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劇場を映画館に変える程度ならなぜ確認申請は不要なのか|建築基準法施行令第137条の18が定める類似の用途の範囲を解説

劇場を映画館に変えるだけなら確認申請は不要かを示す解説画像

建築基準法第87条第1項は、建物の用途を変更して床面積200平方メートルを超える特殊建築物にする場合、新築と同じように建築確認を受けることを求めています。
劇場を映画館に、ホテルを旅館に変えるだけでも、この規定どおりなら確認申請が要ることになります。
けれども実際には、こうした軽微な用途変更のたびに確認を取り直しているわけではありません。
建築基準法施行令第137条の18が定める「類似の用途」に当たれば、確認申請そのものを省略できるからです。

うちのテナントが劇場から映画館に変わることになったんですが、また確認申請が必要になりますか。
用途が変わるたびに手続きが要るなら大変です。

劇場から映画館なら、確認申請は原則不要です。
建築基準法施行令第137条の18が「類似の用途」として認めているからです。

類似の用途があるんですね、少し安心しました。
他にはどんな組み合わせが認められているんでしょうか。

十一種類の用途が号ごとにグループ分けされています。
この記事で、対象と例外を順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 特殊建築物への用途変更でも、類似の用途間の変更なら建築確認は原則不要です(建築基準法第87条第1項)。
  • 類似の用途は、建築基準法施行令第137条の18が11の号でグループごとに指定しています。
  • 劇場と映画館、ホテルと旅館のように、同じ号の中の用途間なら確認は省略できます。
  • ただし一部の号は、用途地域によってこの省略が適用されない例外があります。
  • 確認が不要でも、消防法令上の義務まで免除されるわけではありません。

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類似の用途への変更なら確認申請を省略できる流れを示す図解

なぜ用途変更のたびに確認申請が必要になるのか

建物の看板が掛け替えられている横に、大きな確認済証のような書類が置かれているイラスト
建築基準法は、建物を新築するときだけでなく、既存の建物の用途を変えるときにも一定の手続きを求めています。
その根拠になっているのが、法第87条の「用途の変更に対するこの法律の準用」という規定です。
建築基準法第八十七条第一項 建築物の用途を変更して第六条第一項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、同条(略)の規定を準用する。
用途変更が確認申請の対象になるのは、変更後に「特殊建築物」となる場合です。
法第6条第1項第1号の特殊建築物とは、別表第一(い)欄に掲げる劇場やホテルなどの用途に使われる部分の床面積が、合計で200平方メートルを超える建築物のことです。
たとえば事務所として使っていた建物を200平方メートルを超える飲食店にすると、この号に当てはまり、原則として法第87条第1項により新築と同じ確認手続きが準用されます。
けれども条文には「政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く」という除外があり、これが今回の主題です。

200平方メートルを超えるかどうかが境目になるんですね。
その除外にあたる「類似の用途」というのは、どうやって決まっているんですか。

政令、つまり建築基準法施行令が具体的な組み合わせを定めています。
次の章で、どんな用途変更が対象になるかを見てみましょう。

どんな用途変更なら確認申請を省略できるのか

形の似た2つの建物が点線で囲まれ、間に両矢印が引かれているイラスト
法第87条第1項が除外している「政令で指定する類似の用途」を具体的に定めているのが、施行令第137条の18です。
用途を変更する前後の組み合わせが、この条文の同じ号に含まれていれば対象になります。
建築基準法施行令第百三十七条の十八(建築物の用途を変更して特殊建築物とする場合に建築主事の確認等を要しない類似の用途) 法第八十七条第一項の規定により政令で指定する類似の用途は、当該建築物が次の各号のいずれかに掲げる用途である場合において、それぞれ当該各号に掲げる他の用途とする。
対象になるのは、変更前と変更後の用途が同じ号にまとめられている場合だけです。
条文は十一の号に分けて用途をグループ化しており、同じ号の中での変更であれば「類似の用途相互間」に当たり、法第87条第1項が準用する確認等の規定は適用されません。
逆に、号をまたいだ用途変更、たとえば劇場から百貨店への変更は、このグループ分けに含まれないため対象外になります。
どの用途がどの号に含まれているかは、次の章で確認します。

同じ号に入っている用途どうしなら省略できるんですね。
具体的にどんな用途がまとめられているのか知りたいです。

身近な用途を中心に、十一の号を順番に紹介します。
次の章をご覧ください。

どの用途とどの用途が類似の用途とされているのか

屋根の形が同じ小さな建物のペアが3組、点線でつながれて並んでいるイラスト
施行令第137条の18は、身近な用途をいくつかのグループに分けています。
代表的なものを号の順に挙げると、次のとおりです。
建築基準法施行令第百三十七条の十八(抜粋)
一 劇場、映画館、演芸場
二 公会堂、集会場
四 ホテル、旅館
六 博物館、美術館、図書館
八 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
十 待合、料理店
グループの中身は、用途の性質が近いものどうしでまとめられています。
たとえば一号は劇場・映画館・演芸場、四号はホテル・旅館、六号は博物館・美術館・図書館というように、利用形態が似た用途どうしが同じ号に入っています。
このほか、公会堂と集会場(二号)、診療所と児童福祉施設等(三号)、下宿と寄宿舎(五号)、体育館やスケート場など運動施設どうし(七号)、百貨店とマーケット(八号)、キャバレーやバーなど接客業どうし(九号)、待合と料理店(十号)、映画スタジオとテレビスタジオ(十一号)が、それぞれ一つの号にまとめられています。
号の組み合わせを覚えておくと、テナント入れ替えの相談を受けたときにすぐ見当がつきます。

グループがいろいろあるんですね。
この中に入っていれば、どんな建物でも必ず確認申請が要らなくなるんでしょうか。

実は例外があります。
次の章で、確認が不要にならないケースを説明します。

類似の用途でも確認が不要にならないのはどんなときか

建物が赤い点線で示された地域の境界の上に建っており、赤い禁止マークが表示されているイラスト
同じ号に入っている用途間の変更でも、建物が建っている場所によっては、この省略が使えないことがあります。
条文のただし書きが、その例外を定めています。
建築基準法施行令第百三十七条の十八(ただし書き) ただし、第三号若しくは第六号に掲げる用途に供する建築物が第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内にある場合、第七号に掲げる用途に供する建築物が第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域若しくは工業専用地域内にある場合又は第九号に掲げる用途に供する建築物が準住居地域若しくは近隣商業地域内にある場合については、この限りでない。
用途地域によっては、同じ号の中の用途変更でも例外的に確認申請が必要になります。
診療所や児童福祉施設等(三号)、博物館・美術館・図書館(六号)に関わる建物が第一種・第二種低層住居専用地域や田園住居地域にある場合、体育館などの運動施設(七号)に関わる建物が第一種・第二種中高層住居専用地域や工業専用地域にある場合、キャバレーやバーなど(九号)に関わる建物が準住居地域や近隣商業地域にある場合は、それぞれこのただし書きにより省略の対象外になります。
さらに見落としやすいのは、確認申請が省略できても消防法令上の義務まで免除されるわけではない点です。
用途を変えれば消防用設備等に求められる基準や防火管理者の選任要件が変わることがあり、建築側の手続きとは別に確認が必要です。

用途地域によっては例外があるんですね。
建築の確認が省略できても、消防のほうは別に見ないといけないんですか。

はい、消防法令の基準は建築側の手続きの有無とは別に確認が必要です。
最後に実務での確認手順をまとめます。

用途変更を計画するときは何を確認すればよいか

チェックリストと虫眼鏡、簡単な平面図のイラスト
テナントの入れ替えなどで用途変更を計画する際は、次の点を順番に確認してください。
判断に迷う部分があれば、早めに特定行政庁や専門家へ相談するのが安全です。
  • 変更後の用途に使う部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるかを確認する
  • 変更前と変更後の用途が施行令第137条の18の同じ号に含まれているかを確認する
  • 建物が第三号・第六号・第七号・第九号に関わる用途地域の例外に当てはまらないかを確認する
  • 大規模の修繕や大規模の模様替を伴わないかをあわせて確認する
  • 消防用設備等の基準や防火管理者の選任要件が変わらないかを、建築側とは別に確認する
計画の早い段階で確認しておくことが大切です。
テナント契約を進めてから対象外と分かると、開業のスケジュールに影響します。

用途と号の対応を確認しながら計画すれば、無駄な手続きを避けられそうです。
次はよくある質問も見てみます。

はい、あわせてご確認ください。
次によくある質問をまとめました。

よくある質問

Q劇場を映画館に用途変更する場合、建築確認は必要ですか?
A原則不要です。劇場と映画館は建築基準法施行令第137条の18第一号で同じグループの類似の用途とされているため、建築確認は省略できます。
Qどんな用途変更でもこの省略は使えますか?
Aいいえ。変更前後の用途が施行令第137条の18の同じ号に含まれている場合に限られ、号をまたぐ用途変更には使えません。
Q類似の用途に当たれば、どんな場所でも確認が不要になりますか?
Aいいえ。第三号・第六号・第七号・第九号の用途は、一定の用途地域内にある場合、ただし書きによりこの省略の対象外になります。
Q建築確認が不要なら、消防法令上の手続きも不要になりますか?
Aいいえ。建築確認の要否とは別に、消防用設備等の基準や防火管理者の選任要件は用途に応じて確認する必要があります。

まとめ

✔特殊建築物への用途変更でも、類似の用途間であれば建築確認は原則不要です。
✔根拠は建築基準法第87条第1項と施行令第137条の18です。
✔対象になるのは、変更後の用途の床面積が200平方メートルを超える特殊建築物になる場合です。
✔類似の用途は十一の号でグループ分けされ、劇場と映画館、ホテルと旅館などが含まれます。
✔対象になるのは、変更前後の用途が同じ号に含まれている場合だけです。
✔第三号・第六号・第七号・第九号は、一定の用途地域内ではこの省略の対象外です。
✔建築確認が不要でも、消防法令上の基準は用途変更にあわせて別途確認が必要です。

テナントの用途変更を検討するときは、今日の内容を確認しながら進めます!

用途変更をお考えの際は、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第6条・第87条
  • 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第137条の18

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門家にご確認ください。

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