな設備を選んでしまいます。
ひとつは、複数の設備が同時に始動しても逐次5秒以内に電力を供給できる装置を設けている場合です。
もうひとつは、二酸化炭素消火設備と排煙設備のように、設備の種別や組合せから同時に使われることがあり得ない場合です。
この2つに当てはまれば、同時投入を前提にした出力までは求められません。
逆に、整合率が1未満だった場合は原動機出力の見直しによる割増が必要で、この判断を怠ると整合率の条件そのものを満たせなくなります。
同時に使わない設備の組み合わせなら、無理に大きな出力にしなくていいんですね。
そのとおりです。
最後に、明日から確認しておきたいことをまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

今日から始められることを順番に整理しました。
本通知は消防組織法第37条に基づく助言であり、既存設備の即時交換を義務付けるものではありません。
だからこそ、新設や更新のタイミングで新しい基準に基づいた算定書を求めることが実務上の対応になります。
保守点検業者に依頼するときは、整合率の数値まで含めた算定根拠を書面でもらっておくと安心です。
- 自家発電設備の算定書が100号通知を根拠にしたままになっていないか確認する
- 同一敷地内の別の防火対象物と非常電源を共用していないかを確認する
- 発電機出力と原動機出力の整合率が1以上になっているかを保守点検業者に確認してもらう
- 同時に使われることがない消防用設備等の組み合わせがあるかを洗い出す
- 新設・更新の見積りでは、消防予第159号に基づいた算定書を提出してもらう
まずは算定書がどの通知を根拠にしているか、確認してみます。
はい、迷ったら遠慮なくご相談ください。
安全な非常電源づくりをお手伝いします。
よくある質問
まとめ
整合率という言葉の意味がようやく分かりました。
算定書を見直してみます!
非常電源の出力算定は専門的で分かりにくいところです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の非常電源として用いる自家発電設備の出力算定について(通知)(消防予第159号・令和8年4月16日・消防庁予防課長)
- 消防用設備等の非常電源として用いる自家発電設備の出力の算定について(通知)(消防予第100号・昭和63年8月1日・消防庁予防課長)※消防予第159号により廃止
- 自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





