排煙設備は、火災の煙を建物の外へ出して、消防隊の活動や避難の道すじを守る設備です。
その点検要領は、壁や排煙口、風道、起動装置、排煙機まで、設備の流れの順に項目を並べています。
とくに排煙口は、排煙機と連動しているときの点検の順番が決められています。
この記事では、告示と点検要領をもとに、排煙設備の点検で何をどう確かめるのかを整理します。
排煙設備の点検って、排煙口が開くかどうかを見れば済むのではないですか。
開くかどうかは大事な項目ですが、その前に防煙区画壁や風道も見ます。
まず全体像から見ていきましょう。
項目が多そうですが、順番はあるのですか。
告示は防煙区画壁から排煙出口まで番号を振っています。
順番に見ていきましょう。
- 機器点検は、防煙区画壁、排煙口と給気口、風道、制御装置、起動装置、排煙機の順に7つの項目を確かめます。
- 防煙区画壁は、間仕切りの変更などで壁が撤去されていないかと、他の部分へ貫通する開口部がないかを見ます。
- 排煙口と給気口は、排煙機や給気機と連動しているものを連動機構を停止してから開閉します。
- 手動起動装置は、ハンドルが片手で容易にで回り、開放装置が作動することを確かめます。
- 総合点検は、非常電源に切り替えた状態で起動操作を行い、排煙機と給気機が確実に起動することを確かめます。
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目次
排煙設備の点検は防煙区画壁の何から確かめるのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
ア 固定壁 変形、損傷等がなく、間仕切りの変更等により撤去されていないこと。
イ 可動壁 (ア)周囲の状況 周囲に可動障害となるものがないこと。(イ)外形 変形、損傷等がないこと。(ウ)機能 正常であること。
(固定壁)ア 壁面に著しい変形、損傷、亀裂等がないこと。イ 間仕切りの変更等により撤去されていないこと。ウ 壁が撤去されてなく、他の部分へ貫通する開口部が設けられていないこと。
(可動壁 周囲の状況)※ 模様替え、増改築、用途変更の有無を確認し、防煙区画の状態をチェックすること。
(可動壁 機能)イ 閉鎖時において間隙を生じないこと。ウ 確実に作動すること。※ 遠隔操作による場合は、空調機器等に支障がないかどうかを確認してから行うこと。
間仕切壁、天井面から五十センチメートル(令第二十八条第一項第一号に掲げる防火対象物にあつては、八十センチメートル)以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上の煙の流動を妨げる効力のあるもので、不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下この条において「防煙壁」という。)によつて、床面積五百平方メートル(令第二十八条第一項第一号に掲げる防火対象物にあつては、三百平方メートル)以下に区画された部分(以下この条において「防煙区画」という。)ごとに、一以上を設けること。
固定壁の判定は、告示が「間仕切りの変更等により撤去されていないこと」と書き、点検要領が貫通する開口部まで加えています。
可動壁は、周囲に可動障害となるものがないことと、閉鎖時に間隙を生じないことを、降下や開閉の操作で確かめます。
遠隔操作で行うときは、先に空調機器等に支障がないかを確認します。
防煙区画は、規則第30条で、垂れ壁などの防煙壁によって床面積500平方メートル以下に区画した部分をいいます。
だから点検の前に、模様替え、増改築、用途変更の記録を、工事の履歴で調べておきましょう。
壁が残っていれば、防煙区画はそのままと考えてよいのですか。
点検要領は、壁の変形や亀裂だけでなく、模様替え・増改築・用途変更の有無まで確認するよう求めています。
次の項目から、排煙口を見ていきましょう。
排煙口と給気口は連動を止めてからどう開閉して確かめるのか

点検方法は、目視と開閉操作と書かれています。
ア 周囲の状況 周囲に排煙上障害となるものがないこと。イ 外形 変形、損傷等がないこと。ウ 機能 排煙ダンパーの取付部に損傷、緩み等がなく、作動が正常であること。
(周囲の状況)周囲に煙の流動等に障害となるような棚、物品等が置かれたり、造られてたりしていないこと。
(機能)ア 排煙ダンパーの取付部に損傷、緩み等がなく、正常に作動すること。イ 排煙ダンパーの回転部に緩みがなく、回転動作が円滑であり、完全に開放すること。ウ ラッチ受け、ストッパー等により確実に停止すること。エ ロック部に錆びつき、塵あいの付着等がないこと。
※ 排煙機、給気機と連動しているものは、連動機構を停止してから行うこと。
(1) 当該排煙口から排煙している場合において、排煙に伴い生ずる気流により閉鎖するおそれのないものであること。(2) 排煙用の風道に接続されているものにあつては、当該排煙口から排煙しているとき以外は閉鎖状態にあり、排煙上及び保安上必要な気密性を保持できるものであること。
判定は、排煙ダンパーの回転が円滑で、完全に開放すること、ラッチ受けやストッパーで確実に停止することです。
総合点検の判定に「排煙口、給気口等の開放と連動して、排煙機及び給気機が確実に起動すること」とあるとおり、排煙口を開けると排煙機が動く仕組みの設備です。
点検要領は連動を止める理由までは書いていませんが、開閉の点検と連動の点検を分けて確かめる順番と読めます。
周囲の状況は、棚や物品を置いたり造ったりしていないかを見ます。
定期検査での排煙口の見方は排煙設備の排煙口は定期検査でどこを確認するのか|位置と手動開放装置から中央管理室連動まで10のチェックポイントを解説で解説しています。
だから点検の前に、連動を止める操作の場所と手順を、防災センターの担当者と確かめておきましょう。
連動を止めたままにして帰ってしまうことはないのですか。
点検要領が求めるのは、開閉の点検のときに止めることです。
終わったら、連動を元に戻すことまで手順に入れておきましょう。
風道と防火ダンパーでは何を確かめるのか

点検の項目は、周囲の状況、外形、支持部、防火ダンパー、接続部の5つです。
ア 周囲の状況 可燃物が接触していないこと。イ 外形 変形、損傷、脱落等がないこと。ウ 支持部 緩み等がないこと。エ 防火ダンパー 取付部に緩み、脱落等がなく、開閉機能が正常であること。オ 接続部 パッキン等の損傷、脱落等がないこと。
(周囲の状況)可燃物(木材、紙、電線等)が接触していないこと。
(外形)ア 著しい変形、亀裂、損傷等がなく断熱材等の脱落もないこと。イ 防火区画の壁等を貫通する部分の埋めもどし材が脱落していないこと。ウ フィルターが設けてあるものは、異物の付着、塵あいのつまりなどがないこと。
(防火ダンパー)ア 取付部に緩み、がたつき、錆等がないこと。イ 塗装、異物の付着等がなく、円滑に作動すること。
| 点検項目 | 点検要領が挙げる判定の例 |
|---|---|
| 周囲の状況 | 木材、紙、電線などの可燃物が接触していない |
| 外形 | 断熱材の脱落、貫通部の埋めもどし材の脱落、フィルターのつまりがない |
| 支持部 | 支持金具の変形や脱落がなく、ナットにがたつきや緩みがない |
| 防火ダンパー | 取付部に緩みやがたつきがなく、円滑に作動する |
| 接続部 | フランジ部の変形やナットの緩み、パッキンの損傷や脱落がない |
風道の外形には、防火区画の壁等を貫通する部分の埋めもどし材が入っています。
規則第30条第3号ホは、耐火構造の壁や床を貫通する箇所のダンパーを、外部から容易に開閉できると定めています。
規則第30条第3号ハは、風道内の煙の熱による過熱や延焼のおそれがあるとき、断熱や可燃物との隔離を求めています。
定期検査の切り口は排煙設備の排煙口は定期検査でどこを確認するのか|位置と手動開放装置から中央管理室連動まで10のチェックポイントを解説で、設置の基準は排煙設備の煙は自然に外へ出ていくのか|排煙機が必要になる条件と求められる能力を解説で解説しています。
だから点検の前に、天井裏の点検口の位置と、電線や物品が風道に触れていないかを、平面図で確かめておきましょう。
天井裏の風道は、どこまで見ればよいのですか。
点検口から見える範囲で、可燃物の接触と支持部、防火ダンパーを確かめます。
見えない箇所は、点検の担当者と範囲を決めておきましょう。
起動装置は自動と手動でどう確かめるのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
ア 自動式起動装置 煙感知器は、自動火災報知設備の機器点検の基準に準じた事項に適合していること。
イ 手動式起動装置 (ア)手動操作箱 a 周囲の状況 周囲に使用上及び点検上の障害となるものがないこと。b 外形 変形、損傷等がないこと。c 表示 適正にされていること。(イ)ハンドル及びレバー等 損傷、脱落等がなく、操作が容易にできること。
(自動式起動装置)ア 煙感知器の機能は、自動火災報知設備の点検要領に準じて判定すること。イ 感知器の作動により排煙機が確実に作動すること。
(手動式起動装置 ハンドル及びレバー等)ア ハンドル及びレバーの損傷、脱落等がなく、ワイヤロープの切断、錆つきがないこと。イ ハンドルは、片手で容易に回転して、開放装置が作動すること。
(1) 一の防煙区画ごとに設けること。(2) 当該防煙区画内を見とおすことができ、かつ、火災のとき容易に接近することができる箇所に設けること。(3) 操作部は、壁に設けるものにあつては床面からの高さが〇・八メートル以上一・五メートル以下の箇所、天井からつり下げて設けるものにあつては床面からの高さがおおむね一・八メートルの箇所に設けること。
自動式の煙感知器は、自動火災報知設備の点検要領に準じして判定します。
手動式は、ハンドルとレバーの損傷や脱落のほか、ワイヤロープの切断や錆つきも見ます。
設置の基準として、手動起動装置は一の防煙区画ごとに、壁の操作部は床面から0.8メートル以上1.5メートル以下に設けます。
設置側の解説は天井から下がっている板はなんのためにあるのか|防煙壁の区画と排煙口の手動開放装置の基準を解説と加圧防排煙設備の起動装置はなぜ防災センターにも要るのか|排煙口用と給気口用の手動起動装置を解説にあります。
だから点検の前に、操作箱の前に物が置かれていないかを、自分の目でも見ておきましょう。
ハンドルを回して確かめると、排煙口が開いてしまいませんか。
ハンドルの操作で開放装置が作動するのが、手動式の仕組みです。
連動を止める手順は、先ほどの排煙口の項目と合わせて決めておきましょう。
総合点検では非常電源でどう排煙機を起動するのか

告示と点検要領の文は、次のとおりです。
非常電源に切り替えた状態で、自動又は手動の起動装置の操作により、任意の区画で排煙機及び給気機の作動試験を行い、次の事項について確認すること。
(1) 排煙機及び給気機 確実に起動すること。(2) 可動壁 確実に作動すること。(3) 電動機の運転電流 適正であること。(4) 運転状況 運転中に不規則な若しくは不連続な雑音又は異常な振動がないこと。(5) 回転羽根 回転が正常であること。
(排煙機及び給気機)非常電源に切り替えた状態で、自動又は手動の起動操作により確認する。※ 病院等で非常電源に切り替えて点検することが短時間であっても困難な場合は、常用電源で点検することができるものとする。
(判定方法)排煙口、給気口等の開放と連動して、排煙機及び給気機が確実に起動すること。
※(ア)操作を行う際、空調機器等の関連機器への影響を確認して行うこと。(イ)運転による機能の点検を行うとき以外は、必ず電源をしゃ断して行うこと。
対象は、告示が「任意の区画」と書いています。
確かめるのは、排煙機と給気機の起動、可動壁の作動、電動機の運転電流、運転中の雑音と振動、回転羽根の回転です。
病院等で非常電源への切替えが短時間でも困難なときは、常用電源で点検できます。
機器点検で電動機や回転羽根を見るときは、運転による機能の点検を行うとき以外は、必ず電源をしゃ断します。
だから点検の前に、空調機器などへの影響と、非常電源へ切り替える手順を、建物の管理者と確かめておきましょう。
排煙機が動けば、点検はそれで終わりですか。
いいえ、動いたあとの運転電流や雑音や振動まで見て、総合点検の判定になります。
記録には、確かめた区画も残しておきましょう。
よくある質問
まとめ
まず排煙口の連動を止める手順を、管理者と確かめるところから始めます!
排煙設備の点検は、壁から排煙機までまで確かめて、初めて設備を見たといえます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)、第30条(排煙設備に関する基準の細目)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第18
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第18 排煙設備
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





