大規模な火災が起きたとき、消火活動はすべて消防が担うものだと考えている方が多いかもしれません。
実は総務省消防庁は、周辺住民や自主防災組織にも初期消火や避難誘導の役割を求める通知を出しています。
きっかけは平成28年12月22日に発生した糸魚川市大規模火災で、強風の中で延焼が広がり消防力だけでは対応しきれない事態になりました。
木造の建築物が多い地域では、住民自身がスタンドパイプで初期消火にあたる場面が想定されています。
消火は消防にお任せすればいいと思っていました。
実は大規模火災では住民の初動が延焼を左右するんです。
スタンドパイプなんて、聞いたことはあっても使い方が分かりません。
操作の習得も通知の対象に含まれています。
順番に見ていきましょう。
- 「大規模火災時における的確な住民行動等の確保について」(平成29年8月2日消防災第113号)は、糸魚川市大規模火災を踏まえて発出されました。
- 対象は木造の建築物が多い地域などの大規模な火災につながる危険性の高い地域の住民や自主防災組織です。
- 通知は初期消火として消火器だけでなくスタンドパイプや可搬式小型動力ポンプの使用も想定しています。
- 要配慮者への避難誘導まで含めた実践的な訓練を、平時から行っておくよう求めています。
- 通知が使う避難情報の呼び方は、令和3年5月の法改正で「避難指示」や「高齢者等避難」に変わっています。
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目次
なぜ住民の初期消火が通知で定められたのか

まずは通知が出されたきっかけを確認します。
その教訓から、消防機関だけでなく住民自身の初動対応を明文化する必要があるとされました。
根拠は地方自治法第245条の4第1項が定める技術的助言で、法律そのものではなく行政指導の形をとっています。
つまり義務ではなく、市町村や住民が取り組むことが望ましい行動として示されたものです。
次は、この通知が具体的にどの地域を対象にしているかを見ていきます。
糸魚川市の火災は、強風が原因だったんですか。
強風で飛び火が広がったことが大きな要因です。
次は対象になる地域を見ていきましょう。
どの地域のどんな住民が対象になるのか

どんな条件の地域が想定されているのか確認します。
該当する地域は消防本部が確認・指定することとされており、住民が自己判断で決めるものではありません。
指定が済んでいない地域でも、該当すると考えられる地域は広くとらえて周知することが求められています。
そのうえで、地域の住民や自主防災組織が周知の対象になります。
次は、通知が具体的に何を求めているのかを見ていきます。
自分の住む地域が対象かどうか、どこで分かりますか。
お住まいの消防本部に確認できます。
次は求められている行動の中身を見ましょう。
通知は住民に何を求めているのか

その中でも住民の初動にあたる部分を見ていきます。
スタンドパイプは地下式の消火栓に接続して使う放水器具で、自主防災組織が操作する場面が想定されています。
背景には、大規模な地震では消防機関がすぐに駆け付けられないことがあるという想定があります。
このほか延焼防止や飛び火警戒、早期の通報も、住民が担う行動として挙げられています。
次は、この内容で見落としやすい点を確認します。
消火器なら使えそうですが、スタンドパイプは操作が難しそうです。
事前の訓練が前提とされています。
次は見落としやすい点を見ていきましょう。
要配慮者への避難誘導で見落としやすいのはどこか

ここは言葉の呼び方が変わっている点に注意が必要です。
令和3年5月の災害対策基本法改正により、避難勧告は廃止されて避難指示に一本化されました。
「避難準備・高齢者等避難開始」も、内閣府のガイドラインで高齢者等避難という呼び方に変わっています。
考え方そのもの、つまり要配慮者ほど早めに避難を始めるという原則は変わっていません。
次は、明日から確認しておきたいことを整理します。
呼び方が変わっていることまでは知りませんでした。
中身は今も引き継がれています。
最後に確認の手順を見ていきましょう。
明日から何を確認しておけばよいのか

落ち着いて自分の地域の状況から確かめましょう。
そのうえで、地域の自主防災組織がスタンドパイプや可搬式小型動力ポンプを備えているか、操作訓練の予定があるかを確かめます。
建物に避難行動要支援者がいる場合は、早めの避難のタイミングや誘導方法を関係者であらかじめ話し合っておきます。
訓練は消防機関等と役割分担を事前に取り決めておくことで、当日の混乱を防げます。
制度そのものは行政指導ですが、実際に備えるかどうかは地域と建物側の役目として残っています。
今度の防災訓練で、スタンドパイプの使い方を確認してみます。
それが一番の備えになります。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
スタンドパイプの使い方、今度の訓練で確認してみます。
スッキリしました。
まずはそこからです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 大規模火災時における的確な住民行動等の確保について(平成29年8月2日 消防災第113号 消防庁防災課長)
- 糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会の検討結果について(平成29年5月19日 消防消第117号)
- 糸魚川市大規模火災を踏まえた「木造の建築物が多い地域などの大規模な火災につながる危険性の高い地域」の指定要領等について(通知)(平成29年7月31日 消防消第193号)
- 地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第60条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





