BLOG

漏電火災警報器の作動電流はどこまでずれても合格なのか|総合点検の測定回数と上下の許容範囲を解説

漏電火災警報器の作動電流がどこまでずれても合格になるのかを解説する記事のアイキャッチ画像。分電盤と変流器と試験器の写真

漏電火災警報器の点検では、変流器に試験電流を流して作動電流を測る試験があります。
測った電流が何ミリアンペアなら合格なのか、上と下の許容がそろっているのかが気になります。
消防庁の点検要領は、測る回数と、合格の範囲を数字で定めています。
この記事では、作動範囲の試験の測り方と判定を確かめます。

漏電火災警報器は、鳴るかどうかだけ見れば足りますか。

鳴るだけでなく、何mAで作動するかまで測ります。

測った値が多少ずれても、合格になるのでしょうか。

点検要領は、ずれてよい許容の範囲を定めています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 作動範囲の試験は、総合点検で行う項目で、漏電火災警報器試験器などを用いた漏洩電流検出試験で確認します。
  • 作動電流は2~3回測定します。
  • すべての作動電流値が、公称作動電流値(作動電流設定値)に対して+10%、-60%の範囲にあることが判定の基準です。
  • 測定中は負荷をできるだけ減らし、判定に疑義があるときは負荷を完全に遮断して試験電流だけで測ります。
  • 許容誤差の範囲を超えていたら、メーカーに修理を依頼します。

▼

漏電火災警報器の作動範囲試験の考え方を示す図解(作動電流を測る、範囲で判定する、外れたら修理)

漏電火災警報器の作動範囲試験は点検のどこで行うのか

壁の受信機と変流器を通る太い電線、右に試験器が細い線で結ばれたイラスト
作動範囲の試験は、点検要領の「総合点検」に書かれています。
まず、機器点検との違いを確かめます。
点検要領 第12(消防予第172号別添)(機器点検 感度調整装置)
漏洩電流設定値を確認する。
ア 設定値が適正であること。
イ 誤報のおそれのない値となっていること。
点検要領 第12(消防予第172号別添)(総合点検 作動範囲)
漏電火災警報器試験器等を用いて漏洩電流検出試験を行い、次により確認する。
(1) 作動電流値における作動電流を2~3回測定する。
設定値を確認するのは機器点検、作動電流を実際に測るのは総合点検です。
機器点検は、感度調整装置が示す設定値が適正で、誤報のおそれのない値かを見ます。
総合点検の作動範囲は、試験器で漏洩電流検出試験を行い、実際に作動する電流を測ります。
表示された設定値どおりに作動するかを、測って確かめる試験と読めます。
設定値そのものの考え方は、音響装置と検出感度の記事で扱っています。

設定値を見るだけの機器点検とは、何が違うのですか。

総合点検では、実際に電流を流して作動を測ります。
設定値どおりかを確かめる試験です。

作動電流は何回測ってどの範囲なら合格なのか

試験器の横に同じ丸型のメーターが三つ並び、右に書類板が置かれたイラスト
測る回数と、合格の範囲は数字で決まっています。
点検要領の判定方法を見ます。
点検要領 第12(消防予第172号別添)(総合点検 作動範囲)
(1) 作動電流値における作動電流を2~3回測定する。
判定:正常に作動し、すべての作動電流値は、公称作動電流値(作動電流設定値)に対して+10%、-60%の範囲であること。
測定は2~3回行い、すべての値が範囲に入っていることが合格の条件です。
基準になるのは、公称作動電流値(作動電流設定値)です。
上側は10%まで、下側は60%までずれてよく、上下で許容が違います。
たとえば設定値が200mAなら、80mAから220mAの範囲に入っていれば範囲内です。
この数字は、次の表のとおり設定値ごとに計算できます。
計算例(点検要領の+10%、-60%を当てはめたもの)
設定値に応じた、作動電流の範囲を次の表に示します。
公称作動電流値(設定値)下限(-60%)上限(+10%)
100mA40mA110mA
200mA80mA220mA
300mA120mA330mA
400mA160mA440mA
表は点検要領の数字から計算した例です。
実際の判定は、その機器に設定されている値で計算してください。

低い側にずれるのは、上側より許されるのですね。

下側は-60%、上側は+10%です。
測った値がすべて入る必要があります。

測定中に負荷や本当の漏電があるとどうなるのか

台の上に長い目盛りの帯があり、中央の橙色の印の左が長く右が短い帯になったイラスト
試験は、実際に電気が使われている建物で行います。
点検要領は、測定中の負荷への注意を書いています。
点検要領 第12(消防予第172号別添)(総合点検 作動範囲 ※(1))
漏洩電流検出試験中、負荷はできるだけ減らして測定するのが望ましい。本当の漏電があると、試験用の分との合計で測定することになるので、判定に疑義のある場合は、負荷を完全に遮断し試験電流だけにして測定すること。
負荷はできるだけ減らして測ります。
建物に本当の漏電があると、試験用の電流との合計を測ってしまうためです。
判定に疑義があるときは、負荷を完全に遮断し、試験電流だけにして測り直します。
明日からは、測る前にどの負荷を止められるかを、建物の関係者と確かめておくと段取りが立てやすくなります。

負荷がそのままだと、測った値を信用できないのですか。

本物の漏電があると合計値で測ります。
疑いがあれば負荷を遮断して測り直します。

作動電流はどの試験器で測り誰の協力が要るのか

分電盤から電線が伸び、四つの機器のうち二つが灰色で電源が抜かれているイラスト
試験に使う器具は、1種類とは限りません。
点検要領は、ほかの方法と、その場合の条件も書いています。
点検要領 第12(消防予第172号別添)(総合点検 作動範囲 ※(2))
漏洩電流検出試験には、漏電火災警報器試験器を用いる方法のほか、漏電遮断器試験器を用いる方法及び各種の測定器具を組み合わせて現場で回路を構成する方法もある。なお、現場で回路を構成する方法を用いる場合は、電気主任技術者又は電気工事士などの協力のもとに行うこと。
試験器は、漏電火災警報器試験器のほかにも選べます。
漏電遮断器試験器を使う方法や、測定器具を組み合わせて現場で回路をつくる方法もあります。
ただし、現場で回路をつくる方法は、電気主任技術者や電気工事士などの協力のもとで行うと定められています。
電路に試験電流を流す試験ですので、電気の資格をもつ人の関与が前提になっていると読めます。

現場で回路を組む方法は、点検する人だけで行えますか。

電気主任技術者や電気工事士などの協力が要ります。
点検要領がそう定めています。

範囲を外れたときは何をするのか

三脚の騒音計が壁のブザーへ向き、一メートルの距離を示す線と点灯した受信盤が並ぶイラスト
測った値が範囲を外れたときの扱いも、点検要領にあります。
同じ作動範囲の項目で確かめる、表示灯と音圧もあわせて見ます。
点検要領 第12(消防予第172号別添)(総合点検 作動範囲)
※ 許容誤差の範囲を超えている場合は、メーカーに修理を依頼すること。
点検要領 第12(消防予第172号別添)(総合点検 漏電表示灯・音響装置の音圧)
(2) 音響装置の取り付けられた位置の中心から前面1m離れた位置で、騒音計(A特性)を用いて規定の音圧が得られるかどうかを確認する。
判定:漏電表示灯は正常に点灯すること。音響装置の音圧は、70dB以上であること。
許容誤差を超えたら、メーカーへ修理を依頼します。
同じ試験の中で、漏電表示灯が正常に点灯するかと、音響装置の音圧が70dB以上あるかも確かめます。
音圧は、前面1mの位置で、騒音計のA特性で測ります。
変流器そのものの試験は、変流器の試験の記事で扱っています。

範囲を外れたら、自分で調整してよいのですか。

点検要領はメーカーへの修理依頼と書いています。
表示灯と音圧もあわせて確かめます。

よくある質問

Q作動範囲の試験は、機器点検でも行いますか?
A点検要領では、作動範囲は総合点検の項目です。機器点検では、感度調整装置で漏洩電流設定値が適正かを確認します。
Q作動電流は何回測りますか?
A点検要領は、作動電流値における作動電流を2~3回測定するとしています。
Q判定に疑いがあるときは、どう測り直しますか?
A負荷を完全に遮断し、試験電流だけにして測定します。本当の漏電があると、試験用の分との合計で測ってしまうためです。
Q合格の範囲は、公称作動電流値に対してどれだけですか?
Aすべての作動電流値が、公称作動電流値(作動電流設定値)に対して+10%、-60%の範囲であることです。

まとめ

✔作動範囲の試験は、総合点検で行う漏洩電流検出試験
✔機器点検は設定値を確認し、総合点検で実際の作動電流を測る
✔作動電流は2~3回測定する
✔すべての値が公称作動電流値に対して+10%、-60%の範囲であること
✔負荷はできるだけ減らし、疑義があれば負荷を完全に遮断して測る
✔現場で回路を組む方法は、電気主任技術者や電気工事士などの協力のもとで行う
✔範囲を外れたらメーカーへ修理を依頼し、音圧は70dB以上を確かめる

まず、設置されている機器の設定値を確認しておきます!

測定の段取りと負荷の遮断を決めておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号 消防庁予防課長)別添 点検要領 第12 漏電火災警報器
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条の3、第31条の6

※本記事は公表されている法令および消防庁の点検要領に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
漏電火災警報器の作動電流がどこまでずれても合格になるのかを解説する記事のアイキャッチ画像。分電盤と変流器と試験器の写真
漏電火災警報器の点検では、変流器に試験電流を流して作動電流を測る試験があります。 測った電流が何ミリアンペアなら合格なのか、上と下の許容がそろっているのかが気になります。 消防庁の点検要領は、測る回数と、合格の範囲を数字...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →