高架の橋の中に建物があったり、道路の中に公衆便所があったりするのを見かけたことはあるでしょうか。
建築基準法第57条には、こうした建築物の高さの制限を緩める規定があります。
第1項が高架の工作物内、第2項が道路内の建築物を扱っています。
決め手になるのは、どちらの項に当たるかと、条件の有無です。
今回は建築基準法第57条が定める高さの制限の緩和について、二つの項の中身と違い、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
高架の橋の中にある建物にも、高さの制限はかかるのでしょうか。
道路の中の建物はどうなりますか。
建築基準法第57条に、高さの制限の緩和の規定があります。
まず、条文から見ていきましょう。
緩和されるなら、どこでも自由に建てられるのでしょうか。
条件はないのですか。
項によって、条件が違います。
第1項と第2項の違いを、順に確認しますね。
- 建築基準法第57条第1項は、高架の工作物内に設ける建築物で特定行政庁が周囲の状況により交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものには、前三条の規定を適用しないと定めています。
- 前三条は、条文の並びで第55条、第56条、第56条の2に当たり、高さの限度、斜線制限、日影規制を定める規定です。
- 第2項は、道路内にある建築物のうち高架の道路の路面下に設けるもの以外には、第56条第1項第一号と第2項から第4項までの規定を適用しないと定めています。
- 第2項に特定行政庁が認めるという条件の書きぶりはなく、隣地斜線制限を定める第56条第1項第二号は条文に挙がっていません。
- たとえば、前面道路の反対側の境界線までの水平距離が10メートルで数値が1.25なら、道路斜線制限の限度は12.5メートルです。第2項の建築物にはこの規定が働かず、消防法令の基準は別に判断します。
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目次
高さの制限は高架の工作物内の建築物や道路内の建築物にもそのまま及ぶのか

この条は、二つの項でできています。
第1項が高架の工作物内の建築物、第2項が道路内にある建築物を扱っています。
2 道路内にある建築物(高架の道路の路面下に設けるものを除く。)については、第五十六条第一項第一号及び第二項から第四項までの規定は、適用しない。
第1項は、条件つきで前三条の規定を外します。
第2項は、道路斜線制限に関わる規定を外します。
「適用しない」ので、許可の範囲内で限度を超えるのとは、考え方が違います。
前三条は、条文の並びで第55条、第56条、第56条の2に当たります。
高架の中や道路の中では、高さの制限が外れることがあるのですね。
第1項は、どんな建築物が対象でしょうか。
第1項には、高架の工作物内に設ける建築物とあります。
次に、条文を詳しく見ていきましょう。
高架の工作物内に設ける建築物はどんな場合に前三条の適用を受けないのか

前三条の中身も、あわせて確認しておきましょう。
条件は、特定行政庁が支障がないと認めることです。
認める視点は、交通上、安全上、防火上及び衛生上の四つです。
条文は「許可」ではなく、「認めるもの」と書いています。
第55条は低層住居専用地域などの高さの限度、第56条は道路斜線・隣地斜線・北側斜線、第56条の2は日影による高さの制限を定めています。
「高架の工作物」に当たるかどうかは、特定行政庁などへの確認が欠かせません。
認められれば、高さの制限を気にしなくてよいのですね。
道路の中の建築物は、どうなっていますか。
道路内は、第2項が定めています。
第44条との関係も含めて、確認していきましょう。
道路内にある建築物はなぜ道路斜線制限などを受けないのか

対象になる規定と、除かれる建築物を、条文で確認しましょう。
第56条第1項第一号は、前面道路の反対側の境界線からの距離に応じて高さを制限する道路斜線制限です。
第2項から第4項までは、前面道路から後退した場合や、幅員が十二メートル以上の場合の読み方を定めています。
条文は、規定を外す理由までは書いていません。
道路内の建築物は、第44条第1項が原則として建築を禁じ、ただし書で例外を定めています。
高架の道路の路面下に設けるものは、この項の対象から除かれています。
道路斜線制限が外れても、ほかの高さの制限はかかるのでしょうか。
隣地斜線制限は、どうですか。
第2項に挙がっているのは、第56条第1項第一号などだけです。
次に、二つの項の違いを整理しましょう。
第1項と第2項の適用除外はどこが違い何が残るのか

条文を、確認しておきましょう。
一 別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
外れる規定と条件の違いを、表にまとめます。
| 項目 | 第1項 | 第2項 |
|---|---|---|
| 対象 | 高架の工作物内に設ける建築物 | 道路内にある建築物(高架の道路の路面下に設けるものを除く) |
| 適用しない規定 | 前三条(第55条、第56条、第56条の2) | 第56条第1項第一号と第2項から第4項まで |
| 条件 | 特定行政庁が支障がないと認めるものであること | 条文に条件の書きぶりはない |
| 条文に挙がらない規定 | 前三条以外の規定 | 第56条第1項第二号・第三号など |
限度は、前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、別表第三(に)欄の数値を乗じた高さです。
水平距離が10メートル、数値が1.25と仮定すると、10×1.25=12.5メートルです。
第2項の対象になる道路内の建築物には、この規定が適用されません。
数値は区分ごとに異なるため、読み方の例です。
外れる規定が、項ごとに違うんですね。
防火管理者は、なにを確認したらよいでしょうか。
高さの制限は建築基準法の話ですが、増築や改修のときに関係します。
確認したい点を、五つにまとめます。
増築や改修を考えるとき防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

防火管理者の義務を、直接に決めるものではありません。
ただし、増築や改修を考えるときには、関係する場面があります。 第57条の適用除外は建築基準法の高さの制限の話であり、消防法令の基準を緩めるものではありません
高さの制限が外れる建築物でも、消防用設備等の設置基準は別に判断します。
判断に迷うときは、所轄消防署への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物が高架の工作物内か道路内かを、確認済証や図面などの書類で確認して記録する。
- 高架の工作物内の建築物なら、特定行政庁が認めた内容を示す書類の有無を確かめ、内容を控えておく。
- 道路内の建築物なら、第44条第1項ただし書の各号のどれに当たるかを、書類で確認する。
- 増築や改修で、高架や道路との関係が変わらないかを、建築の窓口である特定行政庁と建築士に事前に相談する。
- 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
高さの制限の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
高架か道路かと、認められた内容を、まず確認します。
増築の前に、両方の窓口へ相談してみます。
状況が分かれば、改修のときの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
高架か道路かと、認められた内容を、確認しておく必要があるんですね。
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認められた内容が分かれば、増築や改修の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第五十七条・第五十六条・第四十四条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。高架の工作物内の建築物に当たるかどうかの判断や道路内の建築物の扱いは特定行政庁ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





