再開発が進む地区計画の区域では、用途地域ごとの用途制限に対する特例許可の理由が、地区計画の内容に沿う形に読み替えられることがあります。
用途地域の用途制限は、原則として別表第二で決まり、ただし書の許可で例外を認めるのが基本の形です。
建築基準法第68条の3第6項から第9項は、その許可の理由に、地区計画において定められた土地利用に関する基本方針に適合することを加える読み替えや、第48条の規定の適用除外を定めています。
決め手になるのは、どの計画の区域か、どの項の規定か、そして地区整備計画が定められているかです。
今回は建築基準法第68条の3第6項から第9項が定める、第48条の用途制限の読み替えと適用除外について、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
地区計画の区域では、用途の制限が読み替えられると聞きました。
何が変わるのでしょうか。
変わるのは、特例許可の理由の書きぶりです。
まず、第6項から見ていきましょう。
用途の制限は、どの条文に書かれているのですか。
特例許可の話ですよね。
用途地域ごとの制限と許可は、建築基準法第48条に書かれています。
順に確認していきますね。
- 第6項は、再開発等促進区又は沿道再開発等促進区内の建築物について、第48条第1項から第13項までのただし書の許可の理由に、地区計画の基本方針に適合し業務の利便の増進上やむを得ない場合を加える読み替えを定めています。
- 第7項は、開発整備促進区の別表第二(か)項の建築物のうち、地区整備計画に適合し、特定行政庁が支障がないと認めるものに、第48条第6項・第7項・第12項・第14項を適用しないと定めています。
- 第8項は、開発整備促進区内の第7項以外の建築物について、同じ四つの項を商業その他の業務の利便の増進上という理由を加える形で読み替えます。
- 第9項は、歴史的風致維持向上地区計画の区域で、第48条第1項から第13項までの許可の理由に歴史的風致の維持及び向上を図る上でやむを得ない場合を加えます。
- これらは建築基準法の用途制限の話で、消防法令の基準を緩めるものではありません。
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目次
再開発等促進区の建築物にはなぜ用途制限の許可の理由が読み替えられるのか

まず、条文を確認しましょう。
読み替えの後は、特定行政庁が公益上やむを得ないと認めるか、地区計画又は沿道地区計画において定められた土地利用に関する基本方針に適合し、かつ、当該区域における業務の利便の増進上やむを得ないと認めるかのどちらかで、許可ができる書きぶりになります。
第12項(工業地域)だけは、「工業の利便上又は公益上必要」の部分が、同じ趣旨の文言に読み替えられます。
条文は、第48条の規定そのものを外すのではなく、ただし書の許可の理由の書きぶりを読み替える形です。 第48条のただし書許可には、第15項の手続が定められています。
特定行政庁は、利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、かつ、建築審査会の同意を得なければならないと書かれています。
第6項には、この手続を外す書きぶりはありません。
適用を外すのではなく、読み替えるのですね。
次の第7項は、どう違いますか。
第7項は、読み替えではなく適用除外です。
対象が限られていますので、確認します。
開発整備促進区の別表第二(か)項の建築物にはなぜ第48条の規定が適用されないことがあるのか

条文を、確認しておきましょう。
対象を絞る条件は、区域、建築物の種類、地区整備計画への適合、特定行政庁の認定の四つが重なっていることです。
別表第二(か)項は、用途地域の指定のない区域内に建築してはならない建築物を定める項で、劇場、映画館、店舗、飲食店、展示場などの用途に供する部分の床面積の合計が1万平方メートルを超えるものなどが挙がっています。
第48条第6項・第7項・第12項・第14項は、条文の文言で、それぞれ第二種住居地域、準住居地域、工業地域、用途地域の指定のない区域について定める項です。 仮の例で、読み方を確かめます。
店舗の用途に供する部分の床面積の合計が2万平方メートルの建築物があったとします。
1万平方メートルを超えますから、別表第二(か)項に当たり得ます。
ただし、政令で定める用途に当たるかどうかや、地区整備計画の内容は、条文だけでは決まりません。
数値は、あくまで読み方の例です。
対象は、かなり絞られているのですね。
開発整備促進区のほかの建築物は、どうなりますか。
第8項に、その場合の定めがあります。
ここは読み替えになります。
開発整備促進区のそれ以外の建築物にはなぜ商業その他の業務の利便の増進上という理由が加わるのか

条文を、確認しておきましょう。
第7項が「適用しない」であるのに対し、第8項は読み替えです。
読み替えの対象になるのは、第6項・第7項・第12項・第14項の四つです。第6項の再開発等促進区の読み替えと違い、第1項から第5項、第8項から第11項、第13項は対象に入っていません。
理由に加わる言葉が、第6項では「業務の利便の増進上」、第8項では商業その他の業務の利便の増進上となっている点にも注意が必要です。
第7項は適用しない、第8項は読み替えなのですね。
歴史的な街並みの地区は、どうでしょうか。
歴史的風致維持向上地区計画は、第9項が定めています。
加わる理由が全く違います。
歴史的風致維持向上地区計画の区域ではなぜ歴史的風致の維持及び向上が許可の理由になるのか

条文を、確認しておきましょう。
対象の条項は、第6項と同じ、第48条第1項から第13項までです。
加わる理由は、業務の利便の増進ではなく、地域歴史的風致法第1条に規定する歴史的風致の維持及び向上を図る上でやむを得ないことです。
第14項は、第9項の読み替えの対象に入っていません。
計画の種類によって、加わる理由が違うのですね。
四つの項の違いを、整理したいです。
一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて防火管理者の確認事項も見ておきます。
第6項から第9項の読み替えはなぜ計画の種類ごとに理由の書きぶりが違うのか

違いは、計画の種類、対象の建築物、加わる理由です。
| 項 | 計画の区域 | 対象の建築物 | 第48条の扱い | 加わる理由 |
|---|---|---|---|---|
| 第6項 | 地区計画・沿道地区計画の再開発等促進区、沿道再開発等促進区 | 区域内の建築物 | 第1項から第13項までを読み替え | 業務の利便の増進上やむを得ない |
| 第7項 | 地区計画の開発整備促進区(地区整備計画が定められ、都市計画法第12条の12の土地の区域) | 別表第二(か)項の建築物のうち、地区整備計画に適合し支障がないと認められるもの | 第6項・第7項・第12項・第14項を適用しない | 読み替えではなく適用除外 |
| 第8項 | 地区計画の開発整備促進区(地区整備計画が定められている区域) | 第7項の建築物を除く建築物 | 第6項・第7項・第12項・第14項を読み替え | 商業その他の業務の利便の増進上やむを得ない |
| 第9項 | 歴史的風致維持向上地区計画(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域) | 区域内の建築物 | 第1項から第13項までを読み替え | 歴史的風致の維持及び向上を図る上でやむを得ない |
共通するのは、地区計画において定められた土地利用に関する基本方針への適合が、読み替え後の理由の柱になっていることです。
第48条のただし書許可の手続を定める第15項は、これらの項の読み替えの対象には含まれていません。 これらは建築基準法の用途制限の話で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、該当する区域で建物を借りたり、テナントの用途を変えたりするときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、市区町村の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物のある区域が、地区計画の再開発等促進区、開発整備促進区、歴史的風致維持向上地区計画の区域に当たるかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
- テナントの入れ替えや用途変更の話が出たら、その用途が特例許可の対象に関わらないかを、建築の窓口に照会しておく。
- 特例許可を受けた建物では、許可を受けた用途や規模を、許可書の写しなどで確かめておく。
- 用途が変わることで、消防用設備等の基準が変わる場合があるため、所轄消防署へ事前に相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
区域の種類と、許可の内容を、まず確認します。
用途の変更の話が出たら、両方の窓口に相談します。
状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
区域の種類と、許可の内容を、確認しておく必要があるんですね。
この記事の内容を管理者にも共有します!
区域の種類と許可の内容が分かれば、用途の変更や入居の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条の三・第四十八条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の種類と許可の内容は特定行政庁と地区計画ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





