BLOG

漏電火災警報器の変流器はなぜ耐震措置まで確かめるのか|接地抵抗と絶縁耐力の合否判定を解説

漏電火災警報器の変流器は耐震措置も確かめるのか

漏電火災警報器は、建物に電気を供給する電路に流れる漏えい電流を、変流器という機器で常時監視しています。
この変流器、実は取り付ける場所も電流値も、消防法施行規則で細かく決められています。
設置工事が完了すると、接地抵抗や絶縁抵抗の実測値を確かめる試験が行われ、地震で壊れていないかという目視の確認項目まであります。
今回は漏電火災警報器の変流器にどんな試験基準があり、耐震措置まで確かめる理由は何か、あわせて解説します。

漏電火災警報器の変流器にも、試験の合否判定基準があるんですか?

はい、接地抵抗と絶縁抵抗の実測値まで確かめるんですよ。

数値だけじゃなく、目視の項目もあるんですね。

はい、耐震措置という目視の項目があるので順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 漏電火災警報器の変流器は、警戒電路の定格電流以上の電流値を有するものを設置する(消防法施行規則第24条の3第一号)
  • 変流器は屋外の電路またはB種接地線で、点検が容易な位置に堅固に取り付ける(同条第二号)
  • 接地抵抗の合否判定基準はD種接地工事100Ω以下(0.5秒以内の自動遮断装置があれば500Ω)・C種10Ω以下A種10Ω以下
  • 絶縁抵抗は0.1〜0.4メガオーム以上、高圧回路の絶縁耐力試験は連続10分間耐えること
  • 耐震措置には数値の基準が無く、地震で変形・損傷が無いかを目視で確認する

漏電火災警報器の変流器を設置してから消防検査で照合するまでの試験基準を示す図解

漏電火災警報器はなぜ変流器で電路を監視するのか

建物の屋外電路に取り付けられた変流器
漏電火災警報器は、建築物の電路に漏えい電流が流れていないかを常時監視する設備です。
その監視の要になっているのが、電路に取り付ける変流器です。
問1 変流器は、どんな電路に取り付けなければならないか。
答1 変流器は、建築物に電気を供給する屋外の電路(建築構造上屋外の電路に設けることが困難な場合にあつては、電路の引込口に近接した屋内の電路)又はB種接地線で、当該変流器の点検が容易な位置に堅固に取り付けること。(消防法施行規則第24条の3第二号)
変流器は、建物へ電気を引き込む電路そのものに取り付けます。
屋外の電路に取り付けるのが原則で、構造上どうしても難しい場合だけ、引込口に近接した屋内の電路に取り付けることが認められています。
警戒電路の定格電流以上の電流値を持つものを選ぶ決まりもあり、電路に合わない変流器では漏えい電流を正しく検出できません。

変流器は、屋内に取り付けてはいけないんですか?

いえ、屋外設置が原則で、屋内は構造上難しい場合の例外なんです。

接地抵抗試験の合否判定基準はどう決まるのか

変流器の接地抵抗を測定する試験の様子
外観試験に続いて行われるのが、接地抵抗試験です。
低圧用の機械器具か、高圧用・特別高圧用かで、合否判定基準の数値が変わります。
問2 接地抵抗試験の合否判定基準は、どのような数値か。
答2 測定値は、次に掲げる数値であること。低圧用の機械器具の鉄台及び金属製外箱(300V以下)はD種接地工事で100Ω以下(低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは500Ω)、300Vを超えるものはC種接地工事で10Ω以下(同条件のとき500Ω)、高圧用又は特別高圧用の機械器具の鉄台及び金属製外箱はA種接地工事で10Ω以下であること。(試験実務必携の合否判定基準表による)
接地抵抗の合否判定基準は、機器の電圧区分によって数値が変わります。
漏電火災警報器の受信機や変流器の金属製外箱は、多くの場合D種接地工事で100Ω以下が基準になります。
低圧電路に0.5秒以内の自動遮断装置があれば500Ωまで緩和されますが、遮断装置が無ければ100Ω以下を確実に満たす必要があります。

100Ωと500Ωって、ずいぶん差がありますね。

はい、自動遮断装置の有無で許容値が変わるんです。

絶縁抵抗試験・絶縁耐力試験ではどんな数値を確かめるのか

絶縁抵抗計で電源回路を測定する様子
接地抵抗試験の次に行うのが、絶縁抵抗試験と絶縁耐力試験です。
どちらも電気を扱う設備である以上、避けて通れない試験です。
問3 絶縁抵抗試験と絶縁耐力試験の合否判定基準は、どのような数値か。
答3 絶縁抵抗試験は、電源回路・操作回路・表示灯回路・警報回路等の電圧電路について、対地電圧150V以下の場合0.1メガオーム、150Vを超え300V以下の場合0.2メガオーム、300Vを超えるものは0.4メガオーム以上であること。絶縁耐力試験は、高圧回路について電気設備に関する技術基準を定める省令に定める試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加え、これに耐えること。(試験実務必携の合否判定基準表による)
絶縁抵抗は、対地電圧の区分ごとに下限の数値が決まっています。
一般的な100V・200V系統の回路であれば、0.1メガオーム以上あれば合格です。
高圧回路がある設備では、これに加えて連続10分間の絶縁耐力試験にも耐える必要があります。

10分間も電圧をかけ続けるんですか?

はい、連続して耐えられるかを確かめる試験なんです。

耐震措置という目視だけの試験項目もある

接地抵抗計と補助接地極を使って測定する様子
接地抵抗・絶縁抵抗・絶縁耐力はいずれも数値で合否を判定します。
一方で、数値ではなく目視だけで確認する試験項目もあります。
問4 耐震措置は、どのように確認するか。
答4 地震等により、変形、損傷等が生じないように措置されていることを目視により確認する。(試験実務必携の試験方法欄による)
耐震措置には、数値の合否判定基準がありません。
配線方法や接続の状態と並んで、目視により確認する試験項目として整理されています。
変流器は電路の漏えい電流をとらえる精密な検出機器なので、地震で変形や損傷を受けると、検出そのものが狂いかねません。だからこそ、数値化しにくい耐震措置も確認項目として個別に立てられているのです。

数値がない項目も、報告書に書くんですね。

はい、目視で確認した結果として記録するんです。

試験結果は消防検査でどう使われるのか

消防検査で試験結果報告書と設備を照合する様子
接地抵抗・絶縁抵抗・絶縁耐力・耐震措置、どの結果も書いて終わりではありません。
消防長や消防署長が行う検査でも使われます。
問5 消防用設備等の検査は、どのように行われるか。
答5 検査は、防火対象物の関係者から提出された消防用設備等設置届出書(当該届出書に添付された設計図書、試験結果報告書を含む。)と照合しながら行うこと。(平成14年9月30日消防予第283号「消防用設備等の試験基準に係る運用について」記3(1)ア)
検査は、届出書に添付された試験結果報告書と現地の設備を照合しながら行われます。
接地抵抗絶縁抵抗の実測値も、耐震措置の目視確認結果も、この照合の対象です。
数値が基準を外れていたり、耐震措置が不十分だったりすれば、その場で確認や是正を求められることになります。

つまり報告書の数値は、検査の当日まで使われ続けるんですね。

はい、検査で照合される資料として最後まで生きています。

よくある質問

Q変流器はどこに取り付けてもよいのですか?
Aいいえ。屋外の電路(構造上困難な場合は引込口に近接した屋内の電路)またはB種接地線で、点検が容易な位置に堅固に取り付けることが消防法施行規則第24条の3第二号で定められています。
Q接地抵抗の合否判定基準はすべての機器で同じ数値ですか?
Aいいえ。低圧用の機械器具(300V以下)はD種接地工事で100Ω以下、300Vを超えるものはC種接地工事で10Ω以下、高圧用・特別高圧用はA種接地工事で10Ω以下と、区分によって基準の数値が異なります。
Q耐震措置には数値の合否判定基準がありますか?
Aありません。耐震措置は目視により、地震等で変形や損傷が生じないように措置されているかを確認する定性的な試験項目です。
Q絶縁耐力試験は低圧回路にも行いますか?
A試験実務必携の合否判定基準表で示されている絶縁耐力試験は高圧回路が対象です。試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加え、これに耐えることが合格基準です。

まとめ

漏電火災警報器の変流器は、警戒電路の定格電流以上の電流値を有するものを設置する(消防法施行規則第24条の3第一号)
変流器は屋外の電路またはB種接地線で、点検が容易な位置に堅固に取り付ける(同条第二号)
接地抵抗の合否判定基準はD種100Ω以下(0.5秒以内自動遮断なら500Ω)
300Vを超えるものはC種10Ω以下、高圧用・特別高圧用はA種10Ω以下
絶縁抵抗は0.1〜0.4メガオーム以上、絶縁耐力試験(高圧回路)は連続10分間
耐震措置は数値ではなく、地震で変形・損傷が無いかを目視で確認する
試験結果は消防検査で届出書と照合される(消防予第283号記3(1)ア)

変流器の接地抵抗と耐震措置の見方がよく分かりました。

試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第24条の3(漏電火災警報器に関する基準の細目)第一号・第二号
  • 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)第2項
  • 電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)
  • 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)記3(1)ア

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
漏電火災警報器の変流器は耐震措置も確かめるのか
漏電火災警報器は、建物に電気を供給する電路に流れる漏えい電流を、変流器という機器で常時監視しています。 この変流器、実は取り付ける場所も電流値も、消防法施行規則で細かく決められています。 設置工事が完了すると、接地抵抗や...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →