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災害の後の市街地ではなぜ建築が制限や禁止されることがあるのか|建築基準法第84条の期間と違反時の罰則を解説

災害で被災した建物の前に工事用の囲いが立つ市街地の写真

大きな災害で市街地が被害を受けると、そのあとの復興の計画づくりが始まります。
そのとき、都市計画や土地区画整理事業を進めるために、建築を一時的に止める必要が出る場合があります。
災害の後の市街地では、建築を止める仕組みが法律に用意されているのでしょうか。
今回は建築基準法第84条が定める被災市街地の建築制限と、期間や違反したときの扱いを、防火管理者が押さえておきたい点とあわせて解説します。

災害で街が壊れたあと、すぐに建て直しを始めてはいけない場合があるんでしょうか。
自分の建物のことなので気になります。

はい、建築基準法第84条に、災害の後の建築制限の仕組みがあります。
区域や期間が決まっているので、順番に見ていきましょう。

誰がどんな場合に建築を止められるのでしょうか。
期間や違反したときのことも教えてください。

条文を順に確認します。
防火管理の面で確かめたい点もお伝えします。

この記事の結論
  • 災害があった市街地では、建築基準法第84条に基づき特定行政庁が区域を指定して建築を制限し、または禁止できます。
  • 指定できるのは、都市計画または土地区画整理事業のため必要があると認めるときです。
  • 制限の期間は災害が発生した日から一月以内で、更に一月を超えない範囲で延長できます。
  • 制限や禁止に違反すると、当該建築物の建築主が100万円以下の罰金の対象になります。
  • 期間が過ぎたあとも、被災市街地復興推進地域が定められると、災害から2年以内の日までは新築などに許可が必要です。

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被災した市街地で特定行政庁が区域を指定して建築を制限できる流れを示す図解

被災した市街地の建築を制限する仕組みは建築基準法にどう書かれているのか

被災した建物と工事を止める柵のイラスト
災害の後の市街地では、都市計画や土地区画整理事業を進める必要が出ることがあります。
建築基準法第84条は、そのための建築制限を「被災市街地における建築制限」として定めています。
(建築基準法第八十四条第一項)特定行政庁は、市街地に災害のあつた場合において都市計画又は土地区画整理法による土地区画整理事業のため必要があると認めるときは、区域を指定し、災害が発生した日から一月以内の期間を限り、その区域内における建築物の建築を制限し、又は禁止することができる。
第84条は、特定行政庁が災害の後に区域を指定して建築を制限できる条文です。
条文が示す場面は、市街地に災害があり、都市計画または土地区画整理事業のため必要があると認めるときです。
制限の対象は、区域内における建築物の建築で、条文は制限し、または禁止することができると書いています。
個々の建物ではなく、区域を指定して行うと書かれている点が特徴です。
指定する主体の特定行政庁については、次の節で確認します。

災害があった街では、建築の自由が一時的に制限されるということですか。
どんな建物でも対象になるんでしょうか。

条文が対象にしているのは、指定された区域の中での建築です。
誰が指定するのかを次に見ましょう。

どんな場合に特定行政庁は区域を指定できるのか

区域を囲んだ市街地の地図と都市計画図のイラスト
指定するのは特定行政庁で、条文が示す出発点は市街地に災害があったことです。
特定行政庁がどの機関を指すかは、建築基準法第2条に書かれています。
(建築基準法第二条第三十五号)特定行政庁 この法律の規定により建築主事又は建築副主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。(略)
指定するのは特定行政庁で、出発点は市街地に災害があったことです。
特定行政庁は、建築主事または建築副主事を置く市町村では市町村の長、その他の市町村では都道府県知事とされています。
なお、一部の市町村では政令で定める建築物について都道府県知事が特定行政庁になる例外もあります。
指定できるのは、都市計画または土地区画整理法による土地区画整理事業のため必要があると認めるときです。
災害があったというだけでなく、特定行政庁が必要と認めて区域を指定することが前提です。

指定するのは特定行政庁なんですね。
災害があったら、自動的に制限がかかるわけではないんですか。

はい、条文は区域を指定して行うと書いています。
指定の有無は、建物がある地域の特定行政庁に確認するのが確実です。

制限や禁止はいつまで続くのか

二つの期間を示すカレンダーと砂時計のイラスト
第84条は、制限できる期間を短く区切っています。
期間の数え方と延長について、第1項と第2項に書かれています。
(建築基準法第八十四条第一項 抜粋)(略)区域を指定し、災害が発生した日から一月以内の期間を限り、その区域内における建築物の建築を制限し、又は禁止することができる。
(同条第二項)特定行政庁は、更に一月を超えない範囲内において前項の期間を延長することができる。
制限の期間は、災害が発生した日から一月以内に限られます。
期間の始まりは、制限を決めた日ではなく災害が発生した日です。
特定行政庁は、更に一月を超えない範囲で、この期間を延長できます。
条文の上では、最初の期間と延長を合わせて、災害の発生から2か月の範囲に収まります。
期限の日付は、区域を指定した特定行政庁に確かめます。

つまり、制限は長くても2か月ほどということですね。
その後は自由に建てられるんでしょうか。

この条文の期間はそこまでです。
ただし別の法律による制限が続くことがあるので、次の節で見ましょう。

制限に違反するとどうなり、期間が過ぎたあとは何が残るのか

工事を止める禁止標識と書類のイラスト
制限や禁止に違反した場合には、建築基準法に罰則があります。
また、第84条の期間が終わったあとは、別の法律による制限が働くことがあります。
(建築基準法第百一条第一項第十一号 抜粋)次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。(略)
十一 第八十四条第一項の規定による制限又は禁止に違反した場合における当該建築物の建築主
(被災市街地復興特別措置法第五条第三項)前項の日は、第一項第一号の災害の発生した日から起算して二年以内の日としなければならない。
制限や禁止に違反した場合の罰則は、建築主に向けて書かれています。
建築基準法第101条第1項第11号は、第84条第1項の制限や禁止に違反した場合の建築主を、100万円以下の罰金としています。
第84条の期間が過ぎたあとは、被災市街地復興特別措置法による制限が働くことがあります。
都市計画に被災市街地復興推進地域が定められると、定められた日までの新築、改築、増築に許可が必要になります。
その日は、災害が発生した日から起算して2年以内の日とされています。

違反したら、建てた人だけが責任を問われるんでしょうか。
期間が終わったあとのことも心配です。

条文が罰則の対象に挙げているのは建築主です。
期間が終わったあとは、別の法律で許可が要る場合があるので確認しましょう。

防火管理者は被災後の建て直しのときになにを確かめておくとよいのか

確認項目のチェックリストと都市計画図と建物模型のイラスト
被災した建物を建て直すときは、建築基準法の期間と、別の法律の許可の両方を確かめておきます。
被災市街地復興特別措置法は、許可が要る行為を第7条に書いています。
(被災市街地復興特別措置法第七条第一項 抜粋)被災市街地復興推進地域内において、第五条第二項の規定により当該被災市街地復興推進地域に関する都市計画に定められた日までに、土地の形質の変更又は建築物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害(第五条第一項第一号の災害を含む。)のため必要な応急措置として行う行為
三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
確認するのは、区域の指定の有無と、期間の終わりの日です。
第84条の制限は、延長を含めても災害の発生から2か月の範囲にとどまります。
その先は、都市計画に被災市街地復興推進地域が定められているかどうかで、新築などの許可の要否が変わります。
通常の管理行為や、非常災害のため必要な応急措置として行う行為などは、許可の対象から除かれています。
明日から次の点を確認してください。
  • 建物の所在地に、特定行政庁が指定した建築制限の区域があるかを確認する。
  • 制限の期間の終わりの日を、防火管理の記録に残す。
  • 都市計画に被災市街地復興推進地域が定められているかを、市町村に確認する。
  • 建て直しや増築を考える前に、都道府県知事等の許可が要る行為かを確かめる。
  • 消防用設備や消防計画は、建築の制限とは別に、所轄消防署へ相談する。
建築基準法と消防法は別々の法律です。
建物の使い方や工事の予定が変わったときは、両方の窓口へ同じ内容を伝えられるようにしておきましょう。

区域の指定や期限は、誰が把握しておくのがいいでしょうか。
管理者としてどう記録すればよいですか。

指定の内容は特定行政庁に確認して、期限の日付を防火管理の記録に残しましょう。
建て直しの相談は、建築の窓口と消防の両方に入れておくと安心です。

よくある質問

Q災害があれば、その地域の建築は必ず制限されるのですか?
Aいいえ、第84条は、特定行政庁が必要があると認めるときに区域を指定して制限や禁止をすることができると定めています。指定された区域内の建築が対象です。
Q制限の期間は最長でどれくらいですか?
A災害が発生した日から一月以内の期間を限って行い、更に一月を超えない範囲で延長できます。合わせると災害の発生から2か月の範囲に収まります。
Q制限や禁止に違反して建築するとどうなりますか?
A当該建築物の建築主が100万円以下の罰金の対象になると、建築基準法第101条第1項第11号に書かれています。
Q第84条の期間が終わったら、その区域では自由に建てられるのですか?
A第84条の期間が終わっても、都市計画に被災市街地復興推進地域が定められると、定められた日までの新築、改築、増築に都道府県知事等の許可が必要になります。その日は災害の発生から2年以内とされています。

まとめ

✔建築基準法第84条は、災害の後の市街地で特定行政庁が区域を指定して建築を制限し、または禁止できる条文です。
✔対象の場面は、市街地に災害があり、都市計画や土地区画整理事業のため必要があると認めるときです。
✔指定するのは特定行政庁で、市町村の長または都道府県知事が当たります。
✔期間は災害が発生した日から一月以内で、更に一月を超えない範囲で延長できます。
✔違反したときは、当該建築物の建築主が100万円以下の罰金の対象です。
✔期間が過ぎたあとも、被災市街地復興特別措置法に基づく地域が定められると、新築などに許可が必要になります。
✔その日は災害の発生から2年以内とされ、防火管理者は期限を記録して消防にも相談します。

災害の後の建築制限は、期間と別の法律の確認が大切なんですね。
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制限の期間が分かれば、防火管理の準備も立てやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第二条・第八十四条・第百一条(e-Gov法令検索)
  • 被災市街地復興特別措置法第五条・第七条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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