他の県から救助の応援を受けたとき、その費用の精算がどうなるのか気になる方は多いと思います。
災害救助法は、応援に要した費用を求償できると定めています。
著しく異常かつ激甚な非常災害では、国が立て替えて弁済する代位弁済の仕組みもあります。
国の通知と条文で、その中身を確かめます。
他の県から救助の応援を受けたら、その費用は全部こちらで精算するのでしょうか。
原則は求償の仕組みですが、大規模な災害では国が立て替える規定があります。
国は、要請すれば必ず立て替えてくれるのでしょうか。
条文は必要があると認めるときと定めています。
順番に見ていきましょう。
- 都道府県等は、他の都道府県等が行った救助の応援のために支弁した費用を、当該他の都道府県等に求償できるとされています(災害救助法第20条第1項)。
- 著しく異常かつ激甚な非常災害では、求償の請求を受けた都道府県等が、国に代わって弁済するよう要請できます(第20条第2項)。
- 国は、被害の状況その他の事情を勘案して必要があると認めるときに弁済でき、弁済したときは、被請求都道府県等に求償するものとされています(第20条第3項・第4項)。
- 要件を満たすときは、弁済に代えて、国庫の負担額の全部又は一部を請求都道府県等に支払うことができます(第21条第2項)。
- 通知は、この仕組みを被災都道府県の精算事務の負担を軽減するために設けたものと説明しています。
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目次
都道府県間の応援費用の求償は、なぜ大規模災害では負担になるのか

大きな災害では、他の都道府県から救助の応援が入ることがあります。
通知は、その費用の精算が被災した側の重荷になる場合を説明しています。
応援費用は、原則として求償で精算されます。
第20条第1項は、応援のため支弁した費用を、当該他の都道府県等に求償することができると定めています。
通知は、応援を受けた費用は災害対策基本法第92条により被災都道府県が負担することになると説明しています。
著しく異常かつ激甚な非常災害では、被災都道府県の行政機能が一時的に低下する一方、事務量は著しく増えます。
通知は、そこで清算事務までを行うと、円滑な災害対応の実施を阻害しかねないと述べています。
応援した県は、被災した県に費用を求償できるのですね。
第20条第1項が求償できると定めています。
国の代位弁済は、どのような災害で要請できるのか

国が立て替える仕組みは、どの災害でも使えるわけではありません。
条文は、対象を絞る言葉を置いています。
代位弁済の要請は、著しく異常かつ激甚な非常災害に限られます。
第20条第2項は、求償の請求を受けた側を被請求都道府県等、求償の請求を行った側を請求都道府県等と呼んでいます。
被請求都道府県等は、国に対して、国が代わって請求都道府県等に弁済するよう要請することができるとされています。
通知は、対象となる災害を、内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部が設置される規模の災害と説明しています。
要請の手続は、「内閣府令で定めるところにより」行います。
条文の「都道府県等」には、都道府県のほか救助実施市が含まれます(第17条)。
どの災害でも、国に立て替えを要請できるのでしょうか。
通知は、緊急災害対策本部が設置される規模の災害としています。
国は要請を受けたら必ず代位弁済するのか

要請があれば、国は必ず立て替えなければならないのでしょうか。
条文の言い回しと通知の説明で確かめます。
国の代位弁済は、必要があると認めるときに行われます。
第20条第3項は、国は被害の状況その他の事情を勘案して必要があると認めるときに、弁済することができると定めています。
通知は、被害状況、事務処理の状況、原因者による賠償の状況等を勘案して、年度毎に実施を判断すると説明しています。
複数の都道府県から要請があったときは、原則として各々の都道府県ごとに要否を判断します。
国が弁済したときは、第20条第4項により、被請求都道府県等に弁済した費用を求償するものとされています。
つまり、代位弁済は費用を無償で肩代わりするものではなく、精算の窓口を国が引き受ける立て替えです。
要請すれば、必ず立て替えてもらえるのですか。
条文は必要があると認めるときと定めています。
国庫負担金から支払う場合は、代位弁済とどう違うのか

国が応援費用を支払う方法は、もう一つ定められています。
第21条第2項が定める、国庫の負担額からの支払です。
国庫負担金から払うときは、二つの要件を満たす必要があります。
第21条第2項は、次の二つを満たすときに、国庫の負担額の全部又は一部を、弁済に代えて請求都道府県等に支払えると定めています。
一つ目は、要請された費用の額が国庫の負担額を上回らないことです。
二つ目は、被害の状況その他の事情を勘案して、国が代わって弁済する必要があることです。
通知は、この場合、被災都道府県に支払われる予定の国庫負担金の支払先だけを変えるものと説明しています。
要件を満たさないときは、国が予算措置を講じたうえで、第20条第3項に基づいて代位弁済すると述べています。
国庫の負担は、現行の条文では第21条第1項に置かれ、割合は普通税の収入見込額に応じて百分の五十・百分の八十・百分の九十と段階が付いています。
国庫負担金から払う場合は、要件があるのでしょうか。
第21条第2項に二つの要件があります。
明日から何を確認しておけばよいのか

代位弁済の話は、災害が起きてからでは確認する余裕がありません。
だからこそ、平常時に確認しておくと落ち着いて動けます。
応援の費用は、平常時から扱いを確かめておきます。
応援に出た場合も受けた場合も、費用は求償の対象になり得ます。内訳を後から示せるよう、応援の内容と日付を記録しておくと安心です。
国に立て替えを要請する手続は、「内閣府令で定めるところにより」行うので、現行の内閣府令を確認します。
代位弁済は、国が必要があると認めるときに行うので、要請すれば自動的に認められるとは考えません。
国庫負担金による支払には、二つの要件があることも押さえておきます。
条文は改正で動くため、現在の法令で引き直して確認し、個別の判断は所轄の自治体や消防署に確認します。
応援の費用の扱いを、事前に確認しておきます。
平常時の備えが、いざというときの助けになります。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
応援費用の扱い、まず確認してみます!
それが一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 災害対策基本法等の一部を改正する法律による改正後の災害対策基本法等の運用について(平成25年6月21日 府政防第559号・消防災第246号・社援総発0621第1号)
- 災害救助法(昭和22年法律第118号)第17条、第20条、第21条
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第92条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





