共同住宅用自動火災報知設備の戸外表示器は、ただ壁に取り付ければよいわけではありません。
告示には、住戸の外のどこに設けるかという設置場所そのものについて三つの条件が定められています。
見えること、点検できること、雨に濡れにくいことという条件は、いずれも住戸の中の異常を確実に外へ伝えるための工夫です。
今回は戸外表示器の設置場所がなぜこの三つの条件で決まっているのかを、告示の条文から解説します。
うちのマンションの戸外表示器、なんとなくドアの横に付いていると思っていました。
実はあの位置、告示できちんと条件が決まっているんです。
表示器なんて、光ればどこに付けてもいい気がしますが。
はい、順番に確認していきましょう。
- 戸外表示器は、住戸等の外部で共同住宅用受信機からの火災信号を受信して報知する装置と定義されている
- 設置場所は、主たる出入口の外部であって共用部分から容易に確認できる場所であることが条件とされている
- 戸外表示器は点検に便利な場所に設けることも告示で明記されている
- 雨水のかかるおそれの少ない場所であることも、設置場所を決める条件の一つである
- 場所の条件を満たすだけでなく、消防庁長官が定める基準にも別途適合する必要がある
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目次
戸外表示器はそもそもどこに置く前提の機器なのか

まずは告示の定義から、この装置がどこを基準に置かれる前提なのかを確認します。
住戸の中でどれだけ感知器が正確に作動しても、住戸の外にいる人に伝わらなければ意味がありません。
だからこそ告示は、この装置を住戸の外側に置く前提で設計しています。
では住戸等の外部のどこに置いてもよいわけではなく、実際にはどんな場所が求められるのでしょうか。
住戸の外に置くこと自体は当たり前だと思っていました。
はい、そこから先の細かい場所の条件が本題です。
なぜ共用部分から容易に確認できる場所でなければならないのか

まず一つ目の条件から確認します。
そのうえで作動表示灯が、住戸等が面する共用部分から容易に確認できることも同時に求められます。
共用の廊下を歩く人が遠目にでも点滅に気づける位置でなければ、住戸の異常を外へ伝えるという役目を果たせません。
つまりこの条件は、装置を置く場所そのものよりも「誰から見える場所か」という視点で決められています。
ドアの正面じゃなくても、廊下から見えれば大丈夫なんですね。
はい、共用部分から確認できることが要点です。
なぜ点検に便利な場所という条件まであるのか

それが点検のしやすさに関する条件です。
表示灯の点滅や通電表示灯の状態は、定期的な点検で確認する対象になります。
点検に便利な場所という条件は、脚立を立てにくい高所や物置の奥のような、点検のたびに手間がかかる位置を避けるためのものと考えられます。
見える場所であることと、点検しやすい場所であることは、似ているようで別の視点です。
見える場所と点検しやすい場所は、別の話なんですね。
はい、両方を満たす場所を選ぶ必要があります。
なぜ雨水のかかるおそれの少ない場所でなければならないのか

三つ目の条件を確認します。
戸外表示器の内部には共同住宅用受信機からの信号を受けて警報を出す回路が組み込まれており、水分の浸入は機能の異常に直結します。
軒下やひさしの下など、雨が直接吹き込みにくい位置を選ぶことが求められます。
この条件は、機器そのものの防水性能とあわせて、二重に雨対策を求めていると考えられます。
置き場所と機器自体の防水性能、両方で守っているんですね。
はい、場所と構造の両輪で考えられています。
場所の条件を満たすだけで基準を満たしたことになるのか

しかし告示には、場所の条件だけでは終わらない一文があります。
(二)は、消防庁長官が定める基準という形で、別の告示への委任を定めています。
この委任先が戸外表示器の基準(平成十八年消防庁告示第二十号)で、防水性や作動表示灯の点滅条件、絶縁抵抗といった構造・性能の基準が定められています。
つまり戸外表示器を正しく設置するには、置く場所の条件と、機器そのものの性能基準の両方を満たす必要があります。
場所を確認しただけでは、まだ半分なんですね。
はい、場所と性能の両方を確認してください。
よくある質問
まとめ
戸外表示器の設置場所の条件がよくわかりました。
視認性・点検性・耐候性の三点を現地で確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 共同住宅用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成十八年五月三十日消防庁告示第十八号)第二第五号・第三第十号
- 戸外表示器の基準(平成十八年五月三十日消防庁告示第二十号)
- 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第二十九条の四
※本記事は公表されている法令および告示に基づく一般的な解説です。設計・施工に関する個別の判断は、所轄消防署または消防設備士にご確認ください。





