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火災通報装置の遠隔起動装置はなぜ電話機付と電話機なしに分かれるのか|2区分に分けて記入する理由を解説

火災通報装置の遠隔起動装置はなぜ電話機付と電話機なしに分かれるのか

火災通報装置は、防災センター等に設置する消防用設備等で、新たに設置する工事には消防法第17条の14に基づく着工届の提出が必要です。
着工届に添付する概要表には、遠隔起動装置を設けた場合の設置場所を記入する欄があり、そこには台数を「電話機付」と「電話機なし」に分けて書く決まりになっています。
この区分は見た目には分かりにくいものの、火災通報装置に求められる通話機能の基準と結びついています。
今回は遠隔起動装置がなぜ電話機付と電話機なしに分かれるのか、概要表の記載例もあわせて解説します。

遠隔起動装置にも、電話機が付いているものといないものがあるんですか。

はい、設置場所ごとに機能が違うんです。

概要表には、どう書き分けるんですか。

はい、台数と設置場所を分けて記入します。

この記事の結論
  • 火災通報装置に遠隔起動装置を設ける場合、着工届の概要表(別記様式6)に台数・設置場所を記入する
  • 概要表の記載要領では、遠隔起動装置の機能を電話機付・電話機なしの2区分に分けて記入するとされている
  • 記載例では電話機付1台が1階管理人室に設置され、電話機なしは0台という記入になっていた
  • 火災通報装置は、消防機関からの呼返し信号に応答し通話できることが基準で定められている
  • 検査では蓄積音声情報の確認と通報試験をあわせて行うことになっている

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火災通報装置の遠隔起動装置はなぜ電話機付と電話機なしに分かれるのか

火災通報装置に遠隔起動装置を設ける場合はどんな届出が必要になるのか

着工届の概要表用紙と鉛筆
火災通報装置を新たに設置する工事では、消防法第17条の14に基づく着工届の提出が義務付けられています。
届出には設備ごとの概要表を添付することになっており、火災通報装置にも専用の様式が用意されています。
問1 消防用設備等の着工届に添付する、自動火災報知設備若しくは消防機関へ通報する火災報知設備又はガス漏れ火災警報設備の概要表は、どの様式によるか。
答1 自動火災報知設備若しくは消防機関へ通報する火災報知設備又はガス漏れ火災警報設備の概要表 別記様式5、別記様式6又は別記様式7による。(消防用設備等の着工届に係る運用について〈平成5年消防予第285号・消防危第81号〉別記様式6)
火災通報装置の概要表は、別記様式6という決まった書式で作成します。
様式には品名・型式、設置場所、遠隔起動装置の設置場所、選択信号送出方式、自動火災報知設備との連動の有無、電源といった欄が並んでいます。
中でも遠隔起動装置の設置場所欄は、場所を書くだけでなく機能ごとに台数を書き分ける独特の作りになっています。
次の項目からは、この欄がなぜそのような作りになっているのかを見ていきます。

様式が決まっているなら、書き方に迷わずに済みますね。

はい、様式どおりに記入すれば漏れを防げます。

なぜ1つの防火対象物に本体と遠隔起動装置を分けて設置するのか

防災センターの本体パネルと離れた事務室のドア
火災通報装置の本体は、防災センター等の常時人がいる場所に設置することとされています。
その「常時人がいる場所」が1つの建物に複数あるとき、遠隔起動装置の出番になります。
問2 令第二十三条第二項の規定による火災報知設備のうち、火災通報装置はどこに設置しなければならないか。
答2 一の押しボタンの操作等により消防機関に通報することができる装置(電話回線を使用するものに限る。以下この条において「火災通報装置」という。) 防災センター等(消防法施行規則第25条第2項第1号)
本体は防災センター等に置き、離れた場所には別の起動手段を設けるという考え方です。
常時人がいる場所が複数ある防火対象物では、一つの場所に本体を設け、それ以外の場所には遠隔起動装置を設けることが望ましいとされています。
防災センターと管理人室が離れて置かれているような建物が典型例で、管理人室側にも起動できる手段を確保するという考え方です。
この遠隔起動装置こそが、概要表の別記様式6で台数と設置場所を書く欄の対象になります。

うちは受付と管理人室が離れているので、当てはまりそうです。

はい、それぞれの場所での対応を想定した仕組みです。

遠隔起動装置はなぜ電話機付と電話機なしの2区分に分かれるのか

送受話器付きの通報装置と送受話器のない押しボタン式の装置
概要表の記載要領を見ると、遠隔起動装置の設置場所欄には機能ごとに台数を分けて書くよう定められています。
この区分は、火災通報装置に求められる通話機能の基準と関係しています。
問3 火災通報装置(特定火災通報装置を除く。)の通話機能等は、どのように定められているか。
答3 一区切りの蓄積音声情報を送出した後、自動的に十秒間電話回線を開放し、その間に消防機関側の操作により電話局交換機から呼返し信号が送出された場合又は電気通信設備の有する機能により自動的に呼返し信号が送出された場合に、これを受信し可聴的に表示するとともに、当該呼返しに対し、応答し通話することができること。(火災通報装置の基準〈平成8年消防庁告示第1号〉第三 八(一))
消防機関からの呼返しに応答して通話できることが、火災通報装置に求められる基準です。
概要表(別記様式6)では、遠隔起動装置の設置場所欄が「電話機付」と「電話機なし」の2段に分かれており、それぞれの台数と設置場所を記入する作りになっています。
送受話器が付いている遠隔起動装置ならその場所からも消防機関との通話に応じられますが、送受話器のない電話機なしの装置は起動の操作だけを行うものです。
つまりこの2区分は、その設置場所で通話までできるかどうかという機能の違いを、概要表の書式のうえで見分けられるようにしたものです。

同じ遠隔起動装置でも、できることが違うんですね。

はい、通話ができるかどうかが分かれ目です。

記載例で電話機なしの欄が0台になっているときは何を意味するのか

小型の押しボタン式装置に取り付けられる白紙の銘板
実際の概要表の記載例では、電話機付が1台、電話機なしの欄は台数の記入欄そのものが斜線で消されていました。
この書き方の違いを読み違えると、現地の設備をうまく確認できません。
問4 火災通報装置の操作部分について、表示に関するどのような基準があるか。
答4 火災通報装置の操作部分にあっては、その名称及び操作内容を、当該部分又はその周辺部分に容易に消えないように表示すること。(火災通報装置の基準〈平成8年消防庁告示第1号〉第三 十八(二))
操作部分には名称と操作内容の表示が必要というのが、告示が定める基準です。
記載例の電話機なしの欄が斜線で消えていたのは、その建物に電話機なし型の遠隔起動装置が存在しないことを示す書き方で、記入漏れとは区別されます。
電話機なしの遠隔起動装置がある場合は、その場所では起動の操作だけができ消防機関との通話はできないという操作内容を、現地の表示でも分かるようにしておく必要があります。
概要表の欄を見るときは、空欄なのか斜線で消してあるのか、それとも台数が記入されているのかを区別して読むことが大切です。

斜線になっているのと、空欄のままなのとでは意味が違うんですね。

はい、設置なしと記入漏れを区別できます。

火災通報装置の検査では明日から何を確認すればよいか

検査用の工具バッグとチェックリスト、通報装置の送受話器
概要表に書かれた数字は、記入して終わりではありません。
消防用設備等の検査では、実際の設備と照らし合わせて確認されます。
問5 消防機関へ通報する火災報知設備の検査では、火災通報装置について特に何を確認する必要があるか。
答5 検査においては、当該設備の構造、性能等が消防法令等に規定する基準に適合していることを確認することが必要であるが、特に、火災通報装置については、蓄積音声情報の確認を確実に行うこと。また、併せて通報試験を行うこと。(消防機関へ通報する火災報知設備の取扱いについて〈平成8年消防予第22号〉記2(1)イ)
検査では蓄積音声情報の確認と通報試験の両方を行うことが求められています。
遠隔起動装置がある場合は、概要表に記入された電話機付・電話機なしの台数と設置場所が現地の設置状況と一致しているかもあわせて確認しておくとよいでしょう。
電話機付の遠隔起動装置については、起動だけでなく実際に応答して通話できるところまで試験で確かめておくと安心です。
概要表と現地設備の照合を事前に済ませておけば、検査当日にあわてずに済みます。

検査の前に、概要表と現地を見比べておいたほうがよさそうですね。

はい、事前の照合が当日の安心につながります。

よくある質問

Q遠隔起動装置は、すべての火災通報装置に設置しなければなりませんか?
Aいいえ。防災センター等の常時人がいる場所が1つしかない建物では本体だけで足ります。常時人がいる場所が複数ある場合に、遠隔起動装置の設置が望ましいとされています。
Q電話機なしの遠隔起動装置からは、消防機関と話せませんか?
Aはい。電話機なしの遠隔起動装置は起動の操作だけを行うもので、その場所から消防機関と通話することはできません。
Q概要表の電話機なしの欄が空欄なら、記入漏れですか?
A空欄と斜線は区別されます。斜線はその種類の装置が設置されていないことを示す書き方で、記入漏れとは異なります。
Q検査当日に慌てないためには、何を確認しておけばよいですか?
A概要表に記入された電話機付・電話機なしの台数と設置場所を、現地の設置状況と事前に照合しておくことをおすすめします。

まとめ

✔火災通報装置に遠隔起動装置を設ける工事は、着工届に概要表(別記様式6)を添付する
✔概要表では遠隔起動装置の設置場所欄を電話機付・電話機なしの2段に分けて記入する
✔火災通報装置の本体は防災センター等に、遠隔起動装置は常時人がいる場所が複数あるときに設ける
✔記載例では電話機付1台が1階管理人室に設置され、電話機なしは斜線で0台を示していた
✔電話機付の遠隔起動装置は呼返しに応答して通話できるが、電話機なしは起動の操作だけを行う
✔火災通報装置の操作部分には名称と操作内容の表示が必要とされている
✔検査では蓄積音声情報の確認と通報試験に加え、概要表と現地設備の照合もしておくとよい

電話機付と電話機なしの違いがよく分かりました。

概要表の作成・確認までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第17条の14(消防用設備等の着工届出)
  • 消防法施行規則第25条第2項第1号・第3項第5号(火災通報装置の設置場所及び技術上の基準)
  • 火災通報装置の基準(平成8年消防庁告示第1号)第二第二号・第三第八号・第三第十八号
  • 消防機関へ通報する火災報知設備の取扱いについて(平成8年2月16日消防予第22号)記1(1)・記2(1)イ
  • 消防用設備等の着工届に係る運用について(平成5年10月26日消防予第285号・消防危第81号)記2(2)ウ

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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