防火対象物に設置した自動火災報知設備の受信機や、非常放送設備、自家発電設備は、何年も同じものを使い続けることがあります。
実はその製品に、メーカーが公表したリコールや不具合の情報が出ていることがあります。
この情報を消防庁が一元的に集約して公表する仕組みは、平成22年3月31日の消防予第156号・消防危第50号で整えられました。
建物側から自分で確認しないと、古い受信機が不具合の対象になっていることに何年も気づかないままになることがあります。
点検のときに業者さんから何も言われなければ、設備は大丈夫ということですよね。
実はそうとも限りません。
製品のリコールは点検とは別の経路で公表されているんです。
リコールと聞くと、家電みたいな話だと思っていました。
消防用設備でも同じ仕組みがあります。
順番に見ていきましょう。
- 消防用設備等・消防関係製品の不具合情報は、平成22年3月31日消防予第156号・消防危第50号により消防庁が集約して公表する仕組みが整えられています。
- 製造業者がリコール等を始めた場合は、平成22年消防予第246号に基づき消防庁へ報告することとされています。
- リコール等には製品欠陥による回収だけでなく、社告や注意喚起も含まれる幅広い定義です。
- 消防庁のホームページでは不具合・事故等、悪質な訪問販売等、リコール等情報の3つに分けて公表されています。
- 情報は随時公表されるだけなので、建物側から自分で確認する必要があります。
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目次
なぜ消防用設備の不具合情報を消防庁が集めるようになったのか

消費者の安全を守る意識が高まる中で、この情報を全国でまとめて集める仕組みが整えられました。
根拠は消防組織法第37条が定める消防庁長官の助言で、法律そのものではなく行政指導という形で全国の消防機関に示されています。
対象は消防用設備等だけでなく、感知器や消火器のような消防関係製品全般に広がっています。
この仕組みがあるおかげで、ある建物で見つかった不具合が、全国の同じ製品を使う建物にも共有されるようになりました。
次は、実際にどんな情報が対象になり、誰が報告するのかを見ていきます。
報告するのは、不具合を見つけた建物の管理者なんですか。
主に報告するのはメーカー側です。
次は対象になる情報を見ていきましょう。
どんな情報が対象になりだれが消防庁へ報告するのか

どこまでが対象になるのか、依頼文で確かめます。
報告の窓口は全国消防機器協会を通じて、メーカーである製造事業者・輸入事業者・販売事業者が担います。
対象になるのは製品の欠陥に伴う回収だけでなく、使用上の注意を呼びかける社告やホームページでの告知まで幅広く含まれます。
つまり回収という言葉が使われていなくても、リコール等の情報として報告・公表される場合があるということです。
次は、これらの情報が実際にどこでどう公表されているのかを見ていきます。
社告やホームページでの呼びかけも、リコールに含まれるんですね。
幅広く含まれます。
次は公表される場所を見てみましょう。
消防庁のホームページでは実際に何が公表されているのか

実際にどんな形で載っているのか見てみましょう。
リコール等情報の一覧表には、製造業者名・対象品・製造時期・不具合概要が年度ごとにまとめられています。
令和7年10月1日には、複数メーカーのP型1級受信機やG型受信機で、プリント基板の腐食により電源を入れ直しても監視状態に戻らない不具合が公表されました。
同じ日には非常放送設備の増幅器や、非常用発電機として使う防災用ディーゼル発電装置の不具合も載っています。
自分の建物にある受信機や発電機のメーカー名・型式が分かれば、この一覧と照らし合わせることができます。
受信機だけでなく、発電機まで対象なんですね。
消防用設備全般が対象になっています。
次は見落としやすい点を見ていきましょう。
リコール情報の公表はなぜ見落とされやすいのか

公表のされ方を確かめておきましょう。
点検のたびに業者から報告があるとは限らず、設備を更新するまで何年も気づかれないことがあります。
令和7年10月に公表された受信機の例でも、製造から10年近く経ってから不具合が判明しています。
自分の建物が同じメーカー・型式を使っていないか、設置届や点検票を確認しないと分からないままになります。
次は、建物側が明日から確認しておきたいことをまとめます。
うちの受信機、いつ設置したものか正直あいまいです。
設置届や点検票に記載があります。
次は確認の手順を整理しましょう。
建物側は明日から何を確認すればよいのか

落ち着いて設備の記録から確かめましょう。
設置届や過去の点検票に記載があるので、探せば確認できます。
そのうえで、消防庁のホームページに公表されているリコール等情報の一覧と照らし合わせます。
該当していた場合は、設置業者やメーカーに連絡し、点検や交換の対応を依頼してください。
制度そのものはメーカーへの報告を求めるものですが、確認するかどうかは建物側の役目として残っています。
次の点検のときに、型式の記録を業者さんに渡しておきます。
それが一番確実な方法です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
型式を控えておく、それだけでいいんですね。
スッキリしました。
まずはそこからです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等及び消防関係製品に関する不具合・事故等に係る情報の消防庁への報告について(平成22年3月31日 消防予第156号・消防危第50号)
- 消防用設備等及び消防関係製品に関する不具合・事故に係る情報の消防庁への報告について(補足)(平成22年 消防庁予防課)
- 消防用設備等及び消防関係製品に関するリコール等の報告等について(依頼)(平成22年 消防予第246号)
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
- 総務省消防庁「消防関係製品に関する消費者事故等」(令和7年版リコール等情報)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





