消防用設備の非常電源を専用受電設備でまかなうとき、設置の形には大きく分けて2つの方法があります。
ひとつは箱に収めるキュービクル式、もうひとつは室内や屋外に機器を並べる開放型です。
開放型を選んだ場合、キュービクル式には無い独自の空地の基準が操作面の前に生まれます。
今回は開放型を選んだときに確認すべき基準と、計画段階で見落としやすいポイントを解説します。
うちの非常電源専用受電設備は、キュービクル式じゃなくて機器がそのまま室内に置いてあるタイプなんですが。
何か特別な基準があるんでしょうか。
はい、開放型には独自の基準があります。
操作面の前の空地が特に見落とされがちです。
そうなんですね。
うちは機器が2台並んでいて、お互いに向き合うような配置になっています。
それなら通常より広い空地が必要になるかもしれません。
順番に条文を確認していきましょう。
- 非常電源専用受電設備には、キュービクル式と開放型の2種類があります。
- 開放型を選ぶと、キュービクル式には無い独自の基準を満たす必要があります。
- 開放型の基準は、点検のしやすさ・専用回路であること・表示の3つが基本です。
- 操作面の前には、1メートル以上の空地を確保しなければなりません。
- 操作面どうしが向き合う配置では、空地は1.2メートル以上必要です。
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目次
非常電源専用受電設備にはなぜ開放型とキュービクル式があるのか

まずはこの2つがどう違うのか、条文から確認します。
条文はイからトまでの項目で、開放型とキュービクル式に共通する基準と、どちらか一方にしか掛からない基準を並べて定めています。
このうち(ト)だけは、括弧の中で「キュービクル式のものを除く」と明記されています。
つまり(ト)は、機器を箱に収めずそのまま室内や屋外に設置する、いわゆる開放型だけに掛かる基準です。
キュービクル式を選べば(ト)の基準は適用されませんが、開放型を選ぶ以上は避けて通れません。
うちの設備、たしかに箱には入っていません。
それがキュービクル式じゃないってことなんですね。
そのとおりです。
次は開放型に共通する基本の基準を見ていきましょう。
開放型を選んだときまず満たすべき基準は何か

まずは基本となる3つの要件を確認します。
まず設置場所は、点検のときに近づきやすく、火災などの被害を受けにくい位置を選びます。
次に回路は、他の設備の開閉器や遮断器で止められることの無い、専用の回路として確保します。
最後に開閉器には、その設備が何のための非常電源かを表示します。
この3つを満たしたうえで、開放型だけに追加される次の基準を見ていきます。
3つとも当たり前のようですが、うちの設備はちゃんと満たしていました。
それなら安心です。
次はいよいよ開放型だけの空地の基準です。
操作面の前にはどれだけの空地が必要か

操作面の前の空地について、条文をそのまま確認します。
これは点検や操作のときに、人が安全に立って作業できる幅を確保するための基準です。
もし別の受電設備を増設するなどして、2つの操作面が向き合う配置になった場合は、必要な空地が広がります。
その場合の幅は1メートルではなく、1.2メートル以上に引き上げられます。
向き合う配置になるかどうかは、設置後の増設やレイアウト変更でも変わるため、そのつど確認が必要です。
うちは機器が1台だけなので、1メートルで足りるということですね。
今のところはそうです。
増設するときは1.2メートルの基準を思い出してください。
実務で見落としやすいのはどこか

よくある見落としを整理します。
- 空地の1メートルは、床に物を置かない水平方向の幅であり、棚や資材を仮置きした時点で基準を満たさなくなります。
- 操作面が向き合うかどうかは、設置時だけでなく増設時にも判定し直す必要があります。
- 操作面と背面を取り違えると、必要な空地の位置そのものを間違えてしまいます。
資材置き場が近くにあると、点検のたびに荷物をどけてから作業する状況になりがちです。
また増設のときに新しい受電設備を既存のものと向かい合わせに置いてしまうと、知らないうちに1.2メートルの基準に切り替わっていることもあります。
点検記録を確認する際は、空地の実測値だけでなく、いつどんな配置変更があったかも一緒に確認すると安心です。
うちも工事のときに資材を置いていた覚えがあります。
気をつけないと。
点検のたびに、空地がふさがれていないか目で確認するといいですよ。
計画段階で明日から何を確認すればよいか

難しい判断は、ここまでの内容で足ります。
- 新設する受電設備がキュービクル式かどうかを最初に確認します。
- 開放型であれば、操作面の前に1メートル(向き合う場合は1.2メートル)の空地を図面の段階で確保します。
- 完成後も、資材の仮置きや増設で空地がふさがれていないか定期的に点検します。
現地で測ってから直すのは手間がかかるため、設計段階で操作面の向きと空地の幅を決めておきます。
既存の設備に新しい受電設備を増設するときは、向き合う配置にならないか特に注意します。
判断に迷う場合は、自己判断せず所轄の消防署に確認することをおすすめします。
今度の増設工事の前に、図面から空地を確認してみます。
それが確実です。
迷ったときは消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
うちの受電設備、もう一度図面を見直してみます!
ご不明な点があれば、いつでもお尋ねください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





