地震後の試運転で消防ポンプを動かしたところ、軸受の周辺だけが急に熱くなったら、そのまま運転を続けてよいのでしょうか。
「圧力は出ているから大丈夫」と考えがちですが、軸受の発熱は潤滑不良、芯ずれ、部品の損傷などが起きているサインかもしれません。
結論からいえば、平時の試運転で著しい発熱を認めたら運転を止めることが先です。
発熱した位置と運転時間、音、振動、圧力を記録し、消防設備業者の点検と再試運転へつなげます。
軸受のところだけ、触れないほど熱そうです。
無理に触らず、試運転を止めて引き継ぐんが基本です。
- 軸受が著しく発熱したら、平時の試運転をいったん停止します
- 発熱位置・運転時間・振動・音・圧力をセットで記録します
- 熱い部分へ触れたり注油したりせず、消防設備業者へ専門点検を依頼します
- 軸受・潤滑・芯ずれ・軸継手を一体で確認します
- 再試運転で温度上昇と送水性能を確認してから復旧します
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目次
地震後の試運転で消防ポンプの軸受が発熱したら運転を続けてよいのか

結論からいえば、普段と明らかに違う熱を軸受部で確認したら、平時の試運転をいったん止めます。
消防庁の点検要領では、ポンプ用電動機について著しい発熱、異常な振動、不規則または不連続な雑音などがなく、回転方向が正常であることを確認します。
熱は見た目だけで程度を判断しにくく、停止直後も部品の温度が上がることがあります。
素手で軸受や軸継手カバーへ触れて確かめないでください。
安全な距離から、発熱した位置、起動からの時間、圧力計の指示、制御盤表示、異音や振動の有無を残します。
運転中に注油口を開けたりカバーを外したりしないことも重要です。
実際の火災時は、施設の緊急手順と消防隊の指示を優先し、平時の試運転とは分けて判断してください。
触らずに、発熱した場所と時刻を残します。
熱・音・振動・圧力を一緒に記録しましょう。
どの発熱と周辺部品を確認対象にするのか

確認対象は、熱くなった軸受だけではありません。
電動機、軸継手、ポンプ側の軸受、潤滑部、基礎、配管を一つの機械系として見ます。
施設側が安全な範囲で記録する項目は次のとおりです。
- 発熱した側と具体的な位置
- 起動時刻と異常に気づいた時刻
- 異音、振動、焦げた臭い、変色の有無
- 圧力計、電流計、制御盤表示の状態
- 潤滑油の漏れ、量、汚れを外から確認した結果
- 地震、浸水、停電、直前の整備履歴
軸受が熱くても、原因が軸受そのものとは限りません。回転軸の芯ずれや軸継手の損傷、配管から加わる力、過負荷なども候補になります。
正常時の運転時間と温度変化を比較できる記録があると、切り分けが早くなります。
一方で、防火管理者が温度の数値だけを根拠に原因を決めることはできません。
どこがいつから熱くなったかを状態のまま専門家へ引き継ぐことが大切です。
同じ室内に複数のポンプがある場合は、設備名と警戒範囲を図面で照合して取り違えを防ぎます。
電動機側かポンプ側かも記録します。
熱の位置を曖昧にせんことが大事です。
停止から専門点検と復旧確認までどう進めるのか

異常な発熱を確認したら、停止、再操作防止、記録、連絡を続けて行います。
停止直後に冷却水を掛けたり、油を足してすぐ再起動したりすると、部品を傷めるだけでなく、原因を分からなくするおそれがあります。
次の順番で対応します。
- 安全な位置から発熱箇所、時刻、表示、圧力、音を記録する
- 平時の試運転を停止し、対象設備の再操作を防ぐ
- 漏油、変色、焦げた臭い、カバーや基礎の外観を確認する
- 防火管理者、建物管理者、消防設備業者へ共有する
- 専門家が潤滑状態、軸受、芯ずれ、軸継手、負荷を点検する
- 必要な修理や調整後に安全な条件で再試運転する
- 温度上昇、振動、雑音、回転方向、吐出圧力を確認する
専門点検では、熱くなった軸受だけでなく、潤滑油の量と状態、軸の円滑さ、芯ずれ、軸継手、電動機の電流などを確認します。
修理後は同じ運転条件で温度が異常上昇しないことを再確認します。
吐出量と吐出圧力が所定の状態へ戻ったかも復旧判断に欠かせません。
使用不能が続く場合は、所轄消防署へ代替措置を相談し、巡回や火気管理などを強化してください。
冷やして再起動、では原因が残りますね。
原因除去と再試運転をセットにしましょう。
冷めれば正常と思うと何を見落とすのか

見落としやすいのは、停止して冷えたことと原因が解消したことは別だという点です。
潤滑不足や芯ずれが残っていれば、再起動後に再び発熱する可能性があります。
また、軸受の温度だけに注意が向くと、振動や不規則な音、電流値、圧力低下といった同時発生の兆候を見落とします。
冷えたから注油だけして再開する判断は避けるべきです。
油の種類や量が適切でなければ、かえって潤滑状態を悪化させるおそれがあります。
施設側で軸受を分解したり軸継手を調整したりしないでください。
地震による基礎のずれや配管支持の変形が原因なら、軸受だけを交換しても異常が再発します。
固定状態と回転系と配管からの力を合わせて確認することが再発防止につながります。
冷えた後も、原因は残っているかもしれません。
再発せんところまで確認して復旧です。
明日から軸受の異常発熱にどう備えるのか

災害後に初めて熱の違いを考えるのではなく、平時の運転時間と温度変化、音、振動、圧力を記録しておきます。
設備台帳、系統図、点検結果、連絡先をまとめ、夜間や休日でも確認できるようにします。
明日から確認する項目は次のとおりです。
- 正常運転時の温度変化、音、振動、圧力
- 電動機側とポンプ側の軸受位置
- 異常時に試運転を止める判断者と操作担当者
- 消防設備業者と所轄消防署の連絡先
- 使用不能表示と関係部署への周知方法
- 停止中の巡回、火気管理、早期通報の方法
- 再試運転の確認項目と復旧承認者
発熱発見から停止、専門点検、再試運転、復旧承認までを訓練しておくと、現場の迷いを減らせます。
内閣府の事業継続ガイドラインが示す考え方に沿い、人命安全と二次災害防止を優先しながら重要設備を復旧します。
消防計画には初動と連絡、BCPには停止中の事業判断と復旧優先順位を整理します。
最後に、復旧記録を次回の点検と訓練へ戻す担当まで決めてください。
正常時の温度変化も台帳へ残します。
比べる基準があると停止判断が速いですよ。
よくある質問
温度だけで復旧を決めたらあかんのですね。
原因と送水機能まで確認して復旧です。
まとめ
発熱した位置と経過時間を残すよう訓練します!
原因を除き、正常な温度と送水まで戻してこそBCPです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領
- 消防庁 消防用設備等の点検の基準 別表第2 屋内消火栓設備
- 消防庁 消防用設備等の点検要領 第2 屋内消火栓設備
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令・点検基準・点検要領・公的資料に基づく一般的な解説です。消防ポンプの軸受部に著しい発熱が生じた場合は、施設側で分解、注油、冷却、調整を行わず、電動機、軸受、潤滑部、軸継手、基礎、配管、運転状態、送水性能を専門家が確認してください。実際の火災時は現場の緊急手順と消防隊の判断を優先してください。個別の点検、修理、試運転、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と被害状況に応じて所轄消防署、消防設備業者、建物管理者へご確認ください。





