避難行動要支援者名簿は、つくって終わりではなく、随時更新していく作業が重要だとされています。
ところが、対象者の障害の種類や要介護区分は、市町村や都道府県の福祉部局などが持つ情報です。
そこで国は、名簿と個別避難計画の更新にマイナンバーを使えるようにしました。
通知の内容と、現行法での位置づけ、外部提供の線引きを確かめます。
名簿の更新に、マイナンバーを使うのですか。
通知は、更新の負担軽減と効率化につながると説明しています。
名簿に載っている本人にも、よいことがあるのですか。
更新が迅速になり、支援も迅速に受けられるとされています。
順番に見ていきましょう。
- 通知は、名簿が作成完了から随時更新の段階に入ったとして、更新にマイナンバーを活用するとしています。
- 対象は、障害の種類及びその程度や要介護区分など、福祉部局等がマイナンバーに紐づけて持つ情報の更新です。
- 個別避難計画も、更新にあたってマイナンバーの活用が有効とされています。
- 現行の番号利用法では、名簿と計画の事務は別表の五十五の項に、情報提供ネットワークシステムでの提供は第19条第8号に対応します。
- 個人番号を含む名簿情報の外部提供は、番号利用法第19条各号の場合に限られます。個人番号を含まない情報は、外部提供できるとされています。
▼

目次
名簿や個別避難計画の更新にマイナンバーはなぜ使えるようにされたのか

避難行動要支援者名簿は、市町村がつくって終わりの書類ではありません。
通知は、名簿の運用の状況を次のように述べています。
名簿は、つくる段階から更新する段階に入っています。
通知は、名簿の運用開始から6年が経過し、99.2%の地方公共団体で作成が完了したと述べています。
今後は、名簿に掲載された情報を随時更新していく作業が重要だとされています。
マイナンバーの活用は、この更新作業を進めるための手段として位置づけられています。
通知は、マイナンバーの活用で更新を随時、迅速に行えるようになると説明しています。
その結果、避難行動要支援者本人も、迅速に避難支援等の提供を受けられるとされています。
市町村の事務の負担軽減及び効率化につながる点は、次の見出しで確認します。
マイナンバーは、誰のために使うのですか。
通知は、市町村の事務の効率化と、本人が迅速に支援を受けられることを挙げています。
まず、対象になる情報を確認しましょう。
名簿のどんな情報がマイナンバーとひもづいているのか

名簿に記載する事項は、法第49条の10第2項が定めています。
通知は、そのうち福祉部局が持つ情報に注目しています。
対象は、障害の種類や要介護区分などの情報の更新です。
通知が挙げるのは、名簿の「避難支援等を必要とする事由」のうち、障害の種類及びその程度と要介護区分などの情報です。
通知は、これらを市町村や都道府県の福祉部局等が保有し、マイナンバーに紐づけられたケースが多いと述べています。
活用するのは、すでに名簿に掲載され、対象となる個人が特定された避難行動要支援者の情報の更新の場面です。
個別避難計画も、同じ理由で活用が有効とされています。
通知は、個別避難計画の記載事項が名簿の記載事項に、避難支援等の実施に関し市町村長が必要と認める事項等を加えたものだと説明しています。
作成・更新にあたっても、名簿の更新と同様の理由でマイナンバーの活用が有効とされています。
福祉部局の情報は、どこまで名簿に入るのですか。
通知が挙げるのは障害の種類及びその程度と要介護区分などです。
実際に入れる項目は、市町村にご確認ください。
番号利用法の改正で名簿と計画の事務はどう位置づけられたのか

通知は、この活用のために番号利用法の別表を改正したと述べています。
現行の番号利用法と見比べて確かめます。
通知の時点では、別表第一と別表第二が改正されました。
別表第一は個人番号を利用可能な事務を定めたもの、別表第二は複数機関間における情報連携の対象とする事務・情報を定めたものと、通知は説明しています。
この改正で、障害の種類及びその程度、要介護区分等の情報が情報連携の対象に追加されました。
現行の番号利用法では、条文の構成が別になっています。
e-Govで現行の条文を確認したところ、第9条は、別表の各項の下欄に掲げる事務の処理に関して個人番号を利用できると定めています。
その別表の五十五の項に、市町村長の事務として避難行動要支援者名簿の作成と個別避難計画の作成などが載っています。
情報提供ネットワークシステムを使った提供は、第19条第8号が定めています。
通知にある別表第一・第二の区分は、現在の条文では、この別表と第19条第8号が対応します。
通知にある別表第一は、いまもあるのですか。
現行法では、事務は別表の各項に載っています。
条文番号は、必ず現行法で確かめましょう。
個人番号を含む名簿情報は外部に提供してよいのか

個人番号を含む情報は、無制限には外に出せません。
通知は、留意点を次のように示しています。
個人番号を含む名簿情報は、第19条各号の場合にだけ外部提供できます。
通知は、個人番号を含んだ名簿情報及び個別避難計画情報を外部提供できるのは、番号利用法第19条各号に該当する場合だと述べています。
同条の柱書は、各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供を禁じています。
いっぽう、個人番号を含まない名簿情報及び個別避難計画情報は、外部提供できると通知は述べています。
名簿情報の提供のしかたは、番号の有無とは別に法が定めています。
法第49条の11第2項は、消防機関や民生委員、自主防災組織などの避難支援等関係者に名簿情報を提供するものと定めています。
条例に特別の定めがある場合を除き、本人の同意が得られない場合は、この限りでないとされています。
個別避難計画情報の提供は、法第49条の15が定めています。
名簿を受け取る側は、マイナンバーを扱うのですか。
通知は、個人番号を含む名簿情報の外部提供を第19条各号の場合に限っています。
受け取る名簿の中身は、市町村にご確認ください。
明日から何を確認しておけばよいのか

地域で名簿や個別避難計画を受け取る立場なら、次の点を市町村に確かめます。
担当者として、次の点を市町村に確かめます。
名簿や個別避難計画の更新に、マイナンバーを使う運用があるかを尋ねます。
自分に提供される名簿情報や計画情報に、個人番号が含まれるのかを確認します。
提供を受けるときの本人の同意や、条例の定めがどうなっているかも確かめます。
受け取る側の義務など、名簿情報の取扱いは、あわせて読みたい記事でも確認します。
個別の判断は、市町村の担当部署にご確認ください。
明日、まず何を聞けばよいのですか。
個人番号が含まれるかと、提供の同意の扱いを聞いてみます。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
個人番号が含まれるかを、まず確かめてみます!
それが一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 災害対策基本法等の一部を改正する法律による改正後の災害対策基本法等の運用について(令和3年5月10日 府政防第601号・消防災第60号)
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第49条の10、第49条の11、第49条の14、第49条の15
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第9条、第19条、別表
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





