消火設備の配管に使う管継手やバルブ類を、火災の熱を受けそうな場所に取り付けてよいのか、迷ったことはないでしょうか。
消防庁予防課は、平成22年2月5日の事務連絡で、金属製管継手及びバルブ類の基準にある耐熱性試験の扱いを、質疑応答として示しました。
通知には、規則が使用を認めるものと同等以上の耐熱性があると認められる場合は、熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分には当たらないと書かれています。
この記事では、通知の内容、告示が求める性能、二つの耐熱性試験の違い、答えが当てはまる前提、明日から確かめることを解説します。
配管の管継手やバルブには、耐熱性の基準があると聞きます。
どんな場所で、何が求められるのでしょうか。
はい、消防庁が執務資料で答えを示しています。
まず、通知の中身から確かめましょう。
材質が丈夫なら、試験はいらないのですか。
いいえ、答えには前提があります。
順に見ていきます。
- 消防庁予防課は、平成22年2月5日の事務連絡「消防用設備等に係る執務資料の送付について」で、質疑応答をとりまとめて都道府県と東京消防庁、指定都市の消防本部に送りました。
- 問4は、自動式の消火設備の管継手とバルブ類のうち、規則が使用を認めるものと同等以上の耐熱性があると認められる場合を聞き、答えは「お見込みのとおり」でした。
- 金属製管継手及びバルブ類の基準(平成20年消防庁告示第31号)は、火災時に熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分に設ける管継手とバルブ類に、標準耐熱性試験の合格を求めています。
- 湿式の流水検知装置が付くスプリンクラー設備の天井部分で、その部分が自動式の消火設備の有効範囲内にあるときは、軽易耐熱性試験に合格すればよいとされています。
- 通知は、どの部分が熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分かは示していないので、範囲の確認は所轄の消防署に行います。
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目次
消防庁は管継手とバルブ類の耐熱性についてどんな執務資料を示したのか

まず、その冒頭の部分を引いて確かめます。
標記の件について、別添のとおり質疑応答をとりまとめたので、執務上の参考としてください。
なお、貴都道府県内の市町村に対して、この旨周知されるようお願いします。
宛先は、各都道府県消防防災主管課と、東京消防庁、各指定都市の消防本部です。
別添は、5つの問を並べています。
| 問 | 話題 | 答え |
|---|---|---|
| 問1 | 個室などで、警報音を確実に聞き取れる措置の運用 | お見込みのとおり |
| 問2 | パチンコ店舗の警報音の聞き取りの運用 | お見込みのとおり |
| 問3 | 高齢者専用賃貸住宅などの用途区分の考え方 | お見込みのとおり |
| 問4 | 管継手とバルブ類の耐熱性試験と、熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分 | お見込みのとおり |
| 問5 | ステンレス製の管継手の等価管長の表を用いること | 差し支えない |
他の4つの問は、別の話題なので、この記事では触れません。
配管の部品の通知は、設備の設計をする人に向けたものですか。
宛先は消防機関の側です。
でも、答えの内容は、配管を管理する私たちにも役に立ちます。
管継手とバルブ類は告示でどんな性能を求められるのか

まず、その告示の趣旨の部分を引いて確かめます。
この告示は、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第十二条第一項第六号ホ(イ)並びにト(イ)及び(ロ)、第三十条の三第三号イ並びに第三十一条第五号ハ並びにニ(イ)及び(ロ)に規定する金属製管継手(以下「管継手」という。)及びバルブ類の基準を定めるものとする。
その基準が、この告示です。
告示の第3は、管継手とバルブ類の性能を、次の3つの号で定めています。
| 号 | 定めていること |
|---|---|
| 第一号 | 種類に応じた試験(管継手7種、バルブ類7種)に合格すること |
| 第二号 | 消火剤や電気による腐食のおそれがあるものは、耐薬品性試験の合格や絶縁措置を行うこと |
| 第三号 | 火災時に熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分に設けるものは、耐熱性試験に合格すること |
この表は、告示の文言を整理したものです。
| 種類 | 合格が必要な試験 |
|---|---|
| 管継手 | 気密試験(乾式又は予作動式流水検知装置の二次側に用いるものに限る)、管継手漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験 |
| バルブ類 | 気密試験(乾式又は予作動式流水検知装置の二次側に用いるものに限る)、耐圧試験、破壊試験、弁座漏れ試験、弁座耐久試験、スプリング耐久試験(スプリング構造を有する逆止弁に限る)、操作力試験 |
管継手やバルブは、たくさんの試験に合格したものなのですね。
はい、耐熱性の試験は、その中の第三号の話です。
次の見出しで、中身を見ましょう。
耐熱性の試験は標準と軽易でどう違うのか

まず、条文の文言を引いて確かめます。
火災時に熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分に設けられる管継手及びバルブ類にあっては、標準耐熱性試験に、スプリンクラー設備であって湿式の流水検知装置が設けられているものの管継手及びバルブ類が天井部分に設置される場合において、火災時に熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分が自動式の消火設備の有効範囲内にある場合にあっては、軽易耐熱性試験に合格するものであること。
告示は、二つの試験の方法を、それぞれ別の号で定めています。
内容を、表にまとめます。
| 試験 | 方法(告示の要点) | 合格の判定 |
|---|---|---|
| 標準耐熱性試験(管継手) | 最高使用圧力を加えた状態で、建築構造部分の耐火試験方法(JIS A 1304)の標準曲線に準じて30分間加熱し、そのあとで管継手漏れ試験と耐圧試験を行う(乾式や予作動式の二次側などは乾燥空気、それ以外は水を満たす) | ひび、割れ、著しい漏れ又は脱管がない |
| 標準耐熱性試験(バルブ類) | 840度以上に保った試験炉の中に10分間放置し、すぐ水中に投入して冷やしたあと、耐圧試験を行う | ひび、割れ又は著しい漏れがない |
| 軽易耐熱性試験 | 水を満たして最高使用圧力を加えた管継手等を、試験室の天井に正方配置した4個のスプリンクラーヘッドの中心に露出して設置し、直下の火災模型に点火して、スプリンクラー設備で鎮火したあとに管継手漏れ試験と耐圧試験を行う | ひび、割れ、漏れ又は脱管がない |
天井の高さは、床から2.7メートルと決められています。
スプリンクラーヘッドは、二種で、有効散水半径が2.3メートル、標示温度が72度のものを、3.25メートル間隔で置きます。
標準のほうが、炉で強く熱する試験なのですか。
はい、標準は加熱してから水圧を確かめる試験です。
軽易は、スプリンクラーが鎮火させる場面を再現します。
通知の答えはどんな前提のときに当てはまるのか

まず、問いと答えの原文を引いて確かめます。
問4 金属製管継手及びバルブ類の基準(平成20年消防庁告示第31号)第3第3号に規定する標準耐熱性試験及び軽易耐熱性試験について、自動式の消火設備に用いられる管継手及びバルブ類であって、鋳鉄製、黄銅製、ステンレス鋼製、ダクタイル鋳鉄製のもの等、その材質や寸法により、規則第12条第1項第6号ホ(イ)又は同号ト(イ)及び(ロ)において使用が認められているものと同等以上の耐熱性を有していると認められる場合は、「火災時に熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分」には該当しないと解してよいか。
(答) お見込みのとおり。
通知には、その理由を説明する文はありません。
問いが置いている前提を、表に抜き出します。
| 前提 | 通知の問いの文言 |
|---|---|
| 設備 | 自動式の消火設備に用いられる管継手及びバルブ類 |
| 材質の例 | 鋳鉄製、黄銅製、ステンレス鋼製、ダクタイル鋳鉄製のもの等 |
| 耐熱性 | 材質や寸法により、規則が使用を認めているものと同等以上の耐熱性を有していると認められる場合 |
| 答えの結論 | 「火災時に熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分」には該当しない |
誰が、どのように認めるのかは、通知の問いにも答えにも含まれていません。
通知が触れていない事柄を、次の表にまとめます。
| 事柄 | 通知での扱い |
|---|---|
| 熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分の具体的な範囲 | 問いに含まれていない |
| 同等以上の耐熱性を認める者と確認の方法 | 問いに含まれていない |
| 手動式の消火設備に用いる管継手とバルブ類 | 問いに含まれていない(自動式の消火設備の問い) |
通知に書かれていない場合は、通知の答えを広げて考えず、所轄の消防署に確かめてください。
材質がステンレスなら、耐熱性の試験は必ず不要になりますか。
通知は、材質や寸法により同等以上の耐熱性が認められる場合の話です。
材質だけで決まるとは書かれていないので、確かめましょう。
明日から配管の確認で何を見ればよいのか

まず、告示の表示の規定を引いて確かめます。
次の各号に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。
十 気密試験、スプリング耐久試験、耐薬品性試験、標準耐熱性試験又は軽易耐熱性試験に合格しているものにあっては、その旨
表示する事項は、ほかにもあります。
主なものを、表にまとめます。
| 表示事項 | 内容 |
|---|---|
| 製造者名又は商標、製造年 | 誰がいつ作ったものか |
| 最高使用圧力、呼び径、等価管長 | 使える圧力と大きさ、水力計算に使う値 |
| 型式記号、適応管種、材料 | 製品の型式、接続できる管の種類、弁箱などの材料 |
| 流れ方向 | 流れ方向に制限のあるバルブ類だけ |
| 試験に合格しているものは、その旨 | 気密試験、スプリング耐久試験、耐薬品性試験、標準耐熱性試験、軽易耐熱性試験 |
- 配管図面で、火災の熱を受けそうな場所の管継手とバルブ類を洗い出す
- 洗い出した部品の表示で、耐熱性試験に合格している旨を確かめる
- 鋳鉄製、黄銅製、ステンレス鋼製、ダクタイル鋳鉄製の部品は、規則が認めるものと同等以上の耐熱性があることを、メーカーの資料で確かめる
- 湿式スプリンクラー設備の天井部分と、それ以外の場所を分けて記録する
- 判断に迷う箇所は、所轄の消防署に確かめる
配管の部品には、表示が付いていたのですね。
何から確かめればよいですか。
まず、配管図面で熱を受けそうな場所を洗い出しましょう。
そのあと、部品の表示を確かめます。
よくある質問
まとめ
配管の耐熱性を、図面と部品で確かめます!
消火設備の配管は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 事務連絡「消防用設備等に係る執務資料の送付について」(平成22年2月5日 消防庁予防課)
- 金属製管継手及びバルブ類の基準(平成20年消防庁告示第31号)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





