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林野火災注意報と林野火災警報は何が違うのか|発令の目安とたき火の届出・火入れの許可を消防庁の通知で解説

山林の近くで火を使う日に林野火災注意報と警報は何が違うのかを解説する記事のアイキャッチ画像。乾いた山の斜面と麓の工場や家の写真

春先に山や森のそばで火を使うとき、「林野火災注意報」や「林野火災警報」という言葉を耳にすることがあります。
では、この2つは何が違い、火を使う側は何を守ればよいのでしょうか。
消防庁の通知は、注意報と警報の二段階で林野火災を防ぐ考え方を示しています。
この記事では、通知の中身と、事業所が確認したい点を整理します。

山や森が近い事業所ですが、火の使い方に何か決まりはあるのでしょうか。

消防庁は、林野火災を防ぐ仕組みとして林野火災注意報と林野火災警報を通知で示しています。
まずは二つの違いから見ていきましょう。

注意報と警報は、名前が似ていて違いがよく分かりません。

大きな違いは、火の使用制限が努力義務なのか、条例に従う義務なのかです。
くわしく見ていきます。

この記事の結論
  • 消防庁の通知は、林野火災の予防に林野火災注意報と林野火災警報の二段階の仕組みを示しています。
  • 注意報は、強い制限や罰則を伴わずに注意を呼びかけ、林野周辺で火の使用制限の努力義務を課す仕組みです。
  • 警報は消防法第22条の火災警報のうち、林野火災の予防を目的とするもので、発令中は市町村条例で定める火の使用の制限に従う必要があります。
  • 発令の目安は、注意報が「前3日間の雨が1㎜以下」などの少雨と乾燥、警報はそれに強風注意報が加わった場合という例が示されています。
  • 通知は市町村への助言で、事業所への義務ではありません。火の使用制限の中身は市町村の条例で確認します。

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林野火災注意報では火の使用制限が努力義務、強風注意報が加わる林野火災警報では条例の火の使用制限に従うことを比べた図解

林野火災の予防はなぜ注意報と警報の二段階で進められるのか

乾いた山の斜面の下に、小さな集落の家と学校のような低い建物が並ぶイラスト
この通知は、平成15年10月29日の消防災第206号で最初に出され、その後に改正が重ねられています。
令和8年6月30日改正後の冒頭と、予防対策の考え方を原文で確認します。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)貴重な森林資源を大量に焼失するおそれがあるほか、家屋等への被害、市町村境、都府県境を越えた拡大などが懸念される、林野火災の予防対策や消火活動のあり方等については、下記のとおり取り扱われたいので、御了知の上、貴都道府県内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対して周知するとともに、必要な助言や支援を行っていただきますようお願いします。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)林野火災の発生原因の大半はたき火や火入れといった人為的な要因によるものであるため、林野火災予防の意識を醸成するとともに、こうした行為への対策を講じることが重要である。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)実際に林野火災の予防上危険な気象状況になった際には、段階に応じて、市町村は、強い制限・罰則を伴わない注意喚起等の仕組みである林野火災注意報や、消防法(昭和23年法律第186号)に基づく火災警報のうち、林野火災の予防を目的とした林野火災警報を的確に発令し、防火指導の強化や火の使用制限の徹底等を行う。
林野火災の予防は、気象の危険度に応じて注意報と警報を使い分ける考え方で進められています。
通知は、林野火災が貴重な森林資源の焼失だけでなく、家屋等への被害や市町村境・都府県境を越えた拡大につながると述べています。
そのうえで、発生原因の大半がたき火や火入れといった人の行為だと書いています。
危険な気象になったときは、段階に応じてまず注意報、次に警報を発令し、防火指導や火の使用制限を強めるという流れです。
なお、この通知は消防組織法第37条に基づく助言として出されており、市町村を義務づける形にはなっていません。

山火事の原因は、自然のものが多いのだと思っていました。

通知には、原因の大半はたき火や火入れなどの人為的な要因だと書かれています。
だから火を使う人への対策が中心になります。

林野火災注意報はどんな気象になると出されるのか

細い気象観測用の柱と雨量計が、乾いた茶色い草の斜面のそばに立つイラスト
注意報の発令の目安は、通知に「設定例」として示されています。
発令の指標、期間、権者に分けて、原文で確認します。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)【林野火災注意報の発令指標の設定例】以下の①又は②のいずれかの条件に該当する場合 ① 前3日間の合計降水量が1㎜以下 かつ 前30日間の合計降水量が30㎜以下 ② 前3日間の合計降水量が1㎜以下 かつ 乾燥注意報が発表 ※ 当日に降水が見込まれる場合や積雪がある場合には、発令しないことも可能である。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)林野火災注意報の発令対象期間としては、基本的に1~5月は対象期間とすることとし、それ以外の期間については各地域の気象特性等を踏まえて市町村の判断により対象期間とする。
注意報は、少雨と乾燥が続いたときに、火の使用を控えてもらうために出されます。
発令の目安は、①「前3日間の合計降水量が1㎜以下」かつ「前30日間の合計降水量が30㎜以下」か、②「前3日間の合計降水量が1㎜以下」かつ乾燥注意報が出ている場合です。
ただし、これは設定例で、地域の気象特性に応じて指標を調整することも可能とされています。
対象期間は基本的に1~5月で、それ以外の期間は市町村が判断します。
発令する人は、市町村長が基本です。注意報が出ると、林野周辺の区域で住民等に火の使用制限の努力義務が課されます。

注意報が出たら、火を使ってはいけないということですか。

注意報は、罰則を伴わない努力義務の仕組みです。
火を使うかどうかは、区域と条例を確認して判断します。

林野火災警報になると注意報から何が変わるのか

小さな消防署の塔のサイレンと、強い風で曲がった木と旗が乾いた斜面に並ぶイラスト
警報は、注意報より一段重い仕組みです。
通知の原文と、消防法の条文をあわせて確認します。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)消防法第22条の火災警報のうち、林野火災予防を目的としたものについて、林野火災警報との通称を用いることとし、林野火災の予防上危険な気象状況になった際には、林野火災警報を的確に発令し、林野周辺の区域における火の使用制限を行う。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)【林野火災警報の発令指標の設定例】林野火災注意報の発令指標に加え、強風注意報が発表されている場合
(消防法(昭和23年法律第186号)第22条)市町村長は、前項の通報を受けたとき又は気象の状況が火災の予防上危険であると認めるときは、火災に関する警報を発することができる。 前項の規定による警報が発せられたときは、警報が解除されるまでの間、その市町村の区域内に在る者は、市町村条例で定める火の使用の制限に従わなければならない。
警報は、注意報の指標に強風注意報が加わったときに出す例が示されています。
警報は、消防法第22条の火災警報のうち林野火災の予防を目的としたもので、通称として林野火災警報と呼ばれます。
発令中は、その区域にいる人が市町村条例で定める火の使用の制限に従う必要があります。
消防法第44条第18号は、この制限に違反した者を30万円以下の罰金又は拘留に処すると定めています。
注意報は努力義務、警報は条例に従う義務で、ここが二つの大きな違いです。

強い風が吹く日は、確かに火が広がりそうで怖いです。

だから警報には強風注意報が加わる例が示されています。
制限の中身は、市町村の条例で確認しましょう。

たき火の届出と火入れの許可は注意報や警報とどう関わるのか

小さな石の炉の焚き火と水の入ったバケツ、緑の森の縁で燃える小さな炎と水のバケツが並ぶイラスト
注意報や警報が出ていない日でも、屋外で火を使う行為には別の決まりがあります。
たき火の届出と、火入れの許可を原文で確認します。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)消防法令上、たき火は「火の持つ本来の効用を利用するが、火を使用する設備器具を用いないで、又はこれらの設備器具による場合でもその本来の使用方法によらないで、火をたく形態一般」のことをいい、森林法第21条の許可対象となる火入れを基本的に含む。
(森林法(昭和26年法律第249号)第21条第1項)森林又は森林に接近している政令で定める範囲内にある原野、山岳、荒廃地その他の土地においては、その森林又は土地の所在する市町村の長の許可を受けてその指示するところに従つてでなければ火入れをしてはならない。ただし、国又は地方公共団体が火入れをする場合は、この限りでない。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)林野火災の発生はたき火や火入れによるものが中心となっているが、使用時に火の粉が飛散するおそれのある火気設備等が原因となる場合もある。そのため、こうした火気設備等の使用に当たっては、取扱説明書等に従って適切な方法で使用することや、強風時には使用しないことを徹底することが必要である旨周知する。
たき火の届出と火入れの許可は、注意報や警報とは別に、火を使う前に押さえる決まりです。
通知は、たき火を火災予防条例に基づく届出制度で、火入れを森林法に基づく許可制度で、それぞれ把握して防火指導を行うとしています。
通知によると、消防法令上のたき火は火入れを基本的に含むため、火入れの許可申請をもってたき火の届出があったものとみなす取扱いも考えられるとされています。
森林法第21条は、森林や、通知が示す森林の周囲1キロメートルの範囲内での火入れに、市町村長の許可を求めています。
また、火の粉が飛ぶ火気設備も原因になりうるため、強風時は使わないよう周知するとしています。

注意報が出ていない日なら、山の近くで自由に火を使えますか。

出ていなくても、たき火の届出や火入れの許可が要ることがあります。
市町村の条例と消防本部の案内を確認しましょう。

山や森の近くの事業所は明日から何を確認すればよいのか

森の区域を点線で囲んだ白紙の地図と虫眼鏡、空欄のチェック欄がある白紙のクリップボードのイラスト
通知は、事業所に義務を課すものではありません。
ただ、火を使う立場なら、次の3点を確認しておきたいところです。
(林野火災の予防及び消火活動について(通知) 平成15年10月29日消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防庁防災課長ほか)また、当該区域指定は、たき火の届出制度の対象区域と同一の区域をあらかじめ指定し、林野火災注意報の火の使用制限の努力義務の対象区域として周知しておくことが望ましい。
確認したいのは、市町村の制度・対象区域・強風時の火気設備の扱いの3点です。
1点目は、事業所のある市町村の火災予防条例に、林野火災注意報やたき火の届出の制度があるかです。林野が少ない市町村では、条例に位置付けなくてもよいとされているため、制度がない場合もあります。
2点目は、事業所の敷地が対象区域に入るかどうかです。通知は、区域を届出と注意報でそろえて周知しておくことが望ましいとしています。
3点目は、屋外での焼却やたき火、火の粉が飛ぶ火気設備を、強風の日や注意報・警報の日にどう扱うかを消防計画などで決めておくことです。
通知は、発令の周知をホームページやSNS、防災行政無線、消防車両の巡回などで行うとしているため、受け取り方も決めておきます。

まず何を確認すればよいのでしょうか。

まず、市町村の火災予防条例と消防本部のお知らせを確認しましょう。
対象区域と、火を使う場面を洗い出します。

よくある質問

Q林野火災注意報は、消防法で定められた警報なのですか?
A通知は、注意報を「強い制限・罰則を伴わない注意喚起等の仕組み」と説明し、消防法第22条の火災警報のうち林野火災の予防を目的とするものを林野火災警報と呼んでいます。注意報は警報とは別の仕組みとして書かれています。
Q注意報も警報も出ていなければ、山林の近くでたき火をしてもよいのですか?
A出ていないことが、自由に火を使えるという意味にはなりません。通知は、たき火を届出制度で、火入れを森林法の許可制度でそれぞれ把握するとしています。制度の有無は市町村ごとに違うため、消防本部にご確認ください。
Qこの通知は、事業所に何かを義務づけているのですか?
A通知は、消防組織法第37条に基づいて都道府県へ出された助言で、事業所に義務を課す文言は書かれていません。義務になるのは、警報が出たときの条例の制限や、森林法第21条の許可などの法令側です。
Q自分の市町村に林野火災注意報の制度があるかは、どこで分かりますか?
A通知は、林野がない、または林野の面積や消防力などから広範囲に延焼する危険が低い市町村では、火災予防条例に注意報を位置付けることを必ずしも要しないとしています。事業所のある市町村の火災予防条例と消防本部の案内で確認します。

まとめ

✔消防庁の通知は、林野火災の予防を注意報と警報の二段階で進める考え方を示している
✔林野火災の原因の大半はたき火や火入れなどの人為的な要因である
✔注意報は、罰則を伴わずに火の使用制限の努力義務を呼びかける仕組みである
✔警報は消防法第22条の火災警報で、発令中は市町村条例の火の使用の制限に従う必要がある
✔発令の目安は、注意報が少雨と乾燥、警報がそれに強風注意報を加えた場合という例が示されている
✔たき火は届出制度、火入れは森林法第21条の許可制度で、注意報や警報とは別に確認する
✔事業所は、市町村の火災予防条例に制度と対象区域があるかの確認から始める

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 林野火災の予防及び消火活動について(通知)(平成15年10月29日 消防災第206号、令和8年6月30日改正 消防災第110号・消防広第380号・消防予第302号・消防特第118号 消防庁防災課長・広域応援室長・予防課長・特殊災害室長)
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第22条・第44条
  • 森林法(昭和26年法律第249号)第21条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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