お住まいの地域には、自治会などが作る自主防災組織があります。
では、防火管理者を置いている施設や事業所は、その組織とは別に、自主防災組織を新たに作る必要があるのでしょうか。
昭和48年に消防庁次長が出した通知は、自主防災組織の整備促進を市町村に指導するよう求め、施設の扱いにも触れています。
この記事では、その通知の内容と、現在の法令での読み方を整理します。
うちは防火管理者を置いていますが、地域の自主防災組織とは何が違うのですか。
通知は、地域と施設を分けて書いています。
まずは通知の中身を順番に見ていきましょう。
施設は自主防災組織を別に作らないといけないのですか。
通知の第5項が、防火管理者を置く施設の扱いを書いています。
くわしく見ていきます。
- 昭和48年6月30日の消防庁次長通知(消防災第58号)は、自主防災組織の整備促進を市町村に指導するよう、各都道府県知事に求めたものです。
- 自主防災組織とは、住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織のことで、現行の災害対策基本法第2条の2第2号が定義しています。
- 通知は、地域の防災活動と施設の防災活動が一体となるのが望ましい場合、共同して設けるか協議会を設けることが考えられるとしています。
- 法令等により防火管理者を置き、消防計画を作成し、自衛消防隊等を設置している施設は、新たに自主防災組織を設ける必要はなく、現在の消防体制に地震対策等を考慮して充実強化を図ることが望まれるとされています。
- 通知の名宛ては各都道府県知事で、事業所への義務は書かれていません。事業所の義務は、消防法第8条などの法令で確認します。
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目次
自主防災組織の整備促進はなぜ消防庁から通知されたのか

冒頭の一段落を確認します。
冒頭には、市町村が自主防災組織の整備に努力中であることと、設立の参考にする手引書を作成したことが書かれています。
通知の文面には、特定の災害や事故の名前は書かれていません。
手引書を作った趣旨として、住民が地震等の災害対策のため設立する場合の参考に供すると書かれています。
現行の災害対策基本法では、通知が引く第5条の文言が、第2条の2第2号の定義と第5条第2項に分かれて書かれています。
通知が出たのは、何か大きな災害があったからなのですか。
通知の文面には、特定の災害名は書かれていません。
書かれている範囲だけで読みましょう。
この通知がいう自主防災組織とはどんな組織なのか

現行の災害対策基本法の定義と合わせて確認します。
現行の災害対策基本法は、自主防災組織を「住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織」と定義しています。
通知の第2項は、手引書が地震による被害の防止または軽減を直接の目的にしていると書いています。
そのうえで、地震以外の災害にも活用が期待されるとしています。
つまり、地震を直接の目的としつつ、火災や風水害にも活用が期待された組織です。
自主防災組織は、誰が作るものなのですか。
通知は、住民が設立しようとする場合の参考としています。
設立の主体は住民と読めます。
通知は自主防災組織の整備についてどんな方向を示したのか

このうち、地域と施設の関係を書いた第3項と第4項を確認します。
第1項は、手引書が組織の一例であり、地域の実情にあつた整備が望まれると書いています。
第3項は、地域の防災活動と施設の防災活動が一体となるのが望ましい場合の選択肢として、共同で設けることと協議会を挙げています。
第4項は、すでに消防活動等を目的とした組織があるなら、それを育成整備することが適当としています。
新しい組織を一から作ることだけが答えではない、と読める項目です。
地域にすでに消防活動の組織があれば、どうなるのですか。
第4項は、それを育成整備することが適当としています。
新しく作り直す前に、既存の組織を確認しましょう。
防火管理者を置く施設は自主防災組織を新たに作らなくてよいのか

通知の原文と、消防法の条文を並べて確認します。
ただし通知は、現在の消防体制に地震対策等を考慮した充実強化が望まれるとも書いています。
つまり「何もしなくてよい」ではなく、既存の防火管理体制を、地震等も考えて強めることが望まれている書き方です。
この前提になるのは、法令等により防火管理者等を置いている施設です。
消防法第8条第1項は、多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものについて、管理について権原を有する者に防火管理者を定めさせています。
一方、消防法第8条の2の5が定める自衛消防組織を置く義務は、大規模な防火対象物として政令で定めるものが対象です。
通知は「自衛消防隊等」と書いており、この条文の自衛消防組織との対応関係までは通知に書かれていません。
自施設が防火管理者を定める対象かどうかは、所轄消防署で確認しましょう。
防火管理者を置いていれば、地域の自主防災組織には何も関わらなくてよいのですか。
通知が望むのは、現在の消防体制の充実強化です。
関わりを禁じる文言は通知にありません。
事業所は明日から何を確認すればよいのか

施設側の備えの確認に使うなら、現在の消防庁の資料と合わせて読みます。
確認したいのは、防火管理体制・地震への備え・地域との連絡の3点です。
1点目は、防火管理者の選任と消防計画、消火・通報・避難の訓練が回っているかです。
2点目は、通知が望むとおり、現在の消防体制に地震等の災害を考慮した見直しの余地がないかです。
3点目は、地域の自主防災組織の有無を確かめ、あれば連絡先を把握しているかです。
手引の記述は、自主防災組織の側が事業所と協定を結ぶことを想定した書き方で、事業所に協力の義務があるとは書かれていません。
地域の組織とは、どう連絡を取ればよいのでしょうか。
まず市町村の防災担当や自治会に、組織があるか聞いてみましょう。
連絡先を把握するところから始まります。
よくある質問
まとめ
消防計画の見直しと、地域の連絡先の把握から始めます!
地域との連携も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 自主防災組織の整備促進について(昭和48年6月30日 消防災第58号 消防庁次長)
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条の2第2号・第5条第2項
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条第1項・第8条の2の5第1項
- 自主防災組織の手引(消防庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





