平成18年12月6日、消防庁危険物保安室長が消防危第253号を出しました。
基準に適合しない灯油用の運搬容器から、灯油が漏れる事故が起きたためです。
通知は、今後の事故を防ぐため、都道府県に注意喚起を求めています。
この記事では、通知の中身と、現行の法令で確かめられる点を解説します。
灯油を車で運ぶとき、容器は何を見れば安心なのでしょうか。
容器そのものが基準に合わなかった事故が、通知になっています。
まず、通知の中身を確かめましょう。
通知は、どんな事故を受けて出されたのですか。
自動車のトランクで灯油を運んでいた場面の事故です。
順に見ていきます。
- 消防危第253号(平成18年12月6日、消防庁危険物保安室長)は、灯油用運搬容器からの灯油の漏えい事故を受けた通知です。
- 事故は平成18年11月21日、20リットルの容器を自動車のトランクに入れて運ぶ途中に、収納口から灯油が漏れたものです。
- 原因は、収納口の凸ねじの高さが足りず、パッキンが機能しなかったことだと、通知は述べています。
- 通知は、事故発生容器と同一の容器を、製造年月の刻印と認定番号で見分ける方法を示しています。
- 消防法第16条は、危険物の運搬を政令で定める技術上の基準に従ってするよう定めています。
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目次
灯油用運搬容器の漏えい事故はなぜ消防庁の通知にまで至ったのか

まず、通知の本文を確かめます。
危険物の運搬については、消防法(昭和23年法律第186号)第16条の規定により、技術上の基準に適合する容器を用いる必要がありますが、今般、別添のとおり、基準に適合しない運搬容器による灯油の漏えい事故が発生しました。
灯油用運搬容器(容量20L)を自動車のトランクに入れ灯油を運搬中に、収納口から灯油が漏れたものである。
当該容器の収納口の凸ねじ部分が、規定の仕様を満たさなかった(高さが足りない)ため、凸ねじが凹ねじのパッキン部分に密着せず、パッキンが機能しなかったことによるものである。
別添が示す発生日時は、平成18年11月21日です。
容器の容量は20リットルで、自動車のトランクに入れて運んでいる途中に漏れたと述べています。
原因は、収納口の凸ねじの高さ不足です。
凸ねじが凹ねじのパッキン部分に密着せず、パッキンが機能しなかったと、通知は述べています。
使い方の失敗ではなく、容器の側に原因があったのですね。
はい、通知は基準に適合しない運搬容器による事故と述べています。
次に、運搬容器の基準を条文で確かめましょう。
灯油をポリ容器で運ぶときの基準は消防法令のどこに書かれているのか

まず、現行の条文を確かめます。
危険物の運搬は、その容器、積載方法及び運搬方法について政令で定める技術上の基準に従つてこれをしなければならない。
運搬容器の構造及び最大容積は、総務省令で定めるものであること。
液体の危険物を収納するものにあつては別表第三の二に定める基準に適合すること。
消防法第16条は、危険物の運搬を政令の技術上の基準に従ってするよう定めています。
この条文に、指定数量の条件は書かれていません。
政令第28条は、運搬容器の構造と最大容積を総務省令に委ねています。
総務省令にあたる規則第43条が、液体の危険物を入れる運搬容器の基準を別表に定めています。
前三項の運搬容器は、次の各号に掲げる容器の区分に応じ、当該各号に定める性能を有しなければならない。
(第1号)(略)告示で定める落下試験、気密試験、内圧試験及び積み重ね試験において告示で定める基準に適合すること。(ただし書は略)
総務大臣又は認定法人は、第一項の検査において、当該運搬容器が前三条に定める基準に適合し、かつ、危険物の運搬上支障がないと認められるときは、これに別記様式第十七の二の表示を付すものとする。
第43条第4項は、落下、気密、内圧、積み重ねの四つの試験で告示の基準に適合することを求めています。
第43条の2第3項は、検査で基準に適合すると認められた運搬容器に、別記様式の表示を付すと定めています。
ただし、通知が示す「認定番号」が、この制度の表示にあたるかどうかは、通知には書かれていません。
| 条文 | 定めていること |
|---|---|
| 消防法第16条 | 危険物の運搬は、容器、積載方法及び運搬方法について、政令の技術上の基準に従う |
| 政令第28条 | 運搬容器の材質と、構造及び最大容積の基準を定める。構造及び最大容積は総務省令で定める |
| 規則第43条 | 液体の危険物の運搬容器は、別表第三の二の基準に適合する。落下、気密、内圧、積み重ねの試験の性能も求める |
| 規則第43条の2 | 総務大臣又は認定法人が運搬容器を検査し、基準に適合するときは、別記様式の表示を付す |
容器の基準は、私の家の灯油にも関係しますか。
消防法第16条には、指定数量の条件は書かれていません。
次に、通知が誰に何を求めているかを見ましょう。
通知は誰に何を求め回収の状況をどう伝えているのか

まず、求めている対応を確かめます。
当該運搬容器による今後の漏えい事故等の発生を防止するため、注意喚起をお願いします。
また、各都道府県におかれましては、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知していただくようお願いします。
宛先は、各都道府県の消防防災主管部長と、東京消防庁・各指定都市消防長です。
通知は、都道府県に、管内の市町村への周知も求めています。
次に、別添が示す回収の状況を確かめます。
現在、販売元(略)並びに店頭告知により回収を行っているが、全品回収には至っていない状況である。
事故発生容器と同一の容器は、平成18年11月1日から同13日までに生産されたものです。
その出荷数は3,444個で、うち販売先が特定できておらず未回収の数は187個と述べています。
販売店舗は、別紙1に46か所が挙げられています。
これらの数字は、通知の別添に書かれたものです。
| 通知の部分 | 書かれていること |
|---|---|
| 本文 | 運搬容器の基準を確認したうえで、注意喚起と、市町村への周知を求める |
| 別添の1・2 | 発生日時は平成18年11月21日。容量20リットルの容器を自動車のトランクに入れて運搬中に漏れた |
| 別添の3 | 原因は、収納口の凸ねじの高さ不足で、パッキンが機能しなかったこと |
| 別添の4・5 | 製造会社、販売元、販売店と、回収の現況。生産期間の出荷数は3,444個、販売先未特定の未回収は187個 |
| 別添の6と別紙2 | 事故発生容器と同一の容器を見分ける識別方法 |
187個というのは、当時の数なのですね。
はい、平成18年12月5日現在の未回収の数です。
次に、識別方法を確かめましょう。
回収対象の容器は製造年月と認定番号でどう見分けるのか

まず、通知の文言を確かめます。
製造年月日は、2006年11月であること。
刻印中央が「06」であること。
矢印が「11」を指していること。
認定番号は、次のいずれかに該当すること。
1及び2に該当する場合は、事故発生容器と同一の容器である。
製造年月は、刻印の中央が「06」で、矢印が「11」を指していることです。
認定番号は、別紙2が不具合対象の認定番号として、四つの範囲を示しています。
製造年月と認定番号の両方に該当する場合に、事故発生容器と同一の容器になります。
| 確認する箇所 | 通知が示す条件 |
|---|---|
| 製造年月の刻印 | 刻印の中央が「06」で、矢印が「11」を指している(2006年11月) |
| 認定番号 | 5802001から5803000、5815001から5816000、5807001から5808000、5792001から5793000のいずれか |
| 判定 | 製造年月と認定番号の両方に該当すれば、事故発生容器と同一の容器 |
別紙2の写真は、灯油用ポリエチレンかんの表示部に、危険等級と認定番号が並ぶ様子を示しています。
ただし、この記事は、写真の細部までは読み取っていません。
実際の確認は、通知の別紙2の写真と、見比べて行う必要があります。
製造年月だけでは、決められないのですね。
はい、認定番号もあわせて確認します。
最後に、確認する手順をまとめます。
明日から灯油の運搬容器で何を確認すればよいのか

次に挙げる確認は、通知が利用者に求めたものではなく、この記事の整理です。
- 灯油用のポリ容器の製造年月の刻印が、通知の示す条件にあたるかを確かめる
- 認定番号が、通知の示す範囲に入るかを、表示部で確かめる
- 両方に該当するときは、購入した店や販売元の告知を確かめる
- 灯油を運ぶときは、収納口を上方に向け、転倒しないように積む
- ふたの締まりを、運ぶ前に毎回確かめる
危険物は、当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒し、若しくは破損しないように積載すること。
運搬容器は、収納口を上方に向けて積載すること。
第3号は、運搬容器が落下、転倒、破損しないように積載することを定めています。
第4号は、運搬容器を収納口を上方に向けて積載することを定めています。
通知の事故は、トランクに入れて運ぶ途中に起きました。
運ぶ場面の決まりとして、積み方も確認できます。
該当した容器をどう扱うかは、通知には書かれていません。
運ぶ前に、容器の表示とふたを見ておきます。
まず、製造年月と認定番号を、通知と見比べましょう。
迷ったときは、購入した店に確かめます。
よくある質問
まとめ
容器の基準を、運ぶ前に確かめます!
危険物の運搬容器の確認は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防危第253号「灯油用運搬容器からの灯油の漏えい事故について」(平成18年12月6日 消防庁危険物保安室長)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第16条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第28条、第29条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第43条、第43条の2、別表第3の2 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





