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消防設備士の共同違反行為はなぜ点数を人数で分けないのか|そそのかした側も同じ点数を科される理由を解説

共同違反行為は点数を人数で分けないのかのアイキャッチ

消防設備士免状には、消防法令に違反するたびに点数が加算され、一定の点数に達すると返納命令が下るという仕組みがあります。
この点数は、ひとりで起こした違反だけでなく、複数の消防設備士が一緒に違反したときにも科されます。
気になるのは、複数人が関わった違反行為のとき、点数は人数で分け合うのか、それとも全員に同じ点数がかかるのかという点です。
今回は共同違反行為の点数計上の仕組みと、他の消防設備士をそそのかした側も同じ扱いになる理由もあわせて解説します。

違反点数って、ひとりで違反したときの話ですよね。

いえ、複数人が関わったときの数え方も決まっているんです。

2人で違反したら、点数も半分ずつになるんですか。

いいえ、分け合いません。
仕組みを見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防設備士の違反点数は基礎点数+事故加点で算出され、過去3年以内の合計(措置点数)が20点で返納命令の対象になる
  • 2以上の消防設備士による共同違反行為は、関わった全員に違反点数が満額で計上される(人数で割らない)
  • 他の消防設備士をそそのかして違反行為を行わせた者も、共同違反行為を行った者として同じ扱いを受ける
  • 2種類以上の免状を持つ場合、違反点数はすべての免状の種類等ごとに計上される
  • 正当防衛・無過失など4つの事由に該当する場合は違反点数を計上しない

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違反点数はなぜ人数で分けないのかを示す図解

消防設備士免状の点数はどうやって返納命令のラインに積み上がるのか

階段状に積み上がる点数メーターと書類のイラスト

消防設備士が消防法令に違反すると、その違反行為ごとに点数が算出されます。
免状の返納命令に直結する数字なので、まずはその積み上がり方を押さえておきます。

消防設備士免状の返納命令に関する運用基準(平成12年3月24日消防予第67号)第3 1 違反点数は、別表第1において定める基礎点数に、別表第2において定める事故加点を加えることにより算出する。

違反点数は基礎点数+事故加点で決まります。
基礎点数は違反行為の種類ごとに、事故加点は違反と因果関係のある人身事故・災害事故の程度に応じて加算されます。

同基準第4 免状交付知事は、当該違反行為のなされた日を起算日とする過去3年以内におけるその他の違反行為に係る違反点数を合計した点数(措置点数)を免状の種類等ごとに算出し、措置点数が20点に達した免状の種類等がある場合において、当該免状の種類等に係る免状返納命令を行うものとする。

つまり一回の違反ですぐに免状が無くなるわけではなく、過去3年分の点数を合計した「措置点数」が20点に達したときに返納命令の対象になる、という積み上げ式の仕組みです。

一発アウトではなく、3年分を積み上げていくんですね。

はい、過去3年分の合計で判断されます。

技術基準違反と点検基準違反はなぜ点数が二段階に分かれているのか

開いた報告書から伸びる矢印の先に大小の天秤があるイラスト

基礎点数は違反行為の種類ごとに決まっていますが、同じ種別の違反でも点数が変わる場合があります。
代表例が技術基準違反の工事・整備実施と、点検基準違反の点検実施です。

別表第1(基礎点数) 技術基準違反の工事、整備の実施:消防用設備等の機能、効用が著しく損なわれている場合は8点、それ以外の場合は3点。点検基準違反の点検実施:消防用設備等の機能、効用が著しく損なわれている場合は6点、それ以外の場合は2点。

同じ「工事・整備」「点検」の違反でも、消防用設備等の機能・効用が著しく損なわれているかどうかで点数が2倍以上変わります。

同表 事実と異なる点検結果の記載:消防用設備等の機能、効用が著しく損なわれているにもかかわらずそうでない旨の記載をした場合は6点、それ以外の場合は2点とする。

点検結果報告書に事実と異なる記載をすること自体が独立した違反行為として点数化されている点は、試験結果報告書を作成・提出する消防設備士にとって見落としやすいところです。

点検結果をごまかす記載も、それ単体で違反になるんですね。

はい、報告書の記載内容そのものが問われます。

2以上の消防設備士が一緒に違反したとき点数はどう数えるのか

同じ印の付いた2枚の免状カードが並ぶイラスト

ここからが本題です。
ひとりで起こした違反であれば基礎点数と事故加点を合計するだけですが、2人以上の消防設備士が一緒に違反した場合はどう数えるのでしょうか。

消防設備士免状の返納命令に関する運用基準 第3 5 2以上の消防設備士による共同違反行為については、当該共同違反行為を行ったすべての消防設備士について当該違反行為に係る違反点数を計上する。

共同で違反した場合、点数は人数で割られず、関わった全員にそれぞれ満額の違反点数が計上されます。
2人で違反したからといって、1人あたりの点数が半分になるわけではありません。全員がそれぞれ、ひとりで違反したのと同じ点数を科されます。

人数が増えるほど、割り引かれるどころか厳しくなるんですね。

はい、全員に満額というのがポイントです。

自分は手を下さず人にやらせただけでも共同違反行為になるのはなぜか

矢印でつながる2枚の免状カードにそれぞれ同じ印が付くイラスト

さらに運用基準は、直接手を下さなかった人についても踏み込んだ扱いを定めています。

同基準第3 5(なお書き) 他の消防設備士を教唆して違反行為を行わせた者についても、共同違反行為を行った者として取り扱うものとする。

自分では工事や点検を行わず、他の消防設備士に違反行為をそそのかしただけの立場であっても、実行者と同じ「共同違反行為を行った者」として扱われ、同じ違反点数が計上されます。
下請けや後輩の消防設備士に無理な指示を出す側にも、実行者と同じ点数がそのままかかる仕組みになっている、ということです。

指示しただけの立場でも、逃げ道にはならないんですね。

はい、そそのかした側も同じ扱いです。

免状の種類ごとの計上と、点数を計上しない4つの除外事由は何か

重なり合う複数の免状カードと盾のマークのイラスト

最後に、実務でつまずきやすい周辺ルールを押さえておきます。ひとつは複数の免状を持っている場合の扱いです。

同基準第3 2 2以上の種類又は指定区分の免状を有する者が一の違反行為を行った場合は、当該違反点数を、すべての免状の種類等ごとに計上する。ただし、消防設備士講習受講義務違反については、当該違反行為に係る免状の種類等に限り計上する。

甲種第一類と乙種第四類など複数の区分の免状を持っている場合、原則として違反点数はすべての免状の種類ごとに計上されます。
ただし講習を受け忘れた場合(消防設備士講習受講義務違反)だけは、その講習に関係する免状の種類にのみ点数が計上されるという例外があります。

同基準第3 6 違反行為の内容が次の各号の一に該当する場合には、違反点数を計上しないものとする。(1)正当防衛、緊急避難その他の違法性阻却事由がある場合 (2)行為につき無過失である場合 (3)違反行為が継続する性質のものであって、既に措置等を行ったにもかかわらずなお違反状態が継続している場合で、是正に要する相当期間が経過していない場合 (4)違反者が違反を行ったことにつき、真にやむをえないと認める事情があるため措置等を行うことが著しく不当と認められる場合

この4つに該当すれば、そもそも違反点数は計上されません。

共同違反行為も、教唆も、免状ごとの計上も理由がよく分かりました。

はい、誰が指示したかまで見られている点が要注意です。

よくある質問

Q2以上の消防設備士が一緒に違反した場合、点数は人数で分け合うのですか?
Aいいえ。2以上の消防設備士による共同違反行為は、関わった全員にそれぞれ満額の違反点数が計上されます。人数で按分されることはありません。
Q自分では作業をせず、他の消防設備士に違反行為をさせただけでも点数はかかりますか?
Aかかります。他の消防設備士を教唆して違反行為を行わせた者も、共同違反行為を行った者として同じ扱いを受けます。
Q2種類以上の免状を持っている場合、違反点数はどう計上されますか?
A原則としてすべての免状の種類等ごとに計上されます。ただし消防設備士講習受講義務違反だけは、その違反行為に係る免状の種類等に限り計上されます。
Q違反点数が計上されないケースはありますか?
Aあります。正当防衛・緊急避難などの違法性阻却事由がある場合や無過失の場合など、4つの事由に該当するときは違反点数を計上しないとされています。

まとめ

✔違反点数は基礎点数+事故加点で算出される
✔過去3年以内の点数を合計した措置点数が20点で返納命令の対象になる
✔技術基準違反・点検基準違反は機能効用が著しく損なわれているかで点数が変わる
✔2以上の消防設備士による共同違反行為は全員に満額の違反点数が計上される
✔他の消防設備士を教唆して違反行為を行わせた者も共同違反行為を行った者として扱われる
✔2種類以上の免状を持つ場合はすべての免状の種類等ごとに違反点数が計上される
✔正当防衛・無過失など4つの事由に該当する場合は違反点数を計上しない

共同違反行為の扱いがよく分かりました。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の7第2項、第13条の2第5項・第6項(免状の返納命令)
  • 消防法第17条の12(誠実業務実施義務)、第17条の10(講習)、第17条の13(携帯義務)、第17条の14(着工届出義務)、第17条の5(無資格工事の禁止)
  • 消防設備士免状の返納命令に関する運用について(平成12年3月24日消防予第67号)、同通知に定める「消防設備士免状の返納命令に関する運用基準」第3・第4・第6、別表第1・別表第2

※本記事は公表されている法令および消防庁通知に基づく一般的な解説です。個々の違反の該当性や点数の算定は所轄の都道府県が個別に判断します。実際の事案については免状を交付した都道府県知事にご確認ください。

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