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特定部分の耐火性能はどう確認するのか|国土交通省告示第219号が定める確認方法と防火区画の準用を解説

特定部分の耐火性能はどう確認するのかを解説する記事のアイキャッチ

建築基準法第26条第2項第一号は、特定部分の特定主要構造部について「耐火構造であるもの」だけでなく、もう一つの道も認めています。
その道は条文の中に「国土交通大臣が定める基準」とだけ書かれていて、中身までは読み取れません。
実はこの基準を具体的に定めているのが、令和6年国土交通省告示第219号です。
今日は告示第219号が特定主要構造部に何を求め、防火区画の規定をどこまで及ぼしているのかを条文に沿って整理します。

うちの建物にも「特定部分」があるらしいのですが、告示第219号を読んでも何を確認すればいいのか分かりません。

告示第219号は、特定主要構造部の確認方法と防火区画の準用を定めています。
順番に見ていきましょう。

確認方法と防火区画の準用、と言われてもまだピンときません。

大丈夫です。
条文の階層を一つずつたどれば難しくありません。

この記事の結論
  • 法第26条第2項第一号の「耐火構造と同等の性能」の中身は、令和6年国土交通省告示第219号が定めている
  • 特定主要構造部は施行令第108条の4第1項第一号(外壁以外はイのみ)の基準に、同号の耐火性能検証法に準じた方法で適合を確かめる
  • 告示第219号は施行令第112条の面積区画・竪穴区画など複数の項を、読み替えたうえで特定部分に準用させている
  • 読み替え後は、特定部分だけの床面積の合計が1,500平方メートルを超えれば内部でも区画が必要になる
  • 外壁開口部の防火設備(法第26条第2項本文)は、告示第219号とは別に必ず満たす必要がある

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法26条2項第一号から告示第219号一号の特定主要構造部の確認と二号の防火区画の準用へ進む流れを示す図解

なぜ特定部分の耐火性能は条文だけで完結しないのか

分厚い法令書の束とその上に浮かぶ一枚の告示用紙
法第26条第2項第一号は、特定部分の特定主要構造部について耐火構造そのものに加え、もう一つの道を用意しています。
その道の中身がどこに書かれているかを確認します。
建築基準法第26条第2項第一号 当該特定部分の特定主要構造部が耐火構造であるもの又は第二条第九号の二イ(2)に規定する性能と同等の性能を有するものとして国土交通大臣が定める基準に適合するもの
「国土交通大臣が定める基準」の中身は条文そのものには書かれておらず、告示に委ねられています。
この委任を受けて定められたのが、令和6年国土交通省告示第219号です。
告示第219号は令和6年3月25日に国土交通大臣が定め、令和6年4月1日から施行されています。
告示は「一号」と「二号」の2つの項目からなり、一号が特定主要構造部の確認方法、二号が防火区画の準用を定めるという役割分担です。
まず、どんな特定部分がこの告示の対象になるのかを確認します。

条文の中に「国土交通大臣が定める基準」とあったら、その先に告示があると考えればいいんですね。

そのとおりです。
告示の公布日と施行日もあわせて確認しておくと安心です。

告示第219号はどんな特定部分を対象にしているのか

厚い防火壁で仕切られシャッター付きの開口部を持つ建物の区画
告示第219号が対象にしているのは、法第26条第2項第一号のルートを選ぶ特定部分です。
まず、特定部分そのものに共通する前提条件を確認します。
建築基準法第26条第2項(本文より) 防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて他の部分と有効に区画されている部分(特定部分)を有する建築物であつて、…当該特定部分の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に第二条第九号の二ロに規定する防火設備を有するもの
特定部分は、防火壁又は防火床での有効な区画と、外壁開口部の防火設備の両方を満たしたうえで、第一号か第二号のいずれかに該当する必要があります。
告示第219号は、このうち第一号(耐火構造相当)を選んだ特定部分だけを対象にしています。
第二号(準耐火構造相当)を選んだ特定部分には、別の告示である令和6年国土交通省告示第220号が適用されます。
どちらを選ぶかによって、確認しなければならない告示そのものが変わる点に注意が必要です。
次の章で、告示第219号が定める確認方法の中身を見ていきます。

同じ第26条第2項でも、選ぶ号によって見るべき告示が違うんですね。

はい。
まず自分の特定部分がどちらの号に当たるかを設計図書で確認します。

特定主要構造部は具体的にどうやって確認するのか

断面を見せる壁パネルと炎の記号と丸い温度計
告示第219号の一号は、特定主要構造部が満たすべき基準とその確認方法を定めています。
条文を確認します。
告示第219号一号 当該特定部分の特定主要構造部が建築基準法施行令第百八条の四第一項第一号イ及びロ(外壁以外の特定主要構造部にあつては、イ)に掲げる基準に適合するものであることについて同号の耐火性能検証法に準じた方法により確かめられたものであること
この基準は、建物全体を耐火建築物にするときの性能規定ルートと同じ基準を、特定部分にもそのまま当てはめたものです。
施行令第108条の4第1項第一号は、法第2条第九号の2イ(2)=耐火建築物の性能規定ルートそのものが満たすべき基準で、イは屋内外の火熱に対する構造耐力・遮熱等の要件、ロは外壁の延焼防止に関する要件です。
外壁以外の特定主要構造部についてはロを除きイだけを満たせば足り、外壁固有の要件であるロは外壁にのみ課されます。
確認の方法は建物全体の場合の耐火性能検証法そのものではなく、それに準じた方法とされている点も見落とせません。
つまり特定部分は、建物の中にあるもう一つの耐火建築物として性能を確かめられることになります。

特定部分だけ別の基準があるのかと思っていましたが、実は建物全体と同じ基準なんですね。

はい。
確認は耐火性能検証法に準じた方法で行います。

防火区画の規定は特定部分にどこまで及ぶのか

内部が二つの部屋に仕切られた建物とシャッター付きの縦穴部分
告示第219号の二号は、特定主要構造部の性能とは別に、防火区画の規定を特定部分に及ぼしています。
条文を確認します。
告示第219号二号 令第百十二条第1項、第11項、第14項、第16項、第17項及び第19項から第21項までの規定は、当該特定部分について準用する。この場合において、同条第1項中「法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積」とあるのは「特定部分で、床面積の合計」と、同条第11項中「主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物」とあるのは「特定部分」と読み替えるものとする。
二号は、施行令第112条が定める面積区画や竪穴区画などの規定を、建物全体ではなく特定部分そのものに向けて読み替えたうえで準用させています。
準用される項は、面積区画を定める第1項、竪穴区画を定める第11項、竪穴部分どうしの区画を定める第14項、区画に使う防火設備等の構造を定める第16項・第17項・第19項から第21項までです。
読み替えの結果、第1項は建物全体の延べ面積ではなく特定部分だけの床面積の合計で判定するようになり、これが1,500平方メートルを超えれば特定部分の内部でも1,500平方メートルごとの区画が必要になります。
同じく第11項も、特定部分が地階又は3階以上の階に居室を持てば、その竪たて穴部分を他の部分と区画しなければならない規定に読み替えられます。
特定主要構造部の性能さえ満たせば済むわけではなく、区画の要否は改めて自分の特定部分の規模で判定し直す必要があります。

特定主要構造部さえ性能を満たせば、それで確認は終わりだと思っていました。

実はそこで終わりません。
施行令第112条の防火区画も別途及びます。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストの付いたクリップボードとコンパスと三角定規
自分の特定部分が告示第219号のどこまでの規定を受けるかを確かめるには、次の手順が役立ちます。
告示第219号(件名) 建築基準法第二条第九号の二イ(2)に規定する性能と同等の性能を有する特定部分の基準を定める件
まず自分の特定部分が第一号ルートを選んでいるかどうかから確認するところから始めます。
  • 特定部分が法第26条第2項第一号(耐火構造相当)を選んでいるかを設計図書で確認する
  • 特定主要構造部が施行令第108条の4第1項第一号イ及びロ(外壁以外はイ)の基準に適合しているかを確認する
  • その適合が耐火性能検証法に準じた方法で確かめられているかを確認する
  • 特定部分だけの床面積の合計が1,500平方メートルを超えていないかを確認する
  • 特定部分が地階又は3階以上の階に居室を持つ場合、竪たて穴部分が区画されているかを確認する
この五つを押さえておけば、告示だけを読んで終わらせず、施行令第112条の区画まで含めて確認できます。

告示の中身だけでなく、施行令第112条まで戻って確認する必要があるんですね。

はい。
最後に確認の手順をよくある質問でも整理します。

よくある質問

Q告示第219号と告示第220号はどちらか好きな方を選べるのですか?
A条文上は法第26条第2項第一号か第二号のどちらを満たしてもかまいません。第一号(告示219号)は耐火性能検証法に準じた確認が必要になる分、確認の手間は増えますが、既に耐火構造相当の性能を持つ部分であれば選びやすい道です。
Q耐火性能検証法に準じた方法とはどのくらい違う確認方法なのですか?
A確認する性能の内容そのものは建物全体の耐火性能検証法と変わりません。特定部分は建物の一部分であるため、検証の対象範囲や前提条件を特定部分に合わせて確かめる点が異なります。具体的な計算方法は建築士などの設計者が行います。
Q床面積の合計が1,500平方メートル以内なら区画は一切不要ですか?
A第1項の面積区画は不要になりますが、第11項の竪穴区画は面積とは別の条件(地階又は3階以上の階に居室があるか)で判定されるため、面積が小さくても竪穴区画が必要になる場合があります。両方を別々に確認してください。
Q告示第219号はいつから施行されているのですか?
A令和6年4月1日から施行されています。令和6年3月25日付けで国土交通大臣が定め、脱炭素社会関連の改正法の施行にあわせて運用が始まりました。

まとめ

✔法第26条第2項第一号の「耐火構造と同等の性能」の中身は、令和6年国土交通省告示第219号が定めている
✔告示は一号(確認方法)と二号(防火区画の準用)の2つの役割に分かれる
✔一号は施行令第108条の4第1項第一号(外壁以外はイのみ)の基準に、耐火性能検証法に準じた方法で適合を確かめる
✔二号は施行令第112条の第1項・第11項・第14項・第16項・第17項・第19項から第21項までを、読み替えて特定部分に準用する
✔読み替え後の第1項は、特定部分だけの床面積の合計が1,500平方メートルを超えれば内部でも区画が必要になる
✔読み替え後の第11項は、特定部分が地階又は3階以上の階に居室を持てば竪たて穴部分の区画が必要になる
✔特定主要構造部の性能を満たしただけで安心せず、面積区画・竪穴区画・外壁開口部の防火設備まであわせて確認するとよい

告示の中身と防火区画の準用まで、まとめてチェックできそうです!

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第26条(防火壁等)第2項第一号
  • 建築基準法第2条第九号の2(耐火建築物の定義)
  • 建築基準法施行令第108条の4(耐火建築物の特定主要構造部に関する技術的基準)
  • 建築基準法施行令第112条(防火区画)
  • 「建築基準法第二条第九号の二イ(2)に規定する性能と同等の性能を有する特定部分の基準を定める件」(令和6年国土交通省告示第219号)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または特定行政庁にご確認ください。

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