太陽光発電や非常用電源として、危険物を用いた蓄電池をコンテナごと屋外にまとめて置く事例が増えています。
コンテナが複数になると、コンテナ同士の間にどれだけ距離を取ればよいのか迷う現場は少なくありません。
消防庁は令和5年、危険物の規制に関する規則の改正にあわせてこの疑問に答える運用通知を出しました。
この記事では屋外コンテナ等蓄電池設備の許可申請の単位の決め方と、冷却用の散水設備を屋外消火栓設備で代用する条件を解説します。
うちの敷地にも蓄電池コンテナを増やす計画があるんですが、コンテナごとに離隔距離を取らないといけないんでしょうか。
実は事業形態によっては複数のコンテナをまとめて1つの許可施設にできます。
まとめて申請すると何かメリットがあるんですか。
コンテナ同士の離隔距離が不要になります。
通知の中身を順番に見ていきましょう。
- 消防危第251号は屋外コンテナ等蓄電池設備(規則第28条の60の4第5項)の運用上の留意事項をまとめた通知です。
- 複数のコンテナ等を接続して一体の設備として使う場合は、設置者と協議のうえで許可申請の単位を決定できます。
- まとめて1の許可施設とする場合、各コンテナ等の相互間の離隔距離は不要です。
- 指定数量の100倍以上を取り扱う場合に必要な冷却用の散水設備は、屋外消火栓設備で代用できる場合があります。
- 蓄電池がIEC62619・62933-5-2やUL1973・9540に適合していれば、告示が求める同等以上の安全性ありと扱われます。
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目次
なぜこの運用通知は出されたのか

今回もまず公布の通知が出て、続けて運用の留意事項がまとめられました。
太陽光発電の普及とともに、危険物を用いた蓄電池設備を屋外のコンテナにまとめて置く事例が増えており、許可申請の単位や散水設備の扱いなど、条文だけでは読み取りにくい実務上の論点が整理されています。
本通知は消防組織法第37条の規定に基づく助言として発出されたもので、法律そのものではなく実務の目安という位置づけです。
次は、この通知が対象にしている施設がどんなものかを見ていきます。
省令の改正と通知って、どういう順番で出るものなんですか。
公布の通知が先に出て、
運用の留意事項は別の通知で補われます。
屋外コンテナ等蓄電池設備とはどんな施設を指すのか

通知は、蓄電池が満たすべき安全基準の例もあわせて示しています。
第28条の54第9号の一般取扱所(危険物を取り扱う設備を屋外に設けるものに限る。)のうち、危険物を取り扱う設備の周囲に幅3メートル以上の空地を保有し、堅固な基礎の上に固定され、キュービクル式とし、危険物を用いた蓄電池設備が告示で定める基準に適合するものについては、令第9条第1項第1号・第2号・第12号・第17号の規定は適用しない。
規則第28条の54第9号の一般取扱所(蓄電池設備以外では危険物を取り扱わないもの)が土台になっており、屋外設置型には周囲3メートル以上の空地・堅固な基礎への固定・キュービクル式という条件が付きます。
IEC62619・62933-5-2やUL1973・9540に適合する蓄電池は、告示が求める「同等以上の安全性」を満たす例として扱われます。
次は、この施設が複数のコンテナに分かれるときの許可申請の単位について見ていきます。
普通の蓄電池を積んだだけでは駄目なんですね。
はい。
規格適合の確認がまず必要です。
複数のコンテナをまとめるとなぜ離隔距離が不要になるのか

通知はこの許可申請の単位の決め方を示しています。
複数のコンテナを相互に接続して一体で運用する場合は、まとめて1の許可施設とすることが認められ、その場合はコンテナ同士の間の離隔距離を確保する必要がなくなります。
逆に、それぞれを独立した施設として申請する場合は、通常どおりコンテナごとに周囲3メートル以上の空地が必要です。
どちらの単位で申請するのが自分の施設に合っているかは、設備の接続の仕方を整理したうえで所轄消防署に相談するのが確実です。
まとめるかどうかは、こちらが自由に選べるんですか。
事業形態を踏まえて
所轄消防署との協議で決まります。
冷却用の散水設備はなぜ屋外消火栓設備で代用できるのか

ここは既存の消火設備を流用できるかどうかに関わる、実務で見落としやすいポイントです。
指定数量の百倍以上の危険物を取り扱うものにあつては、冷却するための散水設備をその放射能力範囲が危険物を取り扱う設備を包含するように設けること。
100倍未満であれば散水設備そのものが不要なので、まず自分の施設の指定数量の倍数を確認する必要があります。
100倍以上に該当する場合でも、専用の散水設備を新設せず、同一敷地内の屋外消火栓設備で代用できるとされており、その屋外消火栓の放射能力範囲がコンテナを包含していることが条件になります。
既存の屋外消火栓の位置と放射範囲を図面で確認すれば、新たな設備投資をせずに基準を満たせる場合があります。
専用の散水設備を新しく作らないといけないと思っていました。
放射範囲が届いていれば、
既存の屋外消火栓で足りる場合があります。
明日から何を確認すればよいのか

確認する項目は大きく分けて4つです。
まず蓄電池がIEC・ULいずれかの規格に適合しているかをメーカーに確認し、次に複数コンテナをまとめるかどうかを事業形態にあわせて所轄消防署と協議します。
指定数量の倍数が100倍以上になるかどうかも忘れずに計算し、該当する場合は散水設備の新設か既存屋外消火栓の流用かを検討します。
危険物取扱者等の配置についても、既存のナトリウム・硫黄電池施設向けの運用例が参考になります。
- 使用する蓄電池がIEC62619・62933-5-2またはUL1973・9540に適合しているかをメーカーに確認する
- 複数コンテナを設置する計画があれば、まとめて1の許可施設にするかどうかを所轄消防署と事前に協議する
- 指定数量の倍数が100倍以上になるかを計算し、該当する場合は散水設備の要否を確認する
- 散水設備が必要な場合は、既存の屋外消火栓設備の放射範囲がコンテナを包含できるかを図面で確認する
届出前の相談段階でこの4点を整理しておくと、審査のやり取りがスムーズになります。
特に許可申請の単位は一度決めると変更に手間がかかるため、増設の計画があるなら最初の申請時点で相談しておくのが確実です。
不明な点は自己判断せず、所轄消防署の危険物担当窓口に確認しましょう。
まずは蓄電池の規格から確認してみます。
それが一番確実です。
増設の計画があれば早めにご相談ください。
よくある質問
まとめ
規格の確認と申請単位の相談、今日から進めます!
許可申請の単位から散水設備の代用まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の運用について(通知)(令和5年9月19日付け消防危第251号 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)(令和5年9月19日付け消防危第249号)
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の54・第28条の60の4
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。個別の申請単位や散水設備の適合可否については、所轄消防署にご確認ください。





