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飲食店のこんろの安全装置は消火器具の設置義務にどう関わるのか|消防予第247号が示す防火上有効な措置を解説

飲食店のこんろの安全装置と消火器具の関係を解説する記事のアイキャッチ画像。厨房のガスこんろと壁の消火器が写る写真

飲食店の厨房には、こんろなど火を使う調理設備が並んでいます。
平成30年の政令改正で、火を使う飲食店には、延べ面積にかかわらず消火器具の設置義務が課されました。
ただし、こんろに防火上有効な措置が講じられていれば、この義務の対象から外れます。
この記事では、消防庁の運用通知が示す「防火上有効な措置」の中身を整理します。

うちの店の消火器の義務は、こんろの状況で変わるのでしょうか。

火を使う調理設備があれば、面積を問わず対象になり得ます。
ただし、安全装置がある場合の扱いを確認しましょう。

こんろに安全装置が付いていれば、消火器は要らなくなるのでしょうか。

どんな装置が防火上有効な措置と認められるかは、通知に書かれています。
順に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 消防庁の通知(消防予第247号)は、飲食店等の消火器具の設置範囲を広げた改正令の運用を整理したものです。
  • 対象は、業として飲食物を提供するために調理する、火を使用する設備・器具です。
  • 防火上有効な措置は、調理油過熱防止装置・自動消火装置・圧力感知安全装置などで、立ち消え防止安全装置は含まれないとされています。
  • 新たに義務が課された延べ面積150㎡未満の店は、能力単位の加算がなく、火を使う階に配置します。
  • 通知は、調理油の火災に有効な粉末消火器又は強化液消火器の設置を指導するよう求めています。

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飲食店の火を使う調理設備に防火上有効な措置があるかを確認し、消火器具を設置する流れを示した図解

飲食店の消火器具に関する通知はなぜ出されたのか

小さな飲食店の建物の横に、赤い消火器と2通の白紙の書類が置かれたイラスト
この通知は、政令改正の公布通知と同じ日に出されています。
まず、公布通知が改正の理由をどう書いているかを原文で確認します。
(消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について 平成30年3月28日消防予第246号 消防庁次長)今回の改正は、糸魚川市大規模火災の事例等に鑑み、飲食店等について、消火器具を設置しなければならない施設の範囲を拡大するとともに、消火器具の設置及び維持に関する技術上の基準の整備を行うものです。
(消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について 平成30年3月28日消防予第246号 消防庁次長)平成31年10月1日から施行することとしたこと(改正令附則及び改正規則附則関係)。(略)今回の改正令等の運用については、別途通知する予定であること。
(消防法施行令(昭和36年政令第37号)第10条第1項)消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。)は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。一 次に掲げる防火対象物(略)ロ 別表第一(三)項に掲げる防火対象物で、火を使用する設備又は器具(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)を設けたもの 二 次に掲げる防火対象物で、延べ面積が百五十平方メートル以上のもの(略)ロ 別表第一(三)項に掲げる防火対象物(前号ロに掲げるものを除く。)
この通知は、改正令と改正規則の運用にあたって留意する事項を整理したものです。
公布を知らせる消防予第246号は、改正の理由として糸魚川市大規模火災の事例等を挙げています。
その246号に「運用については別途通知する予定」と書かれており、それに当たるのが今回の消防予第247号です。
改正の施行は平成31年10月1日とされています。
なお、247号は消防組織法第37条の規定に基づく助言であることが、本文に書かれています。

公布の通知と運用の通知が、同じ日に別々に出ているのですね。

公布通知の側に「運用は別途通知する」と書かれていました。
次は、通知が言う火を使用する設備又は器具の範囲を確認しましょう。

通知がいう「火を使用する設備又は器具」とはどこまでを指すのか

ガスこんろの上の鍋に炎が上がり、その横に炎の出ない電気調理台が並ぶイラスト
令第10条第1項第1号ロの「火を使用する設備又は器具」は、条文だけでは範囲が読み取りにくい言葉です。
通知が示している解釈を原文で確認します。
(消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知) 平成30年3月28日消防予第247号 消防庁予防課長)令第10条第1項第1号ロに規定する「火を使用する設備又は器具(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)を設けたもの」とは、業として飲食物を提供するため、当該飲食物の調理を目的として、消防法(昭和23年法律第186号)第9条に規定する「火を使用する設備」又は「火を使用する器具」(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)を設けたものをいうものであること。なお、火を使用する設備又は器具に、同条に規定する「その使用に際し、火災の発生のおそれのある設備」又は「その使用に際し、火災の発生のおそれのある器具」は含まれないものであること。
(消防法(昭和23年法律第186号)第9条)かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。
対象になるのは、飲食物を業として提供するために調理する設備・器具です。
通知は、業として飲食物を提供すること、その飲食物の調理を目的とすること、を条件のように書いています。
根拠になるのは消防法第9条の「火を使用する設備」と「火を使用する器具」で、防火上有効な措置が講じられたものは除かれます。
いっぽう、同条の「その使用に際し、火災の発生のおそれのある設備」と「…器具」は含まれないと通知は明記しています。
個別の機器がどちらに当たるかは、通知だけでは判断できないので、所轄消防署に図面や機器の一覧を見せて確認するのが確実です。

うちの店のこんろは、この対象に入るのでしょうか。

通知は、飲食物の調理を目的とする設備・器具と説明しています。
次は、措置と認められる装置の中身を確認しましょう。

防火上有効な措置と認められる装置はどれなのか

こんろの鍋に温度センサーが付き、横にカセットボンベと消火薬剤の筒が並ぶイラスト
令は、防火上有効な措置の中身を総務省令に委ねています。
通知は、その措置にあたる装置を具体的に説明しています。
(消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知) 平成30年3月28日消防予第247号 消防庁予防課長)「防火上有効な措置」とは、次に掲げる装置を設けることをいうものであること。ア 「調理油過熱防止装置」とは、鍋等の温度の過度な上昇を感知して自動的にガスの供給を停止し、火を消す装置をいうものであること。イ 「自動消火装置」とは、(略)火を使用する設備又は器具を防護対象物(自動消火装置によって消火すべき対象物をいう。)とし、当該部分の火災を自動的に感知し、消火薬剤を放出して火を消す装置をいうものであること。ウ 「その他の危険な状態の発生を防止するとともに、発生時における被害を軽減する安全機能を有する装置」には、過熱等によるカセットボンベ内の圧力の上昇を感知し、自動的にカセットボンベからカセットコンロ本体へのガスの供給を停止することにより、火を消す装置である圧力感知安全装置等をいうものであること。なお、鍋等からの吹きこぼれにより火が消えた場合に、ガスの供給を停止してガス漏れを防止する立ち消え防止安全装置については、「その他の危険な状態の発生を防止するとともに、発生時における被害を軽減する安全機能を有する装置」に該当しないものであること。
(消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第5条の4)令第十条第一項第一号ロの防火上有効な措置として総務省令で定める措置は、調理油過熱防止装置、自動消火装置又はその他の危険な状態の発生を防止するとともに、発生時における被害を軽減する安全機能を有する装置を設けることをいうものとする。
通知が示す装置は、調理油過熱防止装置・自動消火装置・圧力感知安全装置などです。
調理油過熱防止装置は、鍋等の温度が過度に上がったことを感知して、自動でガスの供給を止める装置です。
自動消火装置は、火を使う設備や器具を守る対象にして、火災を自動で感知し、消火薬剤を放出して火を消す装置です。
カセットコンロでは、過熱によるボンベ内の圧力上昇を感知してガスを止める圧力感知安全装置等が挙がっています。
いっぽう、吹きこぼれで火が消えたときにガス漏れを防ぐ立ち消え防止安全装置は、この措置に該当しないと通知は明記しています。 なお、通知は条番号を規則第5条の2と書いていますが、現行の規則で同じ内容が置かれているのは第5条の4です。
条番号は改正で動くことがあるので、確認するときは現行の条文を見るようにします。

吹きこぼれで火が消えたときにガスを止める装置は、その措置に入りますか。

通知は、立ち消え防止安全装置は該当しないと明記しています。
次は、消火器具の数と置き場所を確認しましょう。

延べ面積150平方メートル未満の店では消火器具の数と置き場所はどうなるのか

二階建ての飲食店の断面図で、一階の厨房にだけ消火器が置かれたイラスト
今回の改正で新たに消火器具の設置義務が課されたのは、延べ面積150平方メートル未満の店のうち、火を使う設備がある店です。
通知は、その店の消火器具の数と置き場所について整理しています。
(消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知) 平成30年3月28日消防予第247号 消防庁予防課長)延べ面積150㎡未満の令別表第1(3)項に掲げる防火対象物又はその部分のうち、少量危険物若しくは指定可燃物を貯蔵し、若しくは取扱う防火対象物又は地階、無窓階若しくは3階以上の階であって、床面積が50㎡以上のものに対しては、改正前と同様の基準が適用されることとしたこと。(2)延べ面積150㎡未満の令別表第1(3)項に掲げる防火対象物のうち、今回の改正により新たに消火器具の設置義務が課せられる防火対象物に対しては、規則第6条第5項の規定により、能力単位の合計数の加算を行わないこととし、また、同条第6項第2号の規定により、火を使用する設備又は器具(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)が設けられた階にのみ配置すれば足りることとしたこと。
(消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第6条第5項・第6項)(第5項)ただし、令第十条第一項第一号ロに掲げる防火対象物であつて、延べ面積が百五十平方メートル未満のもの(以下次項第二号において「小規模特定飲食店等」という。)にあつては、次の各号に掲げる防火対象物又はその部分を除き、この限りでない。一 少量危険物又は指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物 二 地階、無窓階又は三階以上の階であつて、床面積が五十平方メートル以上の階(略)二 第一項に規定するもの(小規模特定飲食店等(前項第一号に掲げるものを除く。)に設置するものに限る。)令第十条第一項第一号ロに掲げる火を使用する設備又は器具が設けられている階(小規模特定飲食店等に、前項第二号に掲げる階が存する場合は、当該階を含む。)ごとに、当該防火対象物の各部分
数と置き場所に特例があります。
対象は、令別表第一(3)項の延べ面積150㎡未満の店のうち、今回新たに消火器具の設置義務が課された店です。
通知は、こうした店には規則第6条第5項で能力単位の合計数の加算を行わないと説明しています。
置き場所は、規則第6条第6項第2号で、火を使う設備・器具がある階にのみ配置すれば足りると説明されています。
少量危険物や指定可燃物を扱う店、地階・無窓階・3階以上で床面積50㎡以上の階は、従前と同じ基準が適用されると通知は述べています。

小さな店でも、フロアごとに消火器を置く必要があるのですか。

新たに義務が課された店は、火を使う設備がある階にのみ配置すれば足りるとされています。
最後に、明日から確認することを整理しましょう。

明日から何を確認すればよいのか

空欄のチェック欄がある白紙のクリップボードと、こんろの横の消火器が並ぶイラスト
通知は消防機関に向けた助言ですが、店の側にも参考になる記述があります。
最後の項目を原文で確認します。
(消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知) 平成30年3月28日消防予第247号 消防庁予防課長)(1)飲食店等においては、調理油の過熱により火災が発生することも想定されることから、このような火災に対しても有効に消火可能な粉末消火器又は強化液消火器を設置するよう指導すること。(2)飲食店等においては、初期消火対策はもとより出火防止対策を講じることも重要であることから、今回の政令改正に伴う指導等の機会を捉えて、「厨房における火災予防の広報用映像の制作・送付について」(平成29年12月1日付け消防予第362号)により送付した「厨房における火災予防の広報用映像」及び「厨房における火災予防のチェックリスト」を活用し、飲食店等における火災予防の促進を図ること。
確認したいのは、装置の種類・消火器の種類と置き場所・出火防止の3点です。
1点目は、店のこんろに付いている装置が、調理油過熱防止装置・自動消火装置・圧力感知安全装置のどれに当たるかです。
装置の種類は、機器の取扱説明書やメーカーの資料で確かめ、立ち消え防止安全装置だけでは措置にならない点に注意します。
2点目は、厨房に置いた消火器の種類が粉末消火器か強化液消火器か、火を使う階に置かれているかです。
3点目は、消防庁が送付した厨房の火災予防の映像とチェックリストで、出火防止の取り組みを確かめることです。

結局、私は何から確かめればよいのでしょうか。

まずは、こんろの安全装置の種類から確認しましょう。
消火器の種類と置き場所も、あわせて見ておきます。

よくある質問

Q「火災の発生のおそれのある設備」も、この消火器具の対象に含まれますか?
A通知は、消防法第9条の「その使用に際し、火災の発生のおそれのある設備」と「…器具」は含まれないと明記しています。
Q立ち消え防止安全装置が付いていれば、防火上有効な措置と認められますか?
A通知は、立ち消え防止安全装置は「その他の危険な状態の発生を防止する…安全機能を有する装置」に該当しないと明記しています。
Q防火上有効な措置を講じていれば、延べ面積150平方メートル以上の飲食店でも消火器具は不要ですか?
A令第10条第1項第1号ロから外れても、別表第一(三)項で延べ面積が150平方メートル以上なら同項第2号ロに当たります。個別の判断は所轄消防署に確認してください。
Qこの通知が定めているのは、飲食店が守るべき義務や罰則ですか?
A通知は、消防組織法第37条の規定に基づく助言として発出されたと本文に書かれています。義務や罰則を新たに定めるとは書かれていません。

まとめ

✔消防予第247号は、飲食店等の消火器具の設置範囲を広げた改正令の運用を整理した通知
✔対象は、業として飲食物を提供するために調理する火を使用する設備・器具である
✔措置にあたるのは、調理油過熱防止装置・自動消火装置・圧力感知安全装置などで、立ち消え防止安全装置は含まれない
✔延べ面積150㎡未満の新たな対象の店は、能力単位の加算がなく、火を使う階にのみ配置すれば足りる
✔調理油火災に有効な粉末消火器又は強化液消火器の設置を指導するよう、通知は求めている
✔通知は消防組織法第37条に基づく助言として発出された
✔まずは、こんろの装置の種類と消火器の種類・置き場所を確認する

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消火器の種類と置き場所の確認は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について(平成30年3月28日 消防予第246号 消防庁次長)
  • 消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知)(平成30年3月28日 消防予第247号 消防庁予防課長)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第10条第1項
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第5条の4、第6条第5項・第6項
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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