乾燥した風の強い日に、屋外でたき火が続いていたら、消防はどこまで止められるのでしょうか。
消防庁は令和7年10月16日に、違反処理の手引である「違反処理標準マニュアル」を改正しました。
改正では、屋外の火入れ・たき火に対する禁止等措置命令の流れが、フローチャートとして追加されています。
この記事では、その改正の中身と、事業所が確認しておく点を解説します。
うちの敷地で、廃材や落ち葉を燃やすことがあります。
消防に止められることはあるのでしょうか。
あります。
消防吏員は、火災の予防に危険と認める屋外の行為に禁止を命じることができます。
命令が出るのは、どんなときなのでしょうか。
周囲の事情から具体的な火災危険性が認められるときです。
林野火災警報は、その判断の指標になります。
- 令和7年10月16日の消防予第470号は、違反処理標準マニュアルを改正した通知で、屋外の火入れ・たき火への禁止等措置命令のフローチャートを追加しました。
- 屋外でたき火を現認したら、気温・湿度・風速・人家・可燃物などを見て、具体的な火災危険性が認められるときに消防法第3条第1項の命令を行うとされています。
- 林野火災警報は、禁止等措置命令を発令するための判断要素の1つで、具体的な火災危険の重要な指標と位置づけられました。
- 火災警報の発令中は、命令の要件を満たすかどうかに関わらず、市町村条例の火の使用制限に違反している場合があると示されています。
- 命令の履行期限は原則即時で、従わなかった者には30万円以下の罰金又は拘留が定められています。
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目次
屋外のたき火への命令の手順はなぜ改めて示されたのか

見直しのきっかけとして、令和7年8月の検討会報告書が挙げられています。
通知は、消防庁予防課長から都道府県の消防防災主管部長や東京消防庁・指定都市の消防長へ出されました。
改正の概要は3点で、禁止等措置命令のフローチャート追加と、林野火災に関する事例の追加と、拘禁刑の創設に伴う罰則の記述整備です。
通知は、消防組織法第37条に基づく助言として出されたものです。
命令を出すのは消防ですが、その考え方を知っておけば、事業所側も何を避けるべきかが見えてきます。
マニュアルというのは、消防の内部の手引なのですね。
そうです。
違反処理の標準的な進め方を示したもので、全国の消防が参考にします。
どんな屋外の行為が消防法第3条第1項の命令の対象になるのか

条文は、火を使う行為と、火が残った状態の両方を対象にしています。
消防長(略)、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者(略)に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
1 火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備
2 残火、取灰又は火粉の始末(3・4は略)
命令を出せるのは、消防長、消防署長その他の消防吏員です。
マニュアルは、火入れやたき火のほかに、火遊びや喫煙、火を使う器具の使用など、これらに類する行為も含まれると注記しています。
措置の内容は、禁止と停止と制限のほか、行う場合の消火準備までを含みます。
「やめさせる」だけでなく、「続けるなら消火の備えをさせる」という命令もあり得るということです。
落ち葉を燃やすのも、たき火に当たるのでしょうか。
火を使って燃やす行為ですので、たき火に当たると考えて対応しましょう。
個別の扱いは所轄消防署でも確かめてください。
消防吏員は何を見て禁止の命令を出すのか

見るのは、気温、湿度、風速、人家、可燃物といった周囲の事情です。
流れは、屋外で行為を現認し、周囲の事情から危険性を判断し、認められれば命令、認められなければ命令要件非該当となります。
通知は、林野火災警報の発令を、命令を出すための判断要素の1つと位置づけています。
マニュアルの事例には、林野火災警報の発令中を含む危険な気象環境下で、たき火が周囲の林野に燃え移るおそれがあるものが挙がっています。
たき火の炎が木造家屋の壁に接して、その部分が炭化しているものも、禁止を命じる事例です。
| 場面 | マニュアルの整理 |
|---|---|
| 周囲の林野へ燃え移るおそれのあるたき火 | 危険な気象環境下(林野火災警報の発令中を含む)での事例として、行為の禁止を命じる |
| 炎が木造家屋の壁に接し炭化しているたき火 | たき火の禁止を命じる事例 |
| どんど焼き後の後始末が不完全なまま立ち去ったもの | 残火の始末を命じる事例 |
警報が出ていなければ、たき火をしても大丈夫ということですか。
そうとは限りません。
警報は判断要素の1つで、周囲の事情次第で命令の対象になります。
警報の発令中や火災の危険が切迫しているときはどう扱われるのか

危険が差し迫った場合の考え方も、あわせて示されています。
前項の規定による警報が発せられたときは、警報が解除されるまでの間、その市町村の区域内に在る者は、市町村条例で定める火の使用の制限に従わなければならない。
次のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は拘留に処する。
1 第3条第1項の規定による命令に従わなかつた者(2以下は略)
警報の発令中は、命令の要件を満たすかどうかに関わらず、条例の火の使用制限に違反している場合があります。
一方で、警報が出ていなくても、周囲の事情から具体的な危険が認められれば、法第3条第1項の命令の対象になります。
命令に従わなかった場合の罰則は、30万円以下の罰金又は拘留です。
改正で拘禁刑の記述が整備されたのは罰則規定全般のことで、この命令違反の罰則は罰金又は拘留と条文にあります。
命令が口頭で出たら、それで終わりなのでしょうか。
いいえ。
マニュアルは、口頭で命じたときも事後に命令書を交付し、受領書を求めるとしています。
事業所は屋外の火の扱いについて明日からなにを確認すればよいのか

次に、その場所の周りに燃えやすい物がないかを見ます。
命令を受けてから準備する余裕は、あまりないと考えておく必要があります。
マニュアルの事例には、どんど焼きの後、後始末が不完全なままその場を離れたものがあります。
火を使うときは、終わりまで見届けて、残火を始末するところまでが一連の作業です。
次の5点を、自分の事業所に当てはめて確認してみてください。
- 敷地内で、たき火や廃材・落ち葉の焼却をしていないかを洗い出す
- 行事などで火を使う予定があれば、所轄消防署へ事前に相談する
- 市町村の火災警報の発令状況を、火を使う前に確認する
- 風が強く乾燥している日は、火の使用を見合わせることを社内ルールにする
- 火を使ったあとは、残火と取灰を最後まで確認して始末する
風が強い日は、火を使わないと決めておけばよいのですね。
はい。
警報の有無にかかわらず、周囲の事情を見て判断する習慣をつけてください。
よくある質問
まとめ
屋外の火の扱いを、社内で見直してみます!
火気の管理も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「「違反処理標準マニュアル」の改正について(通知)」(令和7年10月16日 消防予第470号 消防庁予防課長)および別添「違反処理標準マニュアル」
- 消防法(昭和23年法律第186号)第3条・第22条・第44条 e-Gov法令検索
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





